キリストの肉の理解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/02 04:17 UTC 版)
「パスカシウス・ラドベルトゥス」の記事における「キリストの肉の理解」の解説
真理(羅:veritas)と形相(羅:figura)とが区別されることをパスカシウスは信じていた。天から地へのキリストの降臨は、真理から形相への、完全の領域から不完全の領域への変化とされる。このことは肉体におけるイエスが誤っており、不完全であることを示唆するが、パスカシウスは全ての形相が誤っているわけではないと主張した。キリストは同時に真理と形相である、というのはキリストの永遠の、肉体的な自己は真理の形相、つまり魂の内に存在する真理の表現だからだというのである。イエスである人格は人間性の残余と全く同様に人間の要求に属する。彼は食事をし、睡眠をとり、人々と交わる。しかしそれだけではなく、彼は奇跡を行う。イエスが示したこうした振る舞いは「受肉したロゴス」という概念の二面性を表している。神あるいは非肉体的な真理あるいはロゴスだけが奇跡を行うようになるまでは、奇跡は肉体的な人間によって時折行われた。イエスの人性と神性の関係は説明が難しいが、かたち(書かれた文字)の話された言葉に対する関係に準えられる。それに従えば、肉体におけるイエスは「真理」という文字のような視覚的な表現であるが、彼の神性は同じ書かれた文字の表す音ということになる。
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