カントリー・ハウスの概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 07:47 UTC 版)
「カントリー・ハウス」の記事における「カントリー・ハウスの概要」の解説
カントリー・ハウスはイングランドにおける貴族およびジェントリの構成員である地主により所有されていた。カントリー・ハウスを所有するには、19世紀以前では1000エーカー (4 km2) の土地が必要とされた。これは最小値であり、この数百倍もの広大な土地を所有する貴族も存在したため一概にカントリー・ハウスといってもその規模には幅がある。 カントリー・ハウスの多くは建設・改修当時に流行した建築様式に従って設計された。(一部の例外としてその土地特有の様式による邸宅も存在する)一般的なカントリー・ハウスは部屋数25以上、床面積は8,000平方フィート (740 m2) におよぶ。名称としてはハウス (house)、ホール (hall)、カースル (castle)、パーク (park)、パレス (palace)、コート (court)、アビー (abbey)、プライオリ (priory)、グレインジ (grange) などの呼称が用いられているが、これらはそれぞれの建物の由来を反映したものである。1800年以降に建設されたカントリー・ハウスについては、主人の趣味によって命名されたものもある。例としてこの時代に建設されカースルと命名されたカントリー・ハウスが軍事目的で使用された例は一つも存在しない。 一般的なカントリー・ハウスには主棟に隣接して庭園 (garden) が付随しており、さらにその外側にはパーク (park) が設けられている。パークは家畜の飼料および景観の観点から創られる。今日に英国庭園と称されるものの多くはカントリー・ハウスに設けられたものである。 カントリー・ハウスは集落や他の建築物から数百メートルほど離れた孤立している丘の上などに建てられることが多いが、これには例外も存在する。アニック・カースルは町の中心付近に建設されたカントリー・ハウスの代表例である。 近代以降の人口増加および都市の肥大化によって、周囲が都市の郊外に呑込まれたカントリー・ハウスもある。このような邸宅も現在カントリー・ハウスと呼称されている。ロンドン郊外のサイオン・ハウスが例として挙げられる。 カントリー・ハウスよりも小規模な建物についてはファームハウス (farmhouse) 、コテジ (cottage) 、レクトリ (rectory) 、オースト・ハウス (oast house) などと呼称された。これらの家屋をさしてカントリー・ハウスと名付けている者もいるが、一般的には見栄を張っていると見なされることが多い。最近では田舎における中規模家屋をコテジと称するなどの誤謬がなされることもある。 ステイトリー・ホーム (stately home) はカントリー・ハウスと同様の建物を指すのに用いられる用語であるが、その用法には違いがある。後者が地方や郊外に在って主に建築史家や所有者によって使われる言葉であるのに対して、前者はロンドンのハイド・パーク・コーナーにあるアプスリー・ハウスのように都市の中心部でも見られ、主にメディア、旅行者、観光業において使用されている。一般的にはステイトリー・ホームとは、一般公開されているカントリー・ハウスであると考えて良い。
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