カナクギノキとは? わかりやすく解説

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かなくぎ‐の‐き【金×釘の樹】

読み方:かなくぎのき

クスノキ科落葉小高木山地生え樹皮黄白色で、老樹でははがれやすく、鹿の子模様となる。細長く裏面はやや白い。雌雄異株で、晩春淡黄色小花集まってつく。実は赤く熟す


鉄釘の樹

読み方:カナクギノキ(kanakuginoki)

クスノキ科落葉小高木


金釘の木

読み方:カナクギノキ(kanakuginoki)

クスノキ科落葉小高木

学名 Benzoin erythrocarpum


鉄釘の樹

読み方:カナクギノキ(kanakuginoki)

クスノキ科落葉小高木

学名 Benzoin erythrocarpum


カナクギノキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/21 03:06 UTC 版)

カナクギノキ
1. 枝葉
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : モクレン類 magnoliids
: クスノキ目 Laurales
: クスノキ科 Lauraceae
: クロモジ属 Lindera
: カナクギノキ L. erythrocarpa
学名
Lindera erythrocarpa Makino (1897)[2][3]
シノニム
和名
カナクギノキ[2][4]、ナツコガ[4]

カナクギノキ学名: Lindera erythrocarpa)はクスノキ科クロモジ属落葉高木の1種である(図1)。幹は老木になると樹皮が不規則に剥がれて鹿子模様になる。互生し、細長く、秋に黄葉する。雌雄異株雄花雌花が別の木につく)であり、黄緑色の小さな花が集まって春に葉の展開と同時期に咲く。果実液果、秋に赤色に熟す。本州箱根以西)から九州、および朝鮮半島中国に自生する。

名称

和名「カナクギノキ」の由来については諸説ある。一般的には、樹皮が鹿子模様になることを示す「かのこ木」が訛って「カナクギ」になったとし、「金釘」とは関係がないとされる[4][5][6][7]。一方で、箪笥を作る際の釘としてこの木を用いたためとする説、赤く緻密な樹皮を金釘に例えたとする説もある[7]

特徴

落葉広葉樹高木、樹高は6–15メートル (m)、幹の直径約40センチメートル (cm) になる[4][5]樹皮は淡褐色、古くなると皮目が目立ち、老木では不規則に剥がれる[4][5]。一年枝は黄褐色から灰褐色、長軟毛が多いが後に無毛になり、二年枝は淡褐色、皮目がある[4][5][8]

頂芽がある[8]冬芽のうち、葉芽は紡錘形で長さ約 1.5 cm、紅褐色から紫紅色の芽鱗に包まれ、花芽は球形、葉芽の基部左右から生じる柄の先端に上向きにつく[4][9]葉痕は小さく円形から楕円形、維管束痕は弓状で1個[4]

2a. 樹皮
2b. 葉

葉は互生、枝先に集まってつく[4][5][7]葉柄は長さ 0.5–2 cm、赤みを帯びる[4][5]葉身は倒披針形、6–15 × 1.5–2.5 cm、洋紙質、基部は葉柄に向かってしだいに細くなり、先端は細長く伸び鈍端、全縁、葉脈は羽状で側脈は4–5対、表面は緑色で無毛、裏面は粉白色を帯び、若い葉では脈上と脈腋に淡褐色の長毛がある[4][5][9]。秋に黄葉する[4]

雌雄異株、花期は4–5月、葉の展開と同時期に黄緑色の小さなが集まった散形花序が葉腋に2個つき、総苞片は4枚、有毛、花序柄は長さ5–10ミリメートル (mm)、花柄は長さ 8–10 mm、長毛がある[4][5][8][9]雄花雌花とも花被片はふつう6個、黄緑色、楕円形、長さは雄花で約 3 mm、雌花で約 2.5 mm[4][5]。雄花は9–20花が集まり、雄しべが9個、3個ずつ3輪、は2室で内向、最内輪の花糸には1対の腺体がつき、中央に長さ 1 mm ほどの不稔雌しべが1個ある[4][5]。雌花は8–13花が集まり、仮雄しべが6または9個、3個ずつ2–3輪、最内輪の仮雄しべには1対の腺体がつき、中央に雌しべが1個、子房は球形、花柱は約 1.5 mm の部分で曲がって約 0.5 mm ほどが斜めになり、柱頭は2裂[4][5][9]

果実液果、球形、直径 5–8 mm、9–10月に赤色に熟する[4][5][8][9]。果柄は淡褐色、長さ 12–18 mm、先は次第に太くなる[4][5][8][9]種子は球形、淡褐色で茶褐色のまだら模様がある[4]。隔年結実性が強く、また自然結実率は低い[10]

類似種のクロモジ高木にはならず、若枝に皮目がなく緑色である点、熟した果実が黒色である点で異なる[4]

分布・生態

日本の本州神奈川県箱根以西)、四国九州、および朝鮮半島中国台湾に分布する[3][4][8]温帯下部から暖帯に自生し、日本では海岸付近から標高 1,500 m 以上まで見られる[5]陽樹であり、先駆樹の性質をもつ[10]

保全状況評価

日本では、神奈川県で絶滅危惧IB類、山梨県で絶滅危惧II類、鹿児島県では分布特性上重要な種の指定を受けている[11]

人間との関わり

は細工物や楊枝に使われることがある[4][5]

脚注

出典

  1. ^ Liu, B. & Liu, H. (2019年). “Lindera erythrocarpa”. The IUCN Red List of Threatened Species 2019. IUCN. 2025年4月2日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Lindera erythrocarpa”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年4月2日閲覧。
  3. ^ a b c d e f Lindera erythrocarpa”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2025年4月2日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 太田和夫 (2000). “カナクギノキ”. 樹に咲く花 離弁花1. 山と渓谷社. pp. 426–427. ISBN 4-635-07003-4 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 北村四郎・村田源 (1979). “カナクギノキ”. 原色日本植物図鑑 木本編 2. 保育社. p. 193. ISBN 978-4-586-30050-1 
  6. ^ 林将之 (2020). “カナクギノキ”. 樹木の葉 実物スキャンで見分ける1300種類 増補改訂版. 山と渓谷社. p. 125. ISBN 978-4635070447 
  7. ^ a b c 木村正典 (2023年6月25日). “クロモジの植物学と栽培”. 日本メディカルハーブ協会. 2025年4月4日閲覧。
  8. ^ a b c d e f 米倉浩司 (2015). “クロモジ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 82–84. ISBN 978-4582535310 
  9. ^ a b c d e f Flora of China Editorial Committee (2008年). “Lindera erythrocarpa”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2025年4月2日閲覧。
  10. ^ a b 長谷川泰洋 (2017). “名古屋市におけるカナクギノキの初記録”. なごやの生物多様性 4: 83–87. doi:10.57363/biodiversity.4.0_83. 
  11. ^ カナクギノキ”. 日本のレッドデータ検索システム. NPO法人 野生生物調査協会・NPO法人 Envision環境保全事務所. 2025年4月2日閲覧。

関連項目

外部リンク



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