オンラインでのプライバシーに関する初期の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:46 UTC 版)
「サイファーパンク」の記事における「オンラインでのプライバシーに関する初期の議論」の解説
メーリングリストではプライバシー・政府による監視・企業による情報の操作・その他10年程度後まで広い議論の主な主題とならなかった関連する90年代初めの問題について議論していた。少なくとも一部のメーリングリスト参加者はそれらの問題に対して他のほとんどの人より急進的であった。 メーリングリストにおける文脈について理解しようとするならば暗号技術の歴史を参照することになるだろう。90年代初めアメリカ政府は暗号ソフトウエアを輸出に際してはそれを「軍需品」とみなしており、知識とスキルはアメリカ市民に限られないため、「国家の安全保障」につながらない商用利用を妨げていた(PGPのソースコードはそういった規制を回避し、規制のくだらなさを示すため紙の本として出版された)。またアメリカ政府は暗号技術を無力化しようとしていた(例えばスキップジャックの採用と暗号鍵の提出を要請した)。さらにそれほど広く知られていなかったがすべての通信は政府機関によって記録されており(これは後にNSAとAT&Tのスキャンダルで判明することとなる)、メーリングリスト参加者に対しては自明なことと受け止められた。 オリジナルのサイファーパンクメーリングリストと最初のスピンオフである「コーダーパンク」は当初ジョン・ギルモアのtoad.comにホストされていたが、管理者とのモデレーションに対する意見の食い違いから、「分散メーリングリスト」と呼ばれる互いにリンクする複数のサーバーに移行した。招待制であった「コーダーパンク」メーリングリストはしばらくの間存在した。「コーダーパンク」はより技術的な問題を扱い、公共政策に関してはあまり議論しなかった。今日ではオリジナルのサイファーパンクメーリングリストに系譜をたどれる複数のメーリングリストが存在する。「クリプトグラフィ」メーリングリスト(cryptography@metzdowd.com)・「ファイナンシャル・クリプトグラフィ」メーリングリスト(fc-announce@ifca.ai)・その他少数のクローズな(招待者専用の)メーリングリスト群などが存在する。 toad.comは購読を停止しなかった既存の購読者のリストで継続し、新しい分散メーリングリストにも転送されたが、分散メーリングリストからのメッセージはtoad.comには表示されなかった。メーリングリストが人気を失うにつれ互いにリンクした購読ノード数も減っていった。 ある意味では クリプトグラフィーメーリングリスト はサイファーパンクの後継として機能している。共通のメンバーを持ち、同じ議論を継続している。しかし、クリプトグラフィーメーリングリストはモデレートつきのリストであり、ずっとまじめで技術的である。Pretty Good Privacy・Linuxカーネルの/dev/random(実際のコードはそれから何度か完全に再実装されている)・匿名リメーラーといった今日使われている多くのシステムはサイファーパンクメーリングリストに起源を遡れる。2012年6月現在メーリングリストは活動していない。
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