オクルディンとは? わかりやすく解説

オクルディン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/01 07:29 UTC 版)

OCLN
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1WPA, 1XAW, 3G7C

識別子
記号OCLN, BLCPMG, PPP1R115, occludin, PTORCH1
外部IDOMIM: 602876 MGI: 106183 HomoloGene: 1905 GeneCards: OCLN
遺伝子の位置 (ヒト)
染色体5番染色体 (ヒト)[1]
バンドデータ無し開始点69,492,292 bp[1]
終点69,558,104 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
染色体13番染色体 (マウス)[2]
バンドデータ無し開始点100,633,015 bp[2]
終点100,689,226 bp[2]
遺伝子オントロジー
分子機能 protein domain specific binding
血漿タンパク結合
細胞の構成要素 integral component of membrane

cell-cell junction
bicellular tight junction
細胞膜
endocytic vesicle
apicolateral plasma membrane
apical plasma membrane
cytoplasmic vesicle
lateral plasma membrane
細胞結合
生物学的プロセス cell-cell junction organization
bicellular tight junction assembly
response to interleukin-18
cellular response to tumor necrosis factor
regulation of bicellular tight junction assembly
protein-containing complex assembly
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_002538
NM_001205254
NM_001205255

NM_008756
NM_001360536
NM_001360537
NM_001360538
NM_001360539

RefSeq
(タンパク質)

NP_001192183
NP_001192184
NP_002529

NP_032782
NP_001347465
NP_001347466
NP_001347467
NP_001347468

場所
(UCSC)
Chr 5: 69.49 – 69.56 MbChr 5: 100.63 – 100.69 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
密着結合

オクルディン英語: occludin[5])は、細胞間結合の様式の1種であるタイトジャンクション(密着結合)を構成するタンパク質の一つである。

構造

オクルディンは約65 kDa(キロダルトン)の膜タンパク質である。細胞膜を4回貫通しており、2つの細胞外ループとN末端C末端の細胞質テールを持つ。1つ目の細胞外ループはグリシンチロシンに富む。4回の膜貫通部を含む領域はMARVELドメインと呼ばれる。また、C末端側のOCELドメインでタイトジャンクション裏打ちタンパク質のZO-1と結合する[6]

機能と疾患

オクルディンはタイトジャンクションの構造の形成には必要ないと考えられていた[7][8]が、ホモログであるトリセルリンと協調してタイトジャンクションストランドの枝分かれの形成に関与し、タイトジャンクションストランドの複雑な網目状ネットワークの構築を通じてバリア機能を強化する働きがあると報告されている[9]

オクルディンは、先天性の小頭症や頭蓋内の石灰沈着、発育遅滞などの症状を呈するヒト偽TORCH症候群(英語: pseudo-TORCH syndrome)の原因遺伝子である[10]

オクルディンノックアウトマウスは正常なタイトジャンクション構造を有する[8]が、発育遅滞、雄性不妊、哺育不全、胃上皮の慢性炎症過形成、脳の石灰化、精巣の萎縮、唾液腺線条部の顆粒の喪失、緻密骨の菲薄化[8]、先天性難聴[11]などの表現型を呈する。

また、クローディン1とともにC型肝炎ウイルスの受容体として知られる[12]

発見の経緯

オクルディンは1993年に京都大学月田承一郎らのグループによって報告された[5]

脚注

  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000197822、ENSG00000273814 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000021638 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ a b Furuse M, Hirase T, Itoh M, Nagafuchi A, Yonemura S, Tsukita Sa, Tsukita Sh.: Occludin: a novel integral membrane protein localizing at tight junctions. J Cell Biol. 1993 Dec;123(6 Pt 2):1777-88 PMID 8276896
  6. ^ Furuse M, Itoh M, Hirase T, Nagafuchi A, Yonemura S, Tsukita Sa, Tsukita Sh. Direct association of occludin with ZO-1 and its possible involvement in the localization of occludin at tight junctions. J Cell Biol, 127(6 Pt 1): 1617-26, 1994. PMID 7798316
  7. ^ Saitou M, Fujimoto K, Doi Y, Itoh M, Fumimoto T, Furuse M, Takano H, Noda T, Tsukita Sh. Occludin-deficient embryonic stem cells can differentiate into polarized epithelial cells bearing tight junctions. J Cell Biol, 141(2): 397-408, 1998. PMID 9548718
  8. ^ a b c Saitou M, Furuse M, Sasaki H, Schulzke JD, Fromm M, Takano H, Noda T, Tsukita Sh. Complex phenotype of mice lacking occludin, a component of tight junction strands. Mol Biol Cell, 11(12): 4131-42, 2000. PMID 11102513
  9. ^ Saito AC, Higashi T, Fukazawa Y, Otani T, Tauchi M, Higashi AY, Furuse M et al., Occludin and tricellulin facilitate formation of anastomosing tight-junction strand network to improve barrier function. Mol Biol Cell, 32(8): 722-738, 2021. PMID 33566640
  10. ^ O'Driscoll MC, Daly SB, Urquhart JE, Black GCM, Pilz D, Brockmann K, McEntagart M, Abdel-Salam G, Zaki M, Wolf NI, Ladda RL, Sell S, D'Arrigo S, Squier W, Dobyns WB, Livingston JH, Crow YJ. Recessive mutations in the gene encoding the tight junction protein occludin cause band-like calcification with simplified gyration and polymicrogyria. Am J Hum Genet, 87(3);354-64, 2010.PMID 20727516
  11. ^ Kitajiri S, Katsuno T, Sasaki H, Ito J, Furuse M, Tsukita Sh. Deafness in occludin-deficient mice with dislocation of tricellulin and progressive apoptosis of the hair cells. Biol Open, 3(8): 759-66, 2014 PMID 25063198
  12. ^ Ploss A, Evans MJ, Gaysinskaya VA, Panis M, You H, de Jong YP, Rice CM. Human occludin is a hepatitis C virus entry factor required for infection of mouse cells. Nature, 457(7231):882-6, 2009 PMID 19182773

オクルディン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 08:33 UTC 版)

密着結合」の記事における「オクルディン」の解説

最初に発見されタイトジャンクション構成する貫通蛋白質である。ノックアウトマウスでもタイトジャンクション形成されるため、タイトジャンクションにおける正確な役割不明な点が多い。クローディンファミリーと相互作用することでクローディンファミリー単独形成するタイトジャンクションストランドよりも複雑なタイトジャンクションストランドを形成するという研究内容もある。オクルディンノックアウトマウスはタイトジャンクション構成でき、生存可能である。しかし成長遅延となり胃の壁細胞消失する。また緻密骨の薄化、脳内石灰化精巣萎縮唾液腺線条導管細胞質顆粒消失コルチ器有毛細胞アポトーシス認められる。オクルディンノックアウトマウスがしめす脳内血管内皮細胞周辺カルシウム沈着金属イオン透過亢進血液脳関門生じていると考えられている。コルチ器有毛細胞アポトーシスクローディン14欠損によるDFNB29やトリセルリン変異によるDFNB49、アンギュリン2変異によるDFNB42に類似するコルチ器有毛細胞アポトーシスはオクルディンの欠損のためトリセルリンがバイセルラータイトジャンクションに導入され結果である。 分子量は65kDで短いN末端細胞質尾部2つ細胞ループおよび長いC末端細胞細胞質尾部をもつ4回膜貫通型蛋白質である。オクルディンとトリセルリンとmarvelD3が相同性がありMARVELファミリー(またはTAMPファミリー)とよばれるC末端細胞質尾部にはZO-1やアクチン相互作用をするのに必要なOCELドメインよばれる構造がある。オクルディンはbTJリーク経路におけるmacromolecule透過とカベオリンエンドサイトーシスに関与している。培養細胞でオクルディンをノックダウンすると6.25nmほどの分子透過性著しく亢進した。3.6nm、70kDの分子透過性亢進させた別の報告存在するTNF上皮細胞透過性更新させることが知られているが、その作用はオクルディンを介していると考えられている。オクルディンをノックダウンするとTNF投与してmacromolecule透過性亢進しない。TNFによっておこるmacromolecule透過性亢進はOCELドメインアクチンやZO-1との相互作用関与する。オクルディンとトリセルリンダブルノックアウト細胞解析から、オクルディンとトリセルリンが、クローディン作るストランド分岐点安定化網目構造複雑性維持する役割を持つ事が示唆されている。 大腸菌デングウイルスノロウイルスロタウイルス緑膿菌感染時にオクルディンの発現抑制病原生物侵入容易にする。オクルディンは多く病原微生物ターゲットとなっている。クローディン1とともにC型肝炎ウイルス受容体である。培養細胞でオクルディンをノックダウンするとバイセルラータイトジャンクション内のトリセルリン増加する。これはオクルディンがバイセルラータイトジャンクションからトリセルリン排除していることを意味する

※この「オクルディン」の解説は、「密着結合」の解説の一部です。
「オクルディン」を含む「密着結合」の記事については、「密着結合」の概要を参照ください。

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