エントレンチメント/条項の堅固な保護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 00:43 UTC 版)
「コンスティチューション (法学)」の記事における「エントレンチメント/条項の堅固な保護」の解説
エントレンチメントの有無、すなわち条項の堅固な保護があるかどうかは、各コンスティチューションの重要な特徴である。堅固に保護されたコンスティチューションは、議会の通常の立法業務では、変更が不可能である。変更するには、それとは異なる、より面倒な手続きによる必要がある。例えば、通常の議会ではない特別の組織(special body)を設けることが求められる。あるいは既存の議会で改正する際に、通常の立法と比べ賛成票の比率がより高いことが要求される。コンスティチューションの中の堅固に保護された条項は、その保護の程度は、さまざまである。単に、改正を通常の議会の業務から除外するだけのこともあれば、特定の改正をそれ以外の改正よりも困難としたり、いかなる状況でも禁止とすることがある。堅固な保護は、多くの集成単一法典化されたコンスティチューションにおいて、内在している特徴である。集成単一法典化されたコンスティチューションは、それ自身が改正される場合に従わなければならないルールを組み入れていることがある。合衆国のコンスティチューションは、堅固に保護されたコンスティチューションの例である。一方、英国のコンスティチューションは堅固に保護されていない(そして集成単一法典化もされていない)例である。いくつかの国では、コンスティチューションの本文が変更され得る。しかし一方で、本文を変更しない国もある。そういう国では、改正は、基の本文および以前の改正に対して、追加を行うか、あるいは一部を無効にする方式となる。改正の手続きは、国により異なる。連邦制をとっている国では、州議会の過半数の賛同が必要となる場合がある。あるいは、国民投票が必要とされる場合もある。世界の各国および各州のコンスティチューションについての記事に、それぞれの詳細が書かれている。 堅固な保護のないコンスティチューションでは、改正には特別な手続きは不要である。堅固な保護の欠如は、集成単一法典化されていないコンスティチューションの特質である。通常の法律よりも上位とは見なされていない。英国では、コンスティチューションの規定を改正する法律は、(その規定が文書化されていなくても)単なる議会の過半数により可決される。特別な改正手続きは不要である。議会主権の原則により、議会は、以前の議会立法に束縛されないし、議会を拘束するような法を制定できる権力は存在しない。 英国の主権/統治権とは、名目上は、重要な力を持った国の頭である。力とは、戦争の宣言などに関する。しかし、英国の集成単一法典化も文書化もされていないコンスティチューションは、実際上は、そのような力を取り除いている。実際は、民主的な政府は、堅固な保護がないからといって、政府の意志を押しつけたり、市民の権利を廃したりは、しない。理屈の上では可能であっても。しかしコンスティチューションとそれ以外の法律との違いは、多少、任意性のあるものだ。一般に、過去の重要な立法に包含された、歴史的な原理に従っている。例えば、英国議会におけるいくつかの立法:権利の章典、Human Right Act(人権法)、および議会の設立に先立つマグナ・カルタは、コンスティチューション的とされる基本的な権利と原理を認めていると、みなされている。実際、他の国ではコンスティチューションにより保障されているいくつかの権利が、21世紀の初頭に、英国議会により廃止あるいは集成された。具体的には、陪審による裁判(en:trial by jury)の無条件な権利、不利になる推測なしでの黙秘権、告発前の留置ヘイビアス・コーパスとして認められる時間が24時間から48日間に延長されたこと、同じ罪で二回裁判に掛けられない権利(一時不再審理)。 「en:Fundamental Laws of England」も参照
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