エルニーニョ
エルニーニョの語源は、スペイン語の"神の子"
エルニーニョとは南米エクアドルからペルー沿岸にかけて、海水温が4年から5年おきに上昇する現象のことで、水温の高い状態は半年から1年半程度続きます。例年クリスマスのころになると局所的な水温の上昇が起こることが多いのですが、折からバナナなどの収穫期に当たるため、神の恵みに感謝を込めてスペイン語のエルニーニョ(神の子)と名づけられました。これとは反対に、東太平洋赤道域の海面水温が平年より低くなる現象をラニーニャといいます。スペイン語で"女の子"のことで、エルニーニョの"男の子"に呼応して名づけられました。
世界各地に異常気象を引き起こすエルニーニョのすごさ
エルニーニョ現象は、数1,000km以上にわたって水温の異常上昇を引き起こし、大気の流れを変え、世界各地に高温や低温、多雨や小雨など異常気象を引き起こします。1982~83年にかけて発生したときはオーストラリア、インド、アフリカなどにかんばつ、アメリカに熱波、日本に梅雨寒や暖冬をもたらすなど世界的規模で異常気象が発生しました。最近では1990年春に発生し、1992年夏に一時弱まりました。しかし1997年春に約4年ぶりに発生したエルニーニョ現象は、世界各地にもたらした多くの異変によって今世紀最大規模のものとされています。
NASAの報告によると、エルニーニョが1998年1月には最高時の40%に収縮
「1997年春以降続いていたエルニーニョは収縮傾向に入った」。NASAのジェット推進研究所(JPL)は1998年1月16日までの観測で確認しました。エルニーニョは、1997年12月にいったん衰退の兆しをみせましたが、再び増大傾向を示していました。衛星から送られてきた1998年1月の海面温度分布データによると、エルニーニョの勢力は、これまで最高だった1997年11月上旬にくらべ、約40%減少しています。しかし、JPLの海洋学者らは、これまでのエルニーニョも収縮と増大をくりかえしており、異常気象をもたらす海面からの大きなエネルギーが大気中にすでに放出されているなどとして、「今後も異常気象への警戒は怠ってはならない」とよびかけました。
エルニーニョの影響が残る西部太平洋海域
1998年5月、NASAはエルニーニョ現象が東部太平洋では衰えているものの、西部太平洋の赤道海域では冷たい海水が広がっており、依然として影響が続いていることを示す衛星画像を発表しました。画像は、同年5月の海面の高さをとらえた衛星データを基にしており、太平洋のほぼ中央からニューギニア東岸にかけた広い海域で、平年にくらべ水位が約30cmも低いことがわかりました。NASAによると、水位が低いのは海水の温度が低いためで、水温の低い海域が広がっていることを示します。これをNASAは、西部太平洋海域にはまだエルニーニョの影響が残っているためと分析しています。
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