イトトンボ亜目とは? わかりやすく解説

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イトトンボ

(イトトンボ亜目 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 22:11 UTC 版)

イトトンボ亜目(均翅亜目) Zygoptera
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: トンボ目(蜻蛉目)Odonata
亜目 : イトトンボ亜目均翅亜目
Zygoptera Selys, 1854
英名
Damselfly

イトトンボ(糸蜻蛉、豆娘、Damselfly)は、トンボ目(蜻蛉目)・イトトンボ亜目均翅亜目<きんしあもく>、Zygoptera)に分類される昆虫の総称。

イトトンボ科モノサシトンボ科、アオイトトンボ科など多くの科を含むが、日本で「イトトンボ」と呼んだ場合は比較的大型のカワトンボ類を除くことが多い。

概要

イトトンボの交尾、左側がオス
Pyrrhososma nymphula

トンボ科ヤンマ科など、不均翅亜目(トンボ亜目)のトンボは後翅が前翅に比べて幅広いのに対し、均翅亜目は名前どおり前後のがほぼ同じ形である。頭部は左右に幅広く、複眼が小さい。腹部も細長い円筒形をしているので、小型の種類では呼び名の通り短いくずのように見える。

不均翅亜目が直線的に広い空間を飛び回るのに対して、あまり水辺を離れず、水辺の草の間でぱたぱたと緩やかに羽ばたきながら低く飛ぶものが多い。トンボ類の交尾はオスとメスが輪を作るが、均翅亜目では腹部が細くてよく曲がるため、連結部分がハート型をなす。

幼虫ヤゴ)も成虫と同様に体が前後に細長い。さらに腹部先端に細いえらが3枚ついていることで不均翅亜目のヤゴと区別できる。

熱帯から亜寒帯まで多くの種類が知られるが、特に熱帯に種類が多い。このうち、南アメリカ熱帯雨林に分布するハビロイトトンボ Megaloprepus coerulatus は体長10cm、開張15cmにも達し、現生トンボの最大種とされている。

下位分類

系統

2013年に行われた分子系統解析によると、内部の系統は以下の通り[1]

イトトンボ亜目 Zygoptera
アオイトトンボ上科 Lestoidea

Hemiphlebiidae

Perilestidae

Synlestidae

アオイトトンボ科 Lestidae

Platystictoidea

Platystictidae

カワトンボ上科 Calopterygoidea

カワトンボ科 Calopterygidae

ハナダカトンボ科 Chlorocyphidae

Dicteriadidae

Polythoridae

13科

ミナミカワトンボ科 Euphaeidae

Lestoideidae

8 いくらかの科 incertae sedis

イトトンボ上科 Coenagrionoidea

モノサシトンボ科 Platycnemididae

イトトンボ科 Coenagrionidae

Isostictidae

日本のイトトンボ

日本にも多くのイトトンボが分布する。南にいくほど種類が多いが、本州の山地や北海道に分布するエゾイトトンボ Agrion lanceolatum など北方系の種類もいる。成虫として越冬するトンボとして、オツネントンボSympecma paedisca)、ホソミオツネントンボ(Indolestes peregrinus)、ホソミイトトンボ(Aciagrion migratum)の3種が知られている[2]キイトトンボ Ceriagrion melanurum は全身が黄色で判り易い。他にもアオモンイトトンボIschnura senegalensis)やアジアイトトンボIschnura asiatica)などは都市部でもよく見かけられる普通種である。その一方、グンバイトンボ(Platycnemis foliacea sasakii)やコフキヒメイトトンボ(Agriocnemis femina oryzae)など環境汚染に敏感な種も多く、これらは開発などで生息地を減らしている。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Dijkstra, Klaas-Douwe B.; Kalkman, Vincent J.; Dow, Rory A.; Stokvis, Frank R.; van Tol, Jan (2013). “Redefining the damselfly families: a comprehensive molecular phylogeny of Zygoptera (Odonata)”. Systematic Entomology 39 (1): 68–96. doi:10.1111/syen.12035. http://www.repository.naturalis.nl/document/634681. 
  2. ^ 日本のトンボ (2012)、16-17頁

参考文献

外部リンク


イトトンボ亜目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 09:22 UTC 版)

ヤゴ」の記事における「イトトンボ亜目」の解説

イトトンボカワトンボ類のヤゴは、外見一般的なヤゴとははっきり異なる。頭は左右に長い棒状で、体は前後細長い棒状、あるいは管状になっている。短い体のものもあるが、幅広くならない。足は細長く、それを使って歩くが、全身くねらせて泳ぐものもある。一般にイトトンボ類は体が細長く柔らかな感じで、褐色から緑に近い色をしている。カワトンボ類は細いがやや短い体で、がっしりとしており、茶褐色から黒っぽい色をしている。 特に目立つ特徴は、腹部末端細長くて扁平な気管があることである。この背中側に一つ腹側左右に一つ合計三つあって、内部には気管入り込み細かく枝分かれしている。この自切することができて、捕まえた時など、たやすく外れてしまうが、幼虫生存には影響ないようである。 また、この類のミナミカワトンボ科ヤゴ渓流生息し、体はやや扁平で、その姿は渓流性のカゲロウ幼虫にやや似る。また、腹部下面に、節ごとに対になった細い腹をもつ。これは、腹部付属肢由来するもので、トンボ目では他に例がない。節足動物一般に体節ごとに一対付属肢を持つのが基本である。昆虫においてもそうで、祖先腹部体節にも付属肢持っていたものが、退化してなくなったものと考えられる幼虫では腹部付属肢を持つものもあるが、トンボではこの類以外では全く見られない。したがって、それがなんらかの形で残っていることは、原始的特徴見なしてよい。

※この「イトトンボ亜目」の解説は、「ヤゴ」の解説の一部です。
「イトトンボ亜目」を含む「ヤゴ」の記事については、「ヤゴ」の概要を参照ください。

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