アルコール問題家族で育った人(ACOA)の印象の類型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:19 UTC 版)
「アダルトチルドレン」の記事における「アルコール問題家族で育った人(ACOA)の印象の類型」の解説
クラウディア・ブラックは1982年の著作で、ACOAの挫折や障害を、彼らが子ども時代に行っていた機能不全家庭でのふるまいにさかのぼって分析し、アルコール問題家族の子どもたちは暗黙のルールとして「しゃべるな。信じるな。感じるな」という信念を持っていることが多いと述べている。またブラックは、ACOAの子供時代の家庭での役割を「責任を背負いこむ者」「順応者」「なだめ役」「行動化する子ども」の4タイプに、アメリカのセラピスト、W.クリッツバーグは、6タイプに分けて分析している。こうしたタイプ分けは、臨床におけるアダルトチルドレンの「印象」、当時のアメリカでアダルトチルドレンと呼ばれた人々の子ども時代の性格の傾向をとりあえずまとめたものであり、これらの妥当性や信頼性を確認した研究は少なく、臨床における確認も不十分である。 ヒーロー(英雄) 家族の内外で評価され、家族がさらなる活躍を期待することで、それに過剰に応え続けようとする。自分の活躍で冷えた両親の関係が一時的によくなったりするため、がんばりすぎてしまう。 スケープゴート(いけにえ) 関心を引くために好ましくない行動をとる。一家の負の部分を背負い込まされ、「この子さえいなければ、すべては丸く収まるのではないか」という幻想をほかの家族が抱くことで、家族の崩壊を防ぐ役割となっている。非行に走っているように見えるが、実はこのタイプということもある。ヒーローの逆のタイプ。 ロスト・ワン(失われた子供、いない子) 目立たず静かにふるまい、普段はほとんど忘れられている。家族の人間関係から距離を取り、心を守るための行動である。 マスコット、クラン(道化師) プラケーターの亜種。道化師のような行動で家族間の緊張を和ませる潤滑油的存在で、家族の目を問題からそらす。表層的にはペットのようにかわいがられる。 プラケーター(慰め役) 家族の中で暗い顔をしているものを慰め助け、カウンセラーのような役をする。 イネイブラー(支え手、援助者) 家族のほかのメンバーに奉仕することで、自分の問題と向き合うことを避ける。家族の中で親のような役割をするため偽親とも呼ばれ、第一子がこうした役目になることが多く、第一子が別のタイプになった場合はその下の子どもがイネイブラーとなることもよくある。ダメな母親の代わりをすることで、父親と情緒的近親相姦になることもある。 日本トラウマサバイバーズ・ユニオンは、クリッツバーグによる6タイプを、ACOAではなくACODの類型として紹介しているが、全タイプに共通して、自分の都合ではなく、親の機嫌や家の中の雰囲気を優先して行動すると述べている。
※この「アルコール問題家族で育った人(ACOA)の印象の類型」の解説は、「アダルトチルドレン」の解説の一部です。
「アルコール問題家族で育った人(ACOA)の印象の類型」を含む「アダルトチルドレン」の記事については、「アダルトチルドレン」の概要を参照ください。
- アルコール問題家族で育った人の印象の類型のページへのリンク