アメリカの核の傘を否定する発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 05:35 UTC 版)
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」の記事における「アメリカの核の傘を否定する発言」の解説
「孤立主義#新孤立主義」を参照 アメリカの核の傘に対する否定的見解が、個人的見解としてアメリカの政治家・学者などから出ている。 以下のアメリカの要人が、アメリカの核の傘を否定する発言をしている。サミュエル・P・ハンティントン(ハーバード大学比較政治学教授) マーク・カーク(連邦下院軍事委員会メンバー) ケネス・ウォルツ(国際政治学者、カリフォルニア大学バークレー校名誉教授) エニ・ファレオマバエガ(下院外交委・アジア太平洋小委員会委員) 上記のように、アメリカ中枢の人間が個人的立場で他国のために核報復は無いと明言しているが、その場合日本にとって核の傘の意味が低下する。 しかしこれらの発言は全て現職の閣僚・高官時の発言ではなく、要職を退いてからの個人的発言である。アメリカ政府としては、1965年(昭和40年)にある日米共同声明第8項「8.大統領と総理大臣は、日本の安全の確保につきいささかの不安もなからしめることがアジアの安定と平和の確保に不可欠であるとの確信を新たにした。このような見地から,総理大臣は,日米相互協力及び安全保障条約体制を今後とも堅持することが日本の基本的政策である旨述べ、これに対して、大統領はアメリカが外部からのいかなる武力攻撃に対しても日本を防衛するという同条約に基づく誓約を遵守する決意であることを再確認した。」とあるようにいかなる武力攻撃に対しても日本を防衛する誓約を遵守する決意を表明している。 1966年(昭和41年)の外務省による「日米安保条約の問題点について(外務省)」でも、アメリカの核抑止力について「安保条約第五条は,日本が武力攻撃を受けた場合は、日米両国が共通の危険に対処するよう行動することを定めている。ここにいう「武力攻撃」は、核攻撃を含むあらゆる種類の武力攻撃を意味する。このことは佐藤・ジョンソン共同声明が、アメリカが外部からの「いかなる武力攻撃」に対しても日本を防衛するという、安保条約に基づく誓約を遵守する決意であると述べていることによっても確認されている。」とあるように、アメリカ政府としては如何なる武力攻撃に対しても日本を防衛する方針と看做せる。このことは、2004年(平成16年)の日本プレス・クラブでの記者会見で、当時米国務副長官リチャード・アーミテージが「条約は、日本あるいは日本の施政権下にある領土に対するいかなる攻撃も、アメリカに対する攻撃とみなされることを定めている」と発言したことからも明らかである。また、核の傘の存在を肯定する意見として、ジョセフ・ナイ(ハーバード大学教授、元国務省国務次官補)、ポール・ジアラ(国防総省日本部長)、ジェームズ・シュレジンジャー(元国防長官)、キャスパー・ワインバーガー(元国防長官)らの意見が代表例である。
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