アフガニスタンからの退避
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 07:15 UTC 版)
「2021年ターリバーン攻勢」の記事における「アフガニスタンからの退避」の解説
ターリバーンによる攻勢が進むにつれて米軍への協力者が報復を受ける可能性が出てきたため、2021年7月14日にアメリカは『協力者避難作戦』を発表し、これまでに米軍やNATO部隊に対して通訳や翻訳を務め協力してきたアフガニスタン人を7月下旬より国外退避させる方針を発表した。避難対象は、米軍に通訳や翻訳などで協力した1万8000人で、家族も含めると8万人以上が避難対象者になると目された。 8月12日には米国防総省のカービー報道官が現地の米大使館職員を国外退避させるためカーブル国際空港に兵士3000人を直ちに派遣すると発表。同時にアフガニスタンに滞在する自国民に対し即座に出国するよう要請した。翌13日には米大使館がターリバーンのプロパガンダに利用される恐れのある米国旗、大使館や政府機関のロゴが入ったもの、機密資料や電子機器などを焼却炉などで処分するよう求める内部文書を職員に通知した。ただし、この時点で米国防総省のカービー報道官はカーブルに差し迫った危機はないとの認識を示した。8月15日、ターリバーンが首都カーブルを掌握した数時間後、アメリカ国務省報道官のネッド・プライスは大使館の外交官はヘリコプターなどで退去が完了し、米軍がカーブル国際空港周辺を確保したと発表した。 このほか8月12日にイギリスはベン・ウォーレス国防相が自国民とアフガン人協力者の退避のために兵士600人を派遣すると発表。8月13日にはドイツがカーブルの大使館機能を最低限に縮小し、大使館職員や軍に協力するアフガニスタン人らをチャーター機でドイツに退避させることを発表。ノルウェーやデンマークは大使館を一時閉鎖し、アフガニスタンに残っている自国の民間人に早急な退避を呼び掛けた。8月15日には日本も大使館職員を国外に退避させる方針を固めた。ロシアやトルコは大使館退避を行わず業務を継続した。 カーブルが陥落した8月15日、アメリカ国務省は日本を含む同盟国65カ国以上と共同で声明を発表し、退避を希望する国民や外国人を出国させるようターリバーンに求めた。16日には多くの人々が国外脱出を求めカーブル国際空港に押し寄せたため、空港の運営会社は略奪防止のため同空港発の民間航空便を運休としたほか、混乱収拾のため米軍が空中に向かって威嚇射撃を行う場面もあった。一方でターリバーンは外国人の退去を求めた。 また、日本政府も8月23日、現地に残る日本人や大使館などの現地職員の退避のため、航空自衛隊の保有する輸送機を派遣することを発表した。23日夜にC-2輸送機1機、24日未明にC-130輸送機2機、政府専用機1機をカーブル国際空港及び隣国パキスタンの首都イスラマバードに派遣した。 詳細は「在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等の輸送」を参照
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