ゑんま屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 03:09 UTC 版)
根岸に店を構える損料屋。衣服や蒲団や調度、椀や膳、家具一式から武具馬具、職人道具から赤子の襁褓まで何でも貸す。一方で口ではいえぬありとあらゆる憂き世の損を、見合った銭で損を引き取り肩代わりする裏家業を持つ。 お甲 ゑんま屋の主。皆からは元締と呼ばれる。貫禄も威厳もあるが、目は若いので年齢がよく分からない。配下の手腕を信頼しているが、だれも信用していない。上方から流れてきた又市と林蔵をゑんま屋の仕事に誘う。 角助 ゑんま屋の手代。お甲の腹心として損料仕事の仕掛け立案から実行までを担う。痩せて非力だが、お甲に対する忠誠心が強い。 仲蔵(長耳の仲蔵) 表向きの生業は手遊屋。剃髪した頭は小さいが図体は大きく、二つ名の通り異様に耳たぶが長いが、眼も鼻も小さい。元は梨園の出身で大層な俳優の落とし胤だという噂がある。手先が器用で、あらゆる仕掛け道具を作ることができる。ゑんま屋の手伝いや芝居や見世物小屋の道具を作って報酬を得ることで、ぎりぎり朱引きの内側に一軒家を構えている。 久瀬 棠庵 儒学者崩れの本草学者。下谷の長屋に住まう五十絡みの小柄な老人。医事薬事に明るく医者の真似事もする。その知識を使いゑんま屋の手助けをする。ありそうもないことでも、きちんと裏付けがあることを学者として語るので信憑性が出る。 山崎 寅之助 本所のはずれの名もない集落に住む浪人。元公儀鳥見役だったため「鳥見の旦那」と呼ばれる。刀は売ってしまっており、小ざっぱりした不思議な格好をしている。静かなのが苦手で、口数が多い。見かけと違い相当に腕が立つ。荒事を担当し、仇討ちの実力の釣り合いをとるようなことをする。又市の知る限り最強の使い手。相手が持っている凶器を使って相手を倒す技を使う。 巳之八(縄面方の巳之八) ゑんま屋の諸事手伝い。角助の弟分で、又市よりも年齢下の十七八の小僧。普段は店や奥の雑用をしているが、良からぬ仕事を助けるために飼われている。足が速いのと口が堅いのが取り柄であり、探索仕事や連絡に役に立つ。
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