わいらとは? わかりやすく解説

わい‐ら【×等】

読み方:わいら

[代]

二人称人代名詞相手卑しめてぞんざいに言う。おまえら

「—が居ればやかましい。とっとと行けと」〈浄・博多小女郎

一人称人代名詞。「わい」の複数にも単数にも用いる。

「—同士色事の噂(うはさ)も」〈洒・浪花色八卦


わいら

方言共通語・該当漢字語意解説または【使用例
わいら おまえら お前たち

わいら

方言意味
わいら お前たち。「わい」は君,「ら」は複数語。

わいら

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/12 21:29 UTC 版)

著者不詳『化物づくし』より「はいら」
鳥山石燕画図百鬼夜行』より「わいら」

わいらは、佐脇嵩之の『百怪図巻』などの妖怪絵巻や、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1776年)にある日本妖怪

概要

百怪図巻』(1737年,佐脇嵩之)、『化物づくし』(画家・制作年不明、加賀谷れい所蔵)、『化物絵巻』(画家・制作年不明、川崎市市民ミュージアム所蔵)、『百鬼夜行絵巻』(1832年,尾田淑太郎)などの絵巻では、巨大なのような体に、前足には太く鋭いカギ爪が1本ずつ生えた姿で描かれている。いずれの絵巻にも名称以外の解説文が一切なく、民間伝承を記載した書物も存在しないため、どのような妖怪を意図して描かれたかは不明である[1]。いずれの絵も描かれているのは上半身のみであり、下半身を描いた絵は確認されておらず、全身像は明らかになっていない[1]

江戸時代の随筆嬉遊笑覧』に引かれている古法眼元信が描いた「化物絵」に描かれていたとされる妖怪の中には「わいら」の名称が確認できる[1]

昭和以降の妖怪関連の文献や児童向けの妖怪図鑑では、正体不明の妖怪[2][3]、山奥に住んでおり前足のカギ爪で土を掘り返してモグラなどの小動物を食べる大きな妖怪[4][5][6]、山奥に住んでおり人間を襲って食べる大きな妖怪[7]など、大きく分けて以上の3つのいずれかの解説がされている。

美術史学者・辻惟雄は『化物づくし』(画家・制作年不明、加賀谷れい所蔵)を取り上げた文章で同絵巻の「わいら」の絵(絵巻での表記は「はいら」。画像参照)を「ガマの変形らしい緑色の怪物」と描写しており[8][2]平成以降の妖怪関連の文献の一部では、ガマが年を経て霊力を得て妖怪化したもの、体色は緑色[9]などの解説も見られる。

妖怪研究家・多田克己は、「畏(わい)」とは「恐れる」「怖れる」を意味し、畏畾(わいらい)とは「かしこまる」「その場に畏(おそ)る」を意味することから、これらの言葉がわいらの這いつくばった姿に繋がると指摘している[1]。また、『百怪図巻』『画図百鬼夜行』のいずれも「わいら」と「おとろし」と並べて描いていることから、「恐い(わいら)」「恐ろしい(おとろし)」を具現化した2体で一対の妖怪だとする解釈もある[10]

伝承

常陸国(現在の茨城県)の山中でモグラを食べているわいらが目撃された・体色は雄が土色で雌は赤色であるとの説があるが[5]、妖怪研究家の多田克己村上健司らの指摘によれば、この説の原典は作家・山田野理夫による児童書シリーズ『おばけ文庫』(1976年,太平出版社)中の1冊にある「わいら」の項目に書かれている話であり、山田が創作したものと指摘されている[11][12]。ただし山田自身は創作ではなく、出典は失念したもののどこかで見たものだと主張している[13]

牛かわず

絵巻物などに見られる既存の妖怪画に詞書を添えて制作されたと考えられる妖怪絵巻『化け物尽し絵巻』(江戸時代,個人蔵・福岡県立美術館寄託)では、「わいら」が「牛かわず」として紹介されている(理由ははっきりしないが同絵巻は登場する全ての妖怪の名が変更されている)。詞書には、に棲み、人間を食べるといった内容が記されているが他の資料や伝承では確認されていない[14]

脚注

  1. ^ a b c d 京極夏彦多田克己 編『妖怪図巻』国書刊行会、2000年、132-133,153頁。ISBN 978-4-336-04187-6 
  2. ^ a b 稲田, 篤信、田中, 直日 編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』高田衛監修、国書刊行会、1992年、80頁。 ISBN 978-4-336-03386-4 
  3. ^ 粕三平『お化け図絵』1973年 芳賀書店 176頁
  4. ^ 藤沢衛彦 編『妖怪画談全集 日本篇』上 中央美術社 1929年 32頁 「好んでモグラを掘り食ふ」と記されている。
  5. ^ a b 水木しげる『図説 日本妖怪大全』講談社〈講談社+α文庫〉、1994年(原著1991年)、495頁。 ISBN 978-4-06-256049-8 
  6. ^ 多田克己『幻想世界の住人たち』 IV、新紀元社Truth In Fantasy〉、1990年、86頁。 ISBN 978-4-915146-44-2 
  7. ^ 聖咲奇『世界の妖怪全百科』小学館(コロタン文庫)1981年 123頁 ISBN 4-09-281062-8
  8. ^ 「無気味なものの形象化・化物づくし」 『美術手帖』240号 美術出版社 1964年8月 25-31頁 「ガマの変形らしい緑色の怪物」という箇所のみが『鳥山石燕 画図百鬼夜行』(国書刊行会,1992年)の「わいら」解説文(80頁)に引用されている。
  9. ^ 草野巧『幻想動物事典』新紀元社、1997年、336頁。 ISBN 978-4-88317-283-2 
  10. ^ 妖怪ドットコム『図説 妖怪辞典』幻冬舎コミックス、2008年、90頁。 ISBN 978-4-344-81486-8 
  11. ^ 京極夏彦、多田克己、村上健司『完全復刻 妖怪馬鹿』新潮社新潮文庫〉、2008年(原著2001年)、311-312頁。 ISBN 978-4-10-135351-7 
  12. ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、367頁。 ISBN 978-4-620-31428-0 
  13. ^ 京極夏彦『京極夏彦対談集 妖怪大談義』角川書店、2005年、184頁。 ISBN 978-4-048-83925-9 
  14. ^ 兵庫県立歴史博物館京都国際マンガミュージアム 編『図説 妖怪画の系譜』河出書房新社〈ふくろうの本〉、2009年、53頁。 ISBN 978-4-309-76125-1 

関連項目


わいら

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 05:00 UTC 版)

塗仏の宴 宴の支度」の記事における「わいら」の解説

中禅寺敦子韓流気道会という道場取材行い、それに関する記事掲載した本人好意的に書いたつもりの記事だったが、韓流気道会から大反発を買い、門下生に付け狙われることになってしまう。そんな中敦子華仙姑処女名乗る女と知り合う。彼女もまた韓流気道会狙われているのだという。二人で必死に逃げるが、人気のない路地追い込まれ絶体絶命に。そこに榎木津礼二郎現れる

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