その他のさまざまな染織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/01 21:03 UTC 版)
「日本の染織工芸」の記事における「その他のさまざまな染織」の解説
絞り染め 木綿地の絞り染による浴衣、手拭地などの産地は各地にあり、近世に始まったものとしては、九州の豊後、名古屋の有松・鳴海などが著名である。 紬 紬糸、つまり、屑繭を熱湯に浸して真綿とし、そこから紡いだ糸によって織った製品で、養蚕農家が農繁期に製造することが多かった。絹糸でありながら、木綿のような風合いがある。結城紬、信州紬(上田紬など)、郡上紬などがある。八丈島の黄八丈も紬に分類されている。 銘仙 絹の練糸の太いものを使って織られたもの。秩父銘仙、伊勢崎銘仙が著名。 小紋 型紙を使用した染物のうち、特に細かい文様を総文様で表すもので、遠目には無地のように見える。武士の裃に使われて普及した。一般に柄の細かい着物を指して「小紋」ということもあり、前述のようなものを特に「江戸小紋」といって区別する。 中形 小紋よりは大き目の文様を型紙を用いて染め出すもので、浴衣地に多く用いられ、浴衣の別名ともなっている。 絣 織物の一種だが、錦、綾などと異なり、あらかじめ斑に染めた糸を経糸、緯糸、またはその両方に用いて製織し、文様を表すもの。この種の染織技法はアジア各地、南米など世界各地に分布し、マレー語由来の「イカット」という呼称がこの種の織物を指す国際的に共通の用語になっている。日本では飛鳥時代の太子間道と呼ばれる裂は経絣の技法によるものだが、その後絣の技法は長らく絶えていた。江戸時代の絣の産地としては、久留米、伊予、備後、広瀬、倉吉、大和、近江、越後などが著名である。各地で多く生産されているのは木綿の紺絣であるが、上布(じょうふ、良質の麻織物)製のものもある。 筒描き 原理は友禅の糸目糊と同じで、筒から絞り出した防染用の米糊で図柄を描いた染物。風呂敷、夜着などに用いられた。 刺子・こぎん 刺子は、本来の意味は端切れを継ぎ合わせて衣装に仕立てたものだが、工芸品としての刺し子は、補強とデザインを兼ねて細かく縫い目を施したものである。刺子の一種であるこぎんは津軽地方で生産されたもので、木綿栽培に適さない寒冷地の津軽において、布の補強と保温のため、麻布地に麻糸を刺して作ったのが始まりである。明治以降には麻布地に木綿糸で刺すようになった。幾何学的な文様を細密に刺すのが特色である。
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