『墨子』公輸篇とは? わかりやすく解説

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『墨子』公輸篇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 19:11 UTC 版)

公輸盤」の記事における「『墨子』公輸篇」の解説

公輸盤楚国のために雲梯という機械完成し,宋を攻めようとした.墨子はそれを聞いて,斉を出発して昼夜の都である郢に着いて公輸盤会った公輸盤が, 「先生は私に何か御用ですか」 ときくと,墨子が, 「北方に私を侮辱したものがいます.あなたの力を借りてこの男を殺したいのです」 といったところ,公輸盤不機嫌な様子であった墨子はさらに, 「あなたに千金差し上げましょうというと公輸盤が, 「私の主義として人を殺しません」と答えた墨子は起ちあがり,改め再拝ていった.「それではお話ましょう北方の地で,あなたが雲梯をつくり宋を攻めるのを聞きました.宋に何の罪があるのでしょう楚国にはありあまる土地があり,かえって人間足りません.それなのに足りない人間殺しありあまる土地を争うのは,知とはいえません.また罪のない宋を攻めるのは,仁とはいえません.非を知りながら主君諌めないのは,忠とはいえません.また諌めて聞き入れないようでは,剛直とはいえません.主義として少数人間殺さないのに,多数を殺すというのでは,類推の理を知るとはいえません」公輸盤はこの意見うなずいた墨子は,「それでは宋を攻めるのを中止してもらいたいというと公輸盤は,「それはできません.すでにこのことは王に申し上げています」と答えた墨子は,「私を王に目通りさせてください」と要求し公輸盤がそれを承諾した墨子は王に会っていった. 「いま自分の飾車をみすてて,隣家のぼろ車を盗もうとする人間があるとしましょう.また錦繍美服をすてて隣家粗布盗もうとする人間があるとしましょう.さらにまた粟や肉の美食をすてて隣家の糠糟を盗もうとする人間があるとしましょう.これはどんなに人間でありましょうか」 「必ずや盗癖があるのだ」 と王が答えた.よって墨子はいった. 「領地五千四方もあり,宋は五百四方でありますあたかも飾車とぼろ車のちがいがありますには「犀兕鹿麋」などが多数に住む雲夢沢があり,揚子江漢水の「鱉黿鼉」は天下の富でありますが,宋には雉兎狐狸さえもおりません.まさに,や肉の美食と糠糟のちがいがありますには長松・文・楩柟・櫲樟などの木があり,宋には高い木はありません.あたかも錦繍粗布違いあります.この三例からみて,大王が宋を攻められるのは,盗人のたとえと同じと考えます大王は必ず義を傷つけ,しかも得るところがないと存じます」 そこで楚王は, 「まことにもっともだ.しかし公輸盤は余のために雲梯作り,必ず宋を奪い取ろうとしている」 と答えた.そこで墨子公輸盤会った墨子は帯を解き,それで城の形を作り木札作った公輸盤が九たび城を攻め計略設けたが,墨子は九たびそれを防いだ公輸盤攻め道具尽きてしまったが,墨子防禦にはゆとりがあった.公輸盤降参していった. 「私はあなたを防ぐ方法知っているが,いわないでおきましょう」 そこで墨子はいった. 「あなたが私を防ぐ方法を私も知っているが,いわないでおきましょう」 と答えた楚王がその理由を問うと,墨子はいった. 「公輸子の考えは,ただ私を殺すことだけです.私を殺すと,宋を守ることができず,従って攻めることができます.しかし私の弟子の禽滑釐ら三百人は,すでに私の作った防禦道具持って宋の城の上にあって攻撃待っています.私を殺しても,宋を守る者を絶やすことはできません」 楚王は, 「わかった.余は宋を攻めないでおこう」 といった. 墨子帰国途中,宋を通り過ぎたがふったので,村里の門に雨宿りしようとしたが,門番入れなかった.これは諺にある通り,「ものごと神妙のうちに運ぶと,衆人何人功績であるかを知らず,功を人々目の前で争うと,衆人はその何人なるかを知る」のである。 この話は魯迅の『非攻』のモデルである他、酒見賢一小説、『墨攻』の冒頭でも登場する。なお『墨子』では、『問篇』でも一貫して公輸盤」「公輸子」と書かれる。

※この「『墨子』公輸篇」の解説は、「公輸盤」の解説の一部です。
「『墨子』公輸篇」を含む「公輸盤」の記事については、「公輸盤」の概要を参照ください。

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