『円紫さん』シリーズ
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大学で日本文学を学ぶ《私》は、恩師が同じであるという縁からファンであった落語家・春桜亭円紫の知遇を得る。知り合った席で話に出た恩師の不思議な体験について明快で合理的な説明を付けた円紫に対し、《私》はそれからもたびたび自らの身の回りで起こった疑問・謎を円紫に示す。円紫は、時に自らそれを解決し、時に《私》にヒントを与えて《私》自身による解決を促す。シリーズ開始当初は大学2年生である《私》が進行とともに時を重ね、成長していく成長小説の要素もあわせ持つシリーズである。 『六の宮の姫君』は、主人公が芥川龍之介の短編『六の宮の姫君』の創作の意図を解き明かすために、芥川の交友関係を探っていく文学推理もので、番外編ともいえる作品。坂木司は、大学在学中、新本格で湧く中、自分も書いてみたいと思う作品になり、学生生活においても卒論の作成に参考にしたと述べている。自著『先生と僕』にも物語中の人物が「卒論」に関連する書籍と紹介した。 『空飛ぶ馬』(1989年3月 東京創元社 / 1994年3月 創元推理文庫) - デビュー作収録作品:織部の霊 / 砂糖合戦 / 胡桃の中の鳥 / 赤頭巾 / 空飛ぶ馬 『夜の蝉』(1990年1月 東京創元社 / 1996年2月 創元推理文庫 / 2005年6月 双葉文庫)収録作品:朧夜の底 / 六月の花嫁 / 夜の蝉 『秋の花』(1991年2月 東京創元社 / 1997年2月 創元推理文庫) - 初の長編作品 『六の宮の姫君』(1992年4月 東京創元社 / 1999年6月 創元推理文庫) 『朝霧』(1998年4月 東京創元社 / 2004年4月 創元推理文庫)収録作品:山眠る / 走り来るもの / 朝霧 『太宰治の辞書』(2015年3月 新潮社 / 2017年10月 創元推理文庫)収録作品:花火 / 女生徒 / 太宰治の辞書(書き下ろし) / 白い朝(文庫版のみ)/ 一年後の『太宰治の辞書』(文庫版のみ)/ 二つの『現代日本小説大系』(文庫版のみ)
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