「社」と「杜」と「森」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 09:26 UTC 版)
漢和辞典での説明漢字読み意味社 音 シャ(漢) 1. 土地の神。神を祭る施設。2. 人々の集団。社会。3. 「会社」の略。 訓 やしろ 杜 音 ズ(呉)ト(漢) 1. 山野に自生する落葉果樹。2. ふさぐ。とじる。 訓 もり 神社境内の木立。 森 音 シン(漢呉) 1. 多数の樹木が生い茂る場所。(その他の意味は省略) 訓 もり 木偏の「杜」の音読みは呉音で「ズ」(ヅ)、漢音で「ト」であり、中国古来の意味では山野に自生する落葉果樹(ヤマナシ、コリンゴなど)を指すことはあっても「もり」の意味はない。訓読みには「もり」「やまなし」「ふさ-ぐ」があるが、「もり」は国訓とされる。一方、示偏の「社」の訓読みには「やしろ」のほかに「もり」もあったが、平安時代以降、示偏の「社」を「やしろ」、木偏の「杜」を「もり」と使い分けるようになった。このため、「杜(もり)」は神社の「鎮守の森」「ご神木」を意味するともされる。 しかし、「もり」という訓読みが共通する同訓異字の「森」と「杜」とは古くから混用されており、例えば鎌倉時代には地名であっても書き分けられていない。また、「杜の都」という表記の初発とみられている1916年(大正5年)発行の『仙台繁盛記』(富田広重 著)の中で、同じ著者が「森の都」と「杜の都」の両方を使用しているため、明治期に生まれた「森の都」という名称を、著者が意味の違いを意識して大正期に「杜の都」に書き換えたという説明も成り立たない。 1970年(昭和45年)に「公害市民憲章」を制定したのを機に、仙台を指す場合は「杜の都」が公式表記と定められた。これ以降、仙台市役所により「杜」と「森」とは意味が異なるとされ、「杜」は江戸時代から仙台の人々が植え育ててきた屋敷林や街路樹などの人工林を指し、それらが仙台の風土や歴史に立脚しているという説明がなされてきた。
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