「持つ者」と「持たざる者」との格差社会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:05 UTC 版)
「第一インターナショナル創立宣言」の記事における「「持つ者」と「持たざる者」との格差社会」の解説
マルクスは、ブリテンの大蔵大臣グラッドストンの議会演説(1864年4月7日)に言及しながら、社会病理と化した資本主義の実態を指摘した。 まず、1845年から1864年までにブリテンは目覚しい経済成長を遂げたが、「富と権力の驚くべき増大は、完全に中産階級(ブルジョワジー)に限られている」、この時期には貿易額、国家歳入の歴史的増加が見られる半面、「貧困の境涯に沈もうとしている人々の身の上、いっこうに上がらない…賃金、十中九まで生存のための闘争にすぎない…人生を、考えてみよ!」といったグラッドストンの発言を引用した。アイルランドでは「北部では機械に、南部では牧羊場によってしだいに駆逐され」、ジャガイモ飢饉を期に人口の急激な減少を経験した。まさに、マルクスが語った以下の言葉が脳裏に浮かばざるをえない。 「どこでも、上流階級の人間が社会的階段をのぼっていくのとすくなくとも同じ割合で、労働者階級の大多数はさらに一段と低く沈んでいった。機械の改良も、化学上の発見も、科学の生産への応用も、交通機関の新機軸も、新しい植民地も、海外移住も、市場の開発も、自由貿易も、あるいはこれらすべてを合わせたものも、勤労大衆の貧困をなくすことはできず、労働の生産力の新たな発展は、現在の欠陥のある基礎(資本主義経済)のうえでは、つねに社会的対比をふかくし、社会的敵対を鋭くする結果とならざるをえない。()内筆者補足」 マルクスは、産業の発展によって貧困は消滅するという資本主義の大言壮語は完全に破綻したと語り、社会の現実はまさにその逆の様相を呈していることを克明に非難した。そして、土地と資本の集中過程はさらに強化されて、富める者はますますと富み、貧しい者はますます貧しくなる不可避的な状況に陥っていると批判した(窮乏化理論)。1845年からの労働者の貧困と権利獲得を概括して資本の専制国家のもとでの従属状態の克服の必要を説いた。 「ブルジョア」および「プロレタリアート」も参照
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