「北朝鮮」へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 14:50 UTC 版)
「よど号ハイジャック事件」の記事における「「北朝鮮」へ」の解説
同日13時59分、よど号は北朝鮮に向かうべく板付空港を離陸。機長が福岡で受け取った地図は中学生用の地図帳のコピーのみで、航路の線も引かれていない大変に粗末なものだった。ただ、この地図の隅には「121.5MCを傍受せよ」(MCとはメガサイクルの略。現在のメガヘルツと同じ。民間航空緊急用周波数)と書かれており、機長と副操縦士はこれに従って飛行した。 よど号は朝鮮半島の東側を北上しながら飛行を続け、14時40分、進路を西に変更した。この前後、突如よど号の右隣に国籍を隠した戦闘機が現れる。戦闘機の操縦士は機長に向かって親指を下げ、降下(または着陸体勢)に入るようにとの指示を行うと飛び去った(国籍を隠しておらず、韓国空軍章を表示したままの戦闘機が現れたという説もある)。 よど号は北緯38度線付近を飛んでいた。実際にはよど号は北緯38度線を越えていたのだが、休戦ラインは完全に北緯38度線に沿っていないため、まだ韓国領の中にいた。のちに誤情報と判明するが、この際に北朝鮮側から機体に対し対空砲火が行われたとの情報が飛び交った。北朝鮮に入ったと考えた副操縦士は、指示された周波数に対して英語で「こちらJAL351便」と何度も呼びかけたが、なかなか応答が返ってこなかった。 その後、同機に対し「こちら平壌進入管制」という無線が入る。無線管制は、周波数を121.5MCから134.1MCに切り替えるよう指示してきた。これは、「理由のいかんを問わず、よど号を金浦に着陸させろ」との朴正煕直々の命令を受けていた韓国空軍の管制官が、北朝鮮の航空管制を装ったものであった。機長の石田は周波数が資本主義圏で使用するものであったことから無線は平壌からでないことを悟り、副機長の江崎もソウルから平壌に無線が切り替わったはずなのに管制官の声が酷似するなど不自然な点が多くソウルに誘導されていると感じていたが、そのまま管制の指示に従って徐々に進路を南に変更した。犯人グループは、亡命希望先の北朝鮮の公用語である朝鮮語はおろか英語もほとんど理解できなかったため、これらのやりとりに対して疑問を呈することはなかった。
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