「北朝鮮のイヴァンカ・トランプ」
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「金与正」の記事における「「北朝鮮のイヴァンカ・トランプ」」の解説
2018年2月9日、金与正は平昌冬季オリンピックの開会式に参加するため、仁川空港に降り立った。朝鮮戦争以来、北朝鮮を統治してきた金ファミリーの一員が韓国を訪問したのは、これが初めてであった。韓国のテレビ局は与正の着陸の模様を生中継し、微笑する彼女の姿を放送した。彼女は控えめに、また、しとやかで思慮深そうにふるまい、その様子に韓国国民は強い好感を示した。韓国のマスメディアは彼女が謙虚であること、そして、姿勢の美しいことを絶賛した。金与正は、南北朝鮮合同のアイスホッケーチームに声援を送り、開会式では韓国国歌に敬意をあらわして起立した。金与正は訪韓中、兄金正恩の親書をたずさえて青瓦台に赴き、文在寅大統領に平壌への招待状の入った青いフォルダを差し出した。そして青瓦台の芳名帳には「平壌とソウルが同胞の心のなかでもっと近づき、近い将来に統一と繁栄をもたらすことを願っています」と記した。彼女の「魅力攻勢」は続いていた。金与正は公式の場では何も語らなかったが、非公式には韓国側にさわやかで率直な人間であることを印象づけることに成功し、メディアは彼女を評して「北朝鮮のイヴァンカ・トランプ」と形容した。彼女は確かに、節度を欠いた言動をとり、笑いものにされることも多い男性親族における、節度があって親しみやすい他の側面を映し出しているかにみえた。しかし、北朝鮮側は、この訪問で自分たちが人目にさらしてよいと判断したもの以外は徹底的に隠匿した。与正は5つ星ホテルの貴賓室に泊ったが、自身が睡眠をとるために簡易ベッドを持ち込んでおり、チェックアウト後は部屋にシミ一つさえ残さなかった。指紋1つどころか髪の毛1本さえも残さなかったので、韓国の情報機関は彼女のDNAサンプルを入手することはできなかった。
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