都心 京阪神大都市圏

都心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 06:11 UTC 版)

京阪神大都市圏

近畿圏は、主に大阪市京都市神戸市を中心に京阪神大都市圏近畿大都市圏とも呼ぶ)を形成しており、一般的にはその範囲は2府4県(大阪府京都府兵庫県奈良県滋賀県和歌山県)に及ぶ(三重県伊賀地方を含めることもある)。日本で二番目に大きな都市圏であり、西日本の中心的地域でもある。また、世界有数の都市圏でもあり、人口規模はロサンゼルスに匹敵する。その中でも、特に大阪に中心業務機能が集中し、近畿圏(関西地方)におけるビジネスセンターとなっている。また、大阪市の都心部は、大阪都心6区と呼ばれる。これらは中世からの伝統的な都心である船場地区に加え、古代(4世紀〜)に大阪の都心であった上町地区、また江戸時代に開発された下船場中之島堂島島之内などを包括している。また京都市でも、上京区中京区下京区の3区を、京都都心3区や洛中3区と呼ぶことがある。

圏内の政令指定都市

首都圏における東京の地位と比べ、近畿大都市圏における大阪への企業本社の集積は圧倒的ではなく、またかつての首都であったなどの歴史的な経緯から京都市や港町の神戸市に本社を置く企業も多い。京都市及び神戸市ともに昼夜間人口比率は100を上回り、それぞれ都市圏が設定されている。しかし京都では、任天堂京セラなど多くの上場企業の本社が中心業務地区ではなく郊外に分散し、神戸は、山と海に挟まれた地形のため都心の土地が狭く、旧来の都心地区以外のポートアイランドなどの埋立地などへ業務地集積が進んでいる。

堺市は、大阪市の都市化の膨張に呑み込まれる形で発展したため、自ら都市の中心を持たない拠点性のない衛星都市ベッドタウン)型の街として今日に至っている。戦前戦後を通じ、周辺部の農村を合併し市域を拡張したが、大阪市への依存度が大きく、結果的に市域内に拠点性を持たないまま都市化が進んでしまった。

大阪市および大阪都市圏

梅田方面を望む
難波方面

大阪市および大阪都市圏の都心部は平地で格子状の道路が整備され、地下鉄各路線が縦横に走っている。都心は下町と工業地帯で周囲が囲まれ、その外側に山の手郊外住宅地が広がる都市構造を持ち、都心とホワイトカラー住宅地(ベッドタウン)が隔絶されている。「大阪都心6区」も参照。

大阪の都心部

大阪都心6区

大阪市の都心部は、現在は御堂筋及び地下鉄御堂筋線を背骨として大阪環状線内(西側は新なにわ筋まで)に面的に広がる。旧来の都心部は堺筋を中心として堂島川以南・道頓堀川以北・東西はそれぞれ横堀川に囲まれたエリアであったが、大正期に第七代大阪市長関一によって御堂筋の拡幅や地下鉄御堂筋線の整備がなされ、戦後復興期の梅田エリアの整備(闇市を整理し再開発ビル<大阪駅前第一~第四ビル>の建設)もあり、御堂筋を中心として北は梅田まで、南は難波までの地域を中心として形成されるようになった。在阪大手私鉄の主要幹線は実質的な延長路線を含めて考えると全ての路線が御堂筋線と接続しており、それぞれターミナルを形成している。大阪では梅田を中心としたキタと難波・心斎橋を中心としたミナミが2大繁華街に位置付けられており、特にミナミは心斎橋・難波・道頓堀・千日前などが広域的かつ一体的な巨大な繁華街を形成している。キタ・ミナミ以外にも天王寺・阿倍野や新世界といった繁華街を持つ。

関西圏では神戸市京都市には大阪市に通勤通学する者も多くいるが両都市に本社を持つ企業も多い。東京圏のさいたま市・千葉市・横浜市などと異なり、両市はそれぞれの神戸都市圏京都都市圏を形成し、昼間人口比率も100を越えている。そのため、京阪神の三都それぞれの都心部を結ぶJRや私鉄線が乗り入れる梅田淀屋橋の駅前にオフィス需要が大きく、特に梅田は大規模再開発により伝統的なオフィス街・中心業務地区(CBD)である淀屋橋・中之島・船場を越える超高層ビル群を形成している。他にもOBP(大阪ビジネスパーク)に超高層ビル街が見られる。また、大阪市・神戸市・京都市はJR西日本及び関西私鉄各社の鉄道網で結ばれている。

また、地下鉄御堂筋線と高速道路のような高架道路の新御堂筋(国道423号線)をインフラとした新大阪江坂千里中央でも業務機能が集中し、副都心としての再開発が進んでいる。

大阪の副都心

大阪市の場合は都心と副都心をはっきり区別するということが一般的でないものの、高校地理では、都心は梅田・堂島中之島・淀屋橋・本町・心斎橋・難波(なんば)・堀江、副都心は京橋・OBPと天王寺・新大阪・福島としている。その他、副都心と定義されて列挙されることが多い箇所は以下の通り。なお、梅田も副都心とみなす場合がある[18]

大阪市内
大阪市郊外

京都市および京都都市圏

京都市都心部の夜景
ビジネス街の四条烏丸

京都府の都市計画区域マスタープランでは、都心は四条烏丸を囲む幹線道路(河原町通五条通堀川通御池通)の地域周辺を指し[19]、京都市の立地適正化計画では、歴史的都心地区、京都駅周辺、二条丹波口梅小路周辺の3つの広域拠点を都心と呼ぶ[20]四条河原町と四条烏丸は隣接しており、四条河原町は繁華街、四条烏丸はビジネス街としての性格が強い。

上京区中京区下京区を都心3区、あるいは東山区を加えて都心とすることもある[21]

京都市の都心

神戸市

立地適正化計画公表済み[4]

都心
副都心
新都心

堺市

堺市堺東

立地適正化計画未作成(都心不確定)[4]

都心
新都心
副次拠点

注釈

  1. ^ 耐震設計などの技術革新により、海に近い低層地でも適地であれば超高層ビルが続々建設されるようになった。
  2. ^ 例:三省堂『新コンサイス和英辞典』(机上版)第1版(1976)においては、「都心」の訳語にthe center 〔heart〕 of Tokyo.のみが挙げられている。
  3. ^ 東武鉄道浅草駅が開業したのは1931年、それまでは東武亀戸線を経由して総武鉄道(現JR総武線)に乗り入れて両国橋駅を都心側ターミナルとしていた時期もあった
  4. ^ 降雪期以外の半年間営業。
  5. ^ 夏季運行。
  6. ^ 広電駅前大橋線・環状線計画で電停が改廃予定。
  7. ^ 一体的な福岡都心エリアから離れている東比恵駅および福岡空港駅が、都市再生整備計画事業の範囲に飛び地的に組み込まれた形になっているので、両駅は統計から外した。

出典

  1. ^ 都心』 - コトバンク
  2. ^ 立地適正化計画の意義と役割 ~コンパクトシティ・プラス・ネットワークの推進~(国土交通省)
  3. ^ a b c 都市計画運用指針における立地適正化計画に係る概要(国土交通省 都市局 都市交通課)
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n 立地適正化計画の作成状況(国土交通省)
  5. ^ 札幌市都心における地区まちづくり推進制度
  6. ^ 千葉市立地適正化計画
  7. ^ なごや集約連携型魅力ある名古屋ライフスタイルを育む大都市の形成のために
  8. ^ 川越市 4.都市機能誘導区域
  9. ^ 第5章 都市機能誘導区域(長岡京市)71P
  10. ^ 三省堂・Web_Dictionary
  11. ^ [1] (PDF) 財務省による使用例《2014年1月14日閲覧→現在はインターネットアーカイブに残存》
  12. ^ 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部(編集) 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 26号 総武本線・成田線・鹿島線・東金線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年1月17日、16-19頁。 
  13. ^ エキサイトよこはま22 横浜駅周辺大改造計画 概要版(改訂版) (PDF) 横浜市都市整備局都心再生部都心再生課、平成25年(2013年)6月発行。
  14. ^ 関内・関外地区活性化推進計画(概要版) (PDF) 横浜市都市整備局都市再生推進課、平成22年(2010年)3月発行。
  15. ^ 新横浜都市整備基本構想パンフレット(1999年) (PDF) 横浜市都市計画局都市企画部企画調査課、平成11年(1999年)6月発行。
  16. ^ 横浜市都市計画マスタープラン(全体構想) (PDF) 横浜市都市整備局企画部企画課、平成25年(2013年)3月発行。
  17. ^ 上大岡が副都心に選ばれた理由、そして副都心の定義とは?(はまれぽ.com 2012年8月19日)
  18. ^ 小項目事典,世界大百科事典内言及, デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典. “副都心(フクトシン)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年5月10日閲覧。
  19. ^ 京都都市計画区域マスタープラン”. 京都府. p. 6. 2021年3月6日閲覧。
  20. ^ 京都市持続可能な都市構築プラン
  21. ^ 京都都市圏をめぐる現状 巻末資料”. 京都TDM施策基本計画. 京都府. p. 6. 2021年3月2日閲覧。
  22. ^ 平成30年確報 地域別統計表|工業統計調査|経済産業省”. www.meti.go.jp. 2020年2月13日閲覧。
  23. ^ 地方拠点強化税制 - 内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣府地方創生推進事務局
  24. ^ 日本の超高層ビル(札幌市)
  25. ^ JR札幌駅、苗穂駅(都市機能誘導区域(都心の範囲))(札幌市)
  26. ^ 札幌市交通局 地下鉄(高速電車)の概要(札幌市)
  27. ^ 札幌市交通局 路線図(札幌市)
  28. ^ 都心内100円バス(札幌市「さっぽろえきバスnavi」)
  29. ^ ポロクル(特定非営利活動法人ポロクル)
  30. ^ 「さっぽろうぉ~く」や「さっぽろ散策バス」について知りたい(札幌市コールセンター)
  31. ^ [2] 日本の高層ビル(仙台市)
  32. ^ [3] 日本の高層ビル(広島市)
  33. ^ 広島市観光レンタサイクル「ぴーすくる」NTTドコモ
  34. ^ [4] 日本の高層ビル(北九州市)
  35. ^ 北九州100円バス(西鉄バス北九州「にしてつバスっちゃ!北九州」)
  36. ^ 市営バスの100円バスの運行について(北九州市)
  37. ^ シティバイク
  38. ^ [5] 日本の高層ビル(福岡市)
  39. ^ 福岡都心100円バス西日本鉄道「西鉄くらしネット」)
  40. ^ 中心市街地活性化基本計画データベース
  41. ^ 各区域及び誘導施設の設定
  42. ^ 都心アクセス強化(札幌市)
  43. ^ JR琴似駅周辺地区
  44. ^ 札幌駅前通地下歩行空間(札幌市)
  45. ^ (仮称)札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業
  46. ^ (仮称)札幌駅交流拠点北5西1・西2地区第一種市街地再開発事業
  47. ^ 大通西4南地区第一種市街地再開発事業 - 都市計画の決定・変更 札幌市
  48. ^ 新さっぽろ駅周辺地区のまちづくり(札幌市)
  49. ^ 都心の構造(札幌市)
  50. ^ すすきのエリアMAP 一般社団法人すすきの観光協会
  51. ^ 豊水地区の出来事(札幌市)
  52. ^ 「札幌市長期総合計画」の「厚別副都心開発基本計画」(昭和46年)において「副都心」として位置づけた厚別地区、現在の新さっぽろ駅周辺の開発推進のため昭和49年に設立され、副都心形成の実現に向けてまい進して参りました。(株式会社 札幌副都心開発公社)
  53. ^ ○流通業務地区 都市の流通業務機能を向上させるために定めます。本市では、「大谷地流通業務地区」として、面積187haを指定しています。〔令和元年(2019年)8月31日現在〕
  54. ^ a b 市制等資料番号 重点整備地区候補(札幌市)
  55. ^ 都市再生整備計画の区域
  56. ^ 仙台市都市計画マスタープラン地域別構想(都心地区・泉中央地区・長町地区)
  57. ^ a b 都市計画マスタープランの策定について(仙台市)
  58. ^ 福岡市内の都市再生緊急整備地域
  59. ^ 福岡空港事務所からのお知らせ (PDF) (国土交通省大阪航空局)… 福岡空港の制限表面区域図あり。
  60. ^ 博多コネクティッド
  61. ^ 天神ビッグバン
  62. ^ ウォーターフロント地区(中央ふ頭・博多ふ頭)再整備の事業内容の見直しについて 福岡市
  63. ^ 都心部(福岡市)
  64. ^ 福岡流通業務地区における施設の建設等の許可基準(流通業務団地を除く)等
  65. ^ a b 福岡市が目指す将来像(福岡市)
  66. ^ ひろしま都心のあした(中国新聞)
  67. ^ 航空法による手続きについて(広島市。広島西飛行場の制限表面について記載あり)
  68. ^ 北九州市小倉都心地区都市再生整備計画 (PDF) (北九州市)
  69. ^ 社会資本総合整備計画 北九州市小倉都心地区都市再整備計画 (PDF) (北九州市 2012年3月29日)
  70. ^ 第1部 まちづくりの背景と基本姿勢 (PDF) (北九州市)
  71. ^ a b c 北九州市中心市街地活性化基本計画(小倉地区・黒崎地区)について (PDF) (国土交通省)






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