都心 都心の概要

都心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 19:11 UTC 版)

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概要

都心と中心部

都市は、行政機能・業務機能(企業の本社が置かれる)・商業機能(卸売小売)・飲食機能(外食)・宿泊機能など、いくつもの機能を持ち合わせているが、「都心」という場合は、業務機能が集中する中央業務地区(英国では CBD : central business district、米国では : Downtown)を指すことが多い。それは、大都市では単位床面積あたり売上額が業務部門で最も高く、都市における富の中心を成すためである。

ただし、高級デパートや高級ブランド店など、高額商品を扱う小売店も単位床面積あたりの売上額が大きいため、それらが集中する地区も富の中心として都心と見なされることもある。地価または賃料に見合う売り上げがなければビジネスは成り立たないが、地価の変動や建築物の高層化などにより単位床面積あたりの賃料が変化し、都心の機能が変化することもある。

東京大阪名古屋三大都市圏では、地区による機能分担が進み、広大な中心業務地区を有している。中心業務地区には日本を代表する大企業の本社が集まり、日本全国のみならず、全世界から売り上げ(富)が集まってくるため、「都心」という言葉が使用される。東京大都市圏(首都圏関東地方)においては東京の中心部を指した「東京都心」または「東京都心部」の略として、単に「都心」という言葉が頻繁に使用される。また、広大な商圏を持ち、売上高が大きい中心商業地も富の中心として都心に含まれている。

三大都市圏以外の大都市のうち、札幌都市圏仙台都市圏広島都市圏福岡都市圏は大企業の本社は少なく、地域子会社や支社・支店、および地元企業が集まる「支店経済」型の中心業務地区が形成されている。製造業が発展している北九州都市圏では、業務機能が工業地に分散されるため都心の規模はその人口と比べ小さい。業務対象地域の人口規模によっては業務よりも商業(物販・サービス)における富の方が大きい場合もあり、中心地域は業務地と商業地(繁華街歓楽街)が混在している。そのため「都心」という言葉を使わずに「中心部」や「中心地」と言うことが多い。ただし、周辺の中小規模都市の商機能低下を受けて中心部商業地の商圏が拡大し、ブランド街が形成されて都心化している都市も出てきている。

さらに小規模な都市においては、工業の発達や交通の要衝(卸売)として、あるいは地方を管轄する機能の存在(金沢市高松市など)により人口増が見られたが、業務対象地域の人口が決定的に少ないため、中心部は業務機能よりも商業が富の中心となり、明確な「都心」は形成されず、主に人口規模に応じた「中心部商業地」のみが存在していた。このような業務による求心力がない中心部は、近年の郊外ロードサイドショップや郊外大規模小売店(GMS など)の登場、大病院の郊外移転などにより、急速に空洞化が進行している。ただし、郊外店は主に、最寄品から買回品のみ扱うため、高級な買回品から専門品を求め大都市中心部の商業地へ向かう購買行動が見られる。

副都心

東京では都心への業務集中によって「通勤地獄」とまで言われる通勤ラッシュが常態化してしまい、道路も渋滞が深刻化して経済損失が大きくなった。また地震や地盤強度の問題などから超高層ビルを建てづらく、都心部のみで中心業務地を賄えなかったため、東京都内に新たな業務指定地区を設定して「副都心」とした。さらに、バブル経済期には地価が暴騰したため、都内に「副々都心」、周辺県には「新都心」と呼ばれる業務指定地区を設け、中心業務地の分散を図った。

新都心

副都心以外でも、郊外に新規開発をして都心を形成したところや、都市の中心部を再開発して都心の機能を高めたところを新都心と称することがある。東京近郊の新都心については、後節「東京隣県の拠点地区」を参照。

関東大都市圏

東京は世界最大の都市圏人口を有する、有数の世界都市である。また日本の富が一極集中し、他の都市と比べて格段に大きな中心業務地区を形成している。

中心業務地区は広大なため地域ごとに機能分担が進んでおり、「都心」「副都心」の範囲は用いる指標により変化し、定義によっては無数の副都心を持つことになる。また都心・副都心以外にも商業中心をいくつも持ち、他都市の何倍もの商機能集積を見せる。ただし、安価な高速鉄道網が高密度に張り巡らされ、都市圏内が時間的に近接するため空間的な広大さは感じにくくなっている。

関東地方において単に「都心」と言った場合は東京都の中心部を示すことが大半であり[† 1][1]、マスメディア報道などで横浜市千葉市さいたま市川崎市相模原市の中心部のことを「都心(部)」と呼ぶことは皆無に近い。特に、東京都の都心3区(千代田区中央区港区)に、大衆的な認知度の高い新宿区渋谷区を加えた5区を指して都心と云うケースが多い。また、報道用語としては東京23区のことを「東京都心」と呼ぶこともある。

東京における都心

主な範囲

都心という概念は明治時代江戸から東京に改められ定められた区制、市制などの大都市制度に基づいており1878年郡区町村編制法が制定され、宮城(皇居)周辺の都心部に、麹町区神田区日本橋区など15区が定められた。1889年(明治22年)には、この都心15区に市制が施行され、東京市となる。1932年、周辺82町村が編入され、既存の都心15区に加えて、郊外20区が定められ、35区となり、1958年までは、千代田区中央区港区新宿区文京区台東区を『都心6区』と呼んだ。現在は「東京都心」に対する明確で統一的な定義はなされていない。

メディアおよび行政、不動産業界が使用している『都心3区』や『都心5区』などは、東京都が定める正式な区分ではなく、あくまで便宜上の造語である[2]。そのため、同じ『都心◯区』でもメディアごとに区分がまちまちである。使用例として特別区中枢の千代田区中央区のほかに市街地から南寄りの港区などを含めて『都心3区』、さらに区の全域が東京の旧市内に含まれる文京区台東区を含めて『都心5区』と呼ぶ場合もある。旧東京市を含む地域として都心8区の区分もあり(中央区、千代田区、港区、文京区、台東区、新宿区、墨田区、江東区)。

東京の副都心

副都心

西新宿

都心への業務機能の分散の観点から、東京都が策定した副都心は7か所存在する。

新宿、渋谷、池袋の3地区は1958年に東京都心の機能分散を目的に指定され、副都心の中でも最も重要な地域であるため『3大副都心』と称されることがあり、指定からちょうど半世紀を経た2008年にはこの3地区を結ぶ地下鉄路線がそのまま「副都心線」の名称で開業した。上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎は1982年にバランスの取れた東京の育成を目的として副都心に追加された。そして、1995年に臨海副都心が追加された。

鉄道が電化されるまでは皇居付近への乗り入れが認められていなかったため、北は上野、南は新橋、東は両国橋(現両国)、西は万世橋(後の交通博物館前)が端点となっており、品川・渋谷・新宿・池袋・赤羽が他の鉄道路線との接続駅となった。3大副都心及び上野・浅草は、東京市戦前私鉄の都心(山手線内と15区内の大部分)乗り入れを認めなかったことから、郊外へのターミナル駅として発達した。上野は東北北陸方面への「北の玄関口」として発達し、京成電鉄の拠点ともなった。古くから繁華街であった浅草は東武鉄道の拠点ともなった。また、池袋は東武及び西武の、新宿は京王小田急、西武の、渋谷は京王、東急の、品川は京急のそれぞれ拠点として発展を遂げた。

臨海副都心以外の6副都心は「副都心整備指針」で、臨海副都心は「臨海副都心まちづくり推進計画」などで定められている。そのため、東京都の都市計画では、6副都心と臨海副都心は別扱いになることがある。たとえば、6副都心には定められている業務商業市街地ゾーンや複合市街地ゾーンが臨海副都心にはないなどである。

新宿副都心の内、都庁がある新宿区西新宿を特に新都心という場合もある(新宿副都心全体を指す場合もある)。

新拠点

2001年(平成13年)の「東京の新しい都市づくりビジョン」で東京都が定めた、副都心に準ずる地域。交通の要衝であり、多様な機能を備えた複合拠点として再開発が進められている。

また、東京都都市計画ではミクロ化した生活拠点(交通結節点における商業、福祉、文化、教育の中心地)が挙げられており、品川区大井町、大田区蒲田、中野区中野、杉並区荻窪、北区赤羽など特別区内約20箇所、区外では武蔵野市吉祥寺、多摩市聖蹟桜ケ丘など10箇所を挙げている。

東京隣県の拠点地区

新都心

東京近郊の新都心(新副都心)として、以下の3か所がある(北からの順で表記)。

これらは、東京都心に集中したオフィスを分散するために計画された。旧国鉄操車場跡や工場跡、または埋め立てなどによる未開発地域などの広い土地が用意され、ある程度分散はしたが、集積とまでは行かなかった。そのため現在でもこれらの地区には空き地が多く残り、開発に伴う負債が各自治体の財政を圧迫しているが、官公庁庁舎の移転や企業誘致活動などにより徐々に改善しつつある。さいたま新都心は東京から関東地方などを管轄する一部の政府機関が移転している。幕張新都心は国内外の約450社の企業が活動するオフィスビル街となっており、業務機能や研究開発機能が集積している。みなとみらい21はみなとみらい線が開通し、大企業の本社誘致に成功している。

圏内の政令指定都市

以上の東京を中心とした関東大都市圏の視点での機能分担の他に、各自治体ごとでも都心·副都心の指定がある。以下は圏内の政令指定都市の例。

さいたま市
都心景観拠点 - 浦和駅周辺地区、大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区
副都心景観拠点 - 武蔵浦和地区、美園地区、日進·宮原地区、岩槻駅周辺地区
千葉市
都心 - 千葉都心(千葉駅千葉中央駅本千葉駅千葉みなと周辺)
新都心 - 幕張新都心海浜幕張駅周辺)
副都心 - 蘇我副都心蘇我駅周辺)
千葉市には、都心・新都心・副都心と異なる名称を与えられた地区があるが、3者とも機能的には「都心」としている。
重要地域拠点(副都心機能)- 稲毛幕張都賀鎌取
地域拠点(生活拠点) - 検見川浜稲毛海岸土気誉田千城台西千葉検見川幕張本郷浜野
産業拠点(産業集積地) - 川崎町新港、千種町など
横浜市
都心(ツインコア) - 横浜都心(関内・関外地区、横浜みなとみらい21(MM21)地区、横浜駅周辺地区[4][5]及び新横浜都心(城郷地区(小机駅周辺地区)、羽沢地区羽沢横浜国大駅周辺地区)、新羽地区(新羽北新横浜駅周辺地区)、新横浜地区(新横浜駅周辺地区))[6]
主要な生活拠点(旧:副都心)[7][8] - 鶴見駅周辺、港北NT(港北ニュータウン)センター二俣川鶴ヶ峰駅周辺、戸塚駅周辺、上大岡駅周辺
川崎市
広域拠点 - 川崎駅周辺地区、武蔵小杉駅周辺地区新百合ヶ丘駅周辺地区
川崎市には「広域拠点」が3つあるが、都心・副都心などに分類されていない。
相模原市
都市の核 - 橋本駅相模大野駅相模原駅の周辺
相模原市はベッドタウン的要素が強く、小規模な都心が複数存在する。なお、中心市街地法では橋本駅周辺と相模大野駅周辺が都市核と認定され、神奈川県の地域計画では橋本駅周辺が広域拠点とされている。



注釈

  1. ^ 例:三省堂『新コンサイス和英辞典』(机上版)第1版(1976)においては、「都心」の訳語にthe center 〔heart〕 of Tokyo.のみが挙げられている。
  2. ^ 降雪期以外の半年間営業。
  3. ^ 夏季運行。
  4. ^ 広電駅前大橋線・環状線計画で電停が改廃予定。
  5. ^ 一体的な福岡都心エリアから離れている東比恵駅および福岡空港駅が、都市再生整備計画事業の範囲に飛び地的に組み込まれた形になっているので、両駅は統計から外した。2020年度の福岡市地下鉄七隈線延伸で地下駅が2駅新設予定。

出典

  1. ^ 三省堂・Web_Dictionary
  2. ^ [1] (PDF) 財務省による使用例《2014年1月14日閲覧→現在はインターネットアーカイブに残存》
  3. ^ 横浜市都市計画マスタープラン(全体構想) (PDF) 平成25年3月発行。編集・発行、横浜市都市整備局企画部企画課。
  4. ^ エキサイトよこはま22 横浜駅周辺大改造計画 概要版(改訂版) (PDF) 平成25年6月。発行・編集、横浜市都市整備局都心再生部都心再生課。
  5. ^ 関内・関外地区活性化推進計画(概要版) (PDF) 平成22年3月。横浜市都市整備局都市再生推進課。
  6. ^ 新横浜都市整備基本構想パンフレット(1999年) (PDF) 平成11年6月発行。横浜市都市計画局都市企画部企画調査課。
  7. ^ 横浜市都市計画マスタープラン(全体構想) (PDF) 平成25年3月発行。編集・発行、横浜市都市整備局企画部企画課。
  8. ^ 上大岡が副都心に選ばれた理由、そして副都心の定義とは?(はまれぽ.com 2012年8月19日)
  9. ^ 京都市持続可能な都市構築プラン”. 2019年6月18日閲覧。
  10. ^ 平成30年確報 地域別統計表|工業統計調査|経済産業省”. www.meti.go.jp. 2020年2月13日閲覧。
  11. ^ オフィスデータ三鬼商事
  12. ^ 札幌都心地区中心市街地活性化基本計画(札幌市)
  13. ^ 都心内100円バス(札幌市「さっぽろえきバスnavi」)
  14. ^ ポロクル(特定非営利活動法人ポロクル)
  15. ^ 「さっぽろうぉ~く」や「さっぽろ散策バス」について知りたい(札幌市コールセンター)
  16. ^ 都市再生整備計画の区域(仙台都心地区) (PDF) (宮城県)
  17. ^ まちづくり交付金事後評価〔広島都心地区〕事後評価シート(広島市)
  18. ^ 広島市観光レンタサイクル「ぴーすくる」NTTドコモ
  19. ^ 北九州市小倉都心地区都市再生整備計画(北九州市)
  20. ^ 北九州100円バス(西鉄バス北九州「にしてつバスっちゃ!北九州」)
  21. ^ 市営バスの100円バスの運行について(北九州市)
  22. ^ シティバイク
  23. ^ 都市再生整備計画事業(旧まちづくり交付金)について(福岡市)
  24. ^ 福岡都心100円バス西日本鉄道「西鉄くらしネット」)
  25. ^ 福岡空港事務所からのお知らせ (PDF) (国土交通省大阪航空局)… 福岡空港の制限表面区域図あり。
  26. ^ ひろしま都心のあした(中国新聞)
  27. ^ 航空法による手続きについて(広島市。広島西飛行場の制限表面について記載あり)
  28. ^ 北九州市小倉都心地区都市再生整備計画 (PDF) (北九州市)
  29. ^ 社会資本総合整備計画 北九州市小倉都心地区都市再整備計画 (PDF) (北九州市 2012年3月29日)
  30. ^ 第1部 まちづくりの背景と基本姿勢 (PDF) (北九州市)
  31. ^ a b c 北九州市中心市街地活性化基本計画(小倉地区・黒崎地区)について (PDF) (国土交通省)
  32. ^ 平成16年事業所・企業統計調査全国結果 事業所に関する集計第1表および第2表(総務省統計局)
  33. ^ 地方賃貸オフィス市場と投資市場 (PDF) (ニッセイ基礎研究所)
  34. ^ 発表資料(2009年12月末現在) (PDF) (財団法人日本不動産研究所 2010年9月9日)
  35. ^ 全国オフィスビル調査(2009年12月末時点)の結果 (PDF) (財団法人日本不動産研究所)





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