ホスカルネット ホスカルネットの概要

ホスカルネット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/02/06 01:25 UTC 版)

ホスカルネット
Foscarnet.svg
IUPAC命名法による物質名
phosphonoformic acid
臨床データ
胎児危険度分類
法的規制
  • ℞-only (U.S.), POM (UK)
投与方法 静脈注射
薬物動態的データ
生物学的利用能 NA
血漿タンパク結合 14-17%
半減期 3.3-6.8 hours
識別
CAS番号 63585-09-1 (trisodium salt)
ATCコード J05AD01
PubChem CID 3415
DrugBank APRD00669
別名 phosphonomethanoic acid, dihydroxyphosphinecarboxylic acid oxide
化学的データ
化学式 CH3O5P 
分子量 126.005 g/mol
300.1 g/mol (foscarnet trisodium hexahydrate)

サイトメガロウイルス(CMV)感染症の治療に用いられる。商品名はホスカビル®。(ノーベルファーマ製造販売)

効能・効果

  1. 後天性免疫不全症候群患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎[1]
  2. 造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス血症
  • 先天性もしくは新生児サイトメガロウイルス感染症は効能・効果ではない
  • 感染予防に用いる事は出来ない

海外ではCMVの治療の他、単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)の治療に用いられる。又、既治療のHIV救済療法英語版にも用いられる[2][3][4]

作用機序

このホスホン酸の構造はピロリン酸に類似している[5]ので、ヒトのDNA合成酵素を阻害しない濃度で選択的にウイルスのDNAポリメラーゼのピロリン酸結合部位に結合して、ウイルスのDNA合成を阻害する[1]

アシクロビルガンシクロビル既治療のHSV、CMVは変異プロテインキナーゼ(チミジンキナーゼ英語版やUL97(キナーゼ活性が有る))を持っている事が有り、その場合はこれらの抗ウイルス剤に耐性を示す。然し、ホスカルネットはウイルス性プロテインキナーゼに因る活性化が不要であり、アシクロビルやガンシクロビルに耐性のHSV、CMV感染症にも有用である。然し乍ら、アシクロビル・ガンシクロビル耐性変異がホスカルネットに耐性を示す場合も見られる[6][7]

副作用

添付文書に重大な副作用として記載されているものは、ショック、急性腎不全、心不全、心停止、血栓性静脈炎、痙攣発作、テタニー、呼吸抑制、麻痺性イレウス、失語症、痴呆、横紋筋融解症、敗血症である。

その他、10%以上に発現する副作用として、貧血、血中ヘモグロビン減少、顆粒球減少、腎機能異常、低マグネシウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、悪心・嘔吐 、知覚異常、頭痛、発熱が挙げられている。

参考資料




  1. ^ a b 点滴静注用ホスカビル注24mg/mL 添付文書” (2012年2月). 2015年2月6日閲覧。
  2. ^ Canestri A, Ghosn J, Wirden M, et al. (2006). "Foscarnet salvage therapy for patients with late-stage HIV disease and multiple drug resistance". Antivir. Ther. (Lond.) 11 (5): 561–6. PMID 16964823. 
  3. ^ Mathiesen S, Dam E, Roge B, et al. (2007). "Long-term foscarnet therapy remodels thymidine analogue mutations and alters resistance to zidovudine and lamivudine in HIV-1". Antivir. Ther. (Lond.) 12 (3): 335–43. PMID 17591023. 
  4. ^ Meyer PR, Rutvisuttinunt W, Matsuura SE, So AG, Scott WA (2007). "Stable complexes formed by HIV-1 reverse transcriptase at distinct positions on the primer-template controlled by binding deoxynucleoside triphosphates or foscarnet". J. Mol. Biol. 369 (1): 41–54. doi:10.1016/j.jmb.2007.03.006. PMC 1986715. PMID 17400246. 
  5. ^ Meyer PR, Rutvisuttinunt W, Matsuura SE, So AG, Scott WA (May 2007). "Stable complexes formed by HIV-1 reverse transcriptase at distinct positions on the primer-template controlled by binding deoxynucleoside triphosphates or foscarnet". J. Mol. Biol. 369 (1): 41–54. doi:10.1016/j.jmb.2007.03.006. PMC 1986715. PMID 17400246. 
  6. ^ Bonnafous P, Naesens L, Petrella S, et al. (2007). "Different mutations in the HHV-6 DNA polymerase gene accounting for resistance to foscarnet". Antivir. Ther. (Lond.) 12 (6): 877–88. PMID 17926642. 
  7. ^ Tchesnokov EP, Gilbert C, Boivin G, Götte M (February 2006). "Role of helix P of the human cytomegalovirus DNA polymerase in resistance and hypersusceptibility to the antiviral drug foscarnet". J. Virol. 80 (3): 1440–50. doi:10.1128/JVI.80.3.1440-1450.2006. PMC 1346920. PMID 16415021. 


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