河川の水質とは? わかりやすく解説

河川の水質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 20:05 UTC 版)

指標生物」の記事における「河川の水質」の解説

河川においては昆虫貝類中心とする水生動物相が、富栄養化などによって大きく変わることはよく知られており、それが水質汚濁良い指標として利用される古くは、20世紀初頭にコルクヴィッツやマールソンが指標化の方法開発している。これは、あらかじめ様々な汚濁段階水域特徴である指標生物選んでおき、採集され動物相の中の優占種がどこに属するかによって判断するものであった数値化方法として有名なのがベックによる方法である。彼は河川生息する動物代表的なもの選び、それを水質汚濁耐性のない種(intolenant species)と耐性ある種(tolenant species)に分けた。そして、ある地点河川水生動物調査行って得られ動物のうち、それぞれの種数前者をA、後者をBとしたとき、2A+Bの値をもって生物指数(biotic index)と呼んだ。この生物指数大きい方が清冽で、小さい方が汚濁進んでいると判断される。これをベックと言いその後生物による水質判定基礎となった日本では津田がこれに若干の手加えたベック・ツダ法がよく使われている。ベック・ツダ法では、採集法として50cm四方コドラート法による採集と、周辺でのランダムな採集行い、これにより発見され種類について上記のような計算をおこなうものである河川における生物指標としては、この他分類群ごとの個体数勘案するパントル・バック法もある。この方法では、生物汚濁への耐性四段階に分けそれぞれに数値与えて累積し、それを出現個体数で割る、といった操作が行われる。 現在では、環境省がこれをさらに簡略化し、分類群区別大まかながらわかりやすくしたものがある。この方法は、さほど厳密な同定をせずとも利用可能なため、小中学校の実習等にもよく利用されている。 カワゲラウォッチング参照

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河川の水質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:37 UTC 版)

利根川」の記事における「河川の水質」の解説

吾妻川中和事業について詳細品木ダム参照利根川水系河川における水質について、利根川本流久喜市栗橋における計測2009年平成21年)の平均値生物化学的酸素要求量 (BOD) が1.3 mg/lおおむね良好な水質保たれている。主要な支流では烏川渡良瀬川鬼怒川小貝川江戸川では利根川同様水質おおむね良好な数値維持しているが、都市部流れ支流については水質良いとは言いがたい。 利根川水系主要河川BOD値 (mg/l) 河川観測地点BOD河川観測地点BOD河川観測地点BOD河川観測地点BOD利根川上流 群馬大橋 0.9 神流川 神流川橋 0.8 鬼怒川中流 川島 0.7 利根運河 合流部 8.7 利根川中流 久喜市栗橋 1.3 渡良瀬川中流 渡良瀬大橋 1.7 鬼怒川下流 豊水橋 1.2 江戸川葛飾 1.7 利根川下流 銚子大橋 1.6 渡良瀬川下流 渡良瀬貯水池 3.8 小貝川 文巻 1.9 中川 飯塚橋 3.4 烏川 高崎市岩鼻 1.6 鬼怒川上流 日光市川治 0.7 手賀川 手賀沼水門 5.2 綾瀬川 手代 3.7 特に中川支流綾瀬川については高度経済成長に伴う流域の都市化で、生活排水流入下水道整備未熟だったこともあって急速に水質汚濁進行した。両河川BOD平均値1989年平成元年時点において中川は7.3 mg/l綾瀬川至っては17.8 mg/lと「ドブ川」の体であり国土交通省毎年発表する一級河川水質現況においてワーストランキングで綾瀬川1980年昭和55年)から実に15年間「日本一汚い川」に名を連ねる不名誉な状況継続していた。このため埼玉県などの流域自治体において中川綾瀬川浄化のための諸施策講じた結果水質著しく改善2009年段階BOD平均値中川3.0 mg/l綾瀬川で3.8 mg/l水質改善度は最も高かった。しかしワーストランキングからの脱却果たせず、日本主要な国土交通省管理指定区間外)の一級河川165河川中で綾瀬川日本一中川日本第2位の汚い川に位置している。 利根川水系全体俯瞰した場合BOD平均値が最も低い「清流」は神流川である。一方最も汚染激しいのは足利市流れ渡良瀬川支流松田川下流部BOD平均値は15.0 mg/l都道府県管理指定区間)を含む一級河川の中では日本一汚染度であり、江戸川支流真間川に注ぐ春木川 (10 mg/l) と国分川 (9.2 mg/l) はそれぞれワースト3位と4位の汚染度となっている。足尾鉱毒事件による重金属汚染問題化した渡良瀬川については現在も継続的な水質調査実施され、特に首都圏水がめである草木ダムについては管理者水資源機構灌漑期(夏季)には毎日、非灌漑期(冬季)には毎週厳重な水質監視続けている。砒素や鉛などを始めとする人体影響与え可能性のある化学物質については、銚子市流れ高田川化学肥料などの影響硝酸性窒素の値が環境基準値を超過した以外は利根川水系問題となる指標検出されていない。しかし2011年平成23年)の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質拡散江戸川から取水している金町浄水場などから放射性ヨウ素乳児摂取許容量一時超過、さらに印旛郡栄町利根川河川敷においてセシウム基準値上回る計測値検出されている。 一方自然環境原因水質汚染存在した群馬県流れ利根川支流吾妻川流域草津温泉万座温泉硫黄鉱山存在し、この一帯水源に持つ万座川白砂川といった吾妻川支流河水酸性度高かった。特に白砂川支流湯川草津白根山水源とすることからpH平均1.8希塩酸希硫酸並の酸性度であったこうした酸性河川吾妻川流入するため吾妻川酸性度高く釘は10日でほぼ溶解コンクリート30日30%近く減量するなど河川工作物への影響大きかった魚類は全く生息せず、農業用水にも不適合流後利根川水質悪化招き、「死の川」と形容されていた。このため群馬県世界初河川中和事業である吾妻川中和事業1961年昭和36年)より開始湯川などに中和工場建設して石灰投入し下流品木ダム中和する対策講じた。これにより吾妻川酸性度改善され魚類生息する河川へと蘇った中和事業は現在国交通省による直轄事業となり、老朽化した施設改築万座ダムなどの万座川中和含めた吾妻川上流総合開発事業計画されているが、民主党鳩山由紀夫内閣によるダム事業見直しに伴い同事業は見直し対象となっている。 利根大堰から取水される武蔵水路荒川へと導水されるが、この利根川河水利用した隅田川水質改善行われた1961年昭和36年当時隅田川BODが38mg/lと水質汚濁激しくメタンガス湧出する河川だったが、利根大堰建設における目的一つとして隅田川浄化挙げられ利根川上流ダム群より利根大堰武蔵水路経由し秋ヶ瀬取水堰荒川)で朝霞水路導水された利根川河水新河岸川放流され隅田川導かれる同時に下水道整備実施されたことで隅田川BOD1975年昭和50年)には環境基準下回り2002年平成14年)には4.9 mg/lにまで改善された。これにより1961年昭和36年)に中断した早慶レガッタ隅田川開催1978年昭和53年)に復活するなど、隅田川水質改善には利根川大きく関わっている。

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