ヨーロッパの統合とは? わかりやすく解説

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ヨーロッパの統合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 07:38 UTC 版)

現代の世界の一体化」の記事における「ヨーロッパの統合」の解説

詳細は「欧州統合」、「欧州連合の歴史」、「欧州連合の拡大」、および「欧州連合の経済」を参照 2つの世界大戦によって市民だけでなく政治経済荒廃し、さらに鉄のカーテン分け隔てられたヨーロッパは、その西側諸国ではマーシャル・プランの下で復興進められた。一方で超大国成長したアメリカと、ソ連中心とする社会主義体制狭間置かれるなかで、フランスロベール・シューマン外相経済と軍事において重要とされる資源共同管理によってヨーロッパ安定を図ることを提唱したいわゆるシューマン宣言)。炭鉱のあるザールや、重工業地帯ルール地方は、大戦中に独仏間での争奪戦激しく、これについての反省シューマン宣言基礎となっている。なおシューマン宣言基礎となる構想欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)のジャン・モネ議長によって提唱されこのためモネは「ヨーロッパ統合の父」と呼ばれており、シューマン宣言発表され5月9日は「ヨーロッパ・デー」とされている。1951年パリ条約調印され翌年欧州石炭鉄鋼共同体 (ECSC) が発足した。なおECSC2002年7月23日パリ条約失効伴って消滅しており、以降EC後述)にその機能継承されている。その後経済分野での統合エネルギー分野での共同管理目的に、1957年ローマ条約調印され翌年欧州経済共同体 (EEC) と欧州原子力共同体 (Euratom) が設立された。 これら3つの共同体1965年調印されブリュッセル条約により、1967年欧州共同体 (EC) の下で一体的運営されるうになる当初6か国で始まったEC1986年までに加盟国数を12までに増やしその間加盟国間での国境通過のような域内での障壁除去単一市場設立など、経済分野での統合深化進められてきた。これはドロール委員会の下で進められ単一欧州議定書シェンゲン協定よる。1989年以降東欧革命東側諸国共産党政権相次いで倒れる。1990年10月3日ドイツ再統一される。このとき旧東ドイツ各州西ドイツ編入されたため、ECはその領域をこれらの州に拡大させた。これら諸国統合ヨーロッパ対象になることが想定され、これに対応するべくECでは政治分野での協力体制構築迫られるようになり、1992年外交司法内務分野での協力枠組みうたったマーストリヒト条約調印され1993年11月1日欧州連合 (EU) が発足したEU従来EC枠組み共通外交・安全保障政策 (CFSP) と司法内務協力 (JHA) の枠組み追加するという「3つの柱構造取っている。JHAは後にアムステルダム条約において対象分野一部EC枠組み移され警察・刑事司法協力 (PJCC) に改められている。経済政策対象となっているECでは、EU決定加盟国政策優先する超国家主義的な権限与えられているが、CFSPとPJCCのでは、加盟国の主権にかかわる政策対象となっていることから政府間主義が採られ、EU加盟国間での政策調整を行う権限しか与えられていない。なお後述のリスボン条約では、「3つの柱構造廃止されることになっているEUにおいて経済分野では通貨統合という段階にいたる。1998年欧州中央銀行 (ECB) が発足し翌年には単一通貨ユーロ導入される実際ユーロ硬貨ユーロ紙幣使用されるようになったのは2002年1月1日以降EU基本条約では加盟国に対して将来におけるユーロ導入義務付けているが、イギリスデンマークに対して適用除外規定存在する。また従来通貨からユーロ切り替えるさいには、欧州為替相場メカニズム (ERM) に2年参加したり、経済・財政指標一定の水準満たしたりしなければならない対外関係においては国際連合北大西洋条約機構NATO) と協力してユーゴスラヴィア紛争の対応にあたるなど、地域安定化向けた取り組み行ってきた。また市民レベルでは欧州連合基本権憲章制定するほか、民族・言語文化における多様性の尊重や、労働開業投資といった経済活動に関する政策実行している。一方で東ヨーロッパ諸国加わりEU2004年までにその加盟国数が25にまで拡大し2007年1月1日以降EU加盟国数は27となっている。これに伴って機構肥大化による行政組織効率低下問題となったニース条約発効以降EUにおける内閣にあたる欧州委員会委員は各加盟国から1名ずつ(それ以前ドイツ、フランスイタリアイギリススペインから2名ずつ、そのほか加盟国から1名ずつ)出されることになっているEU拡大してきた結果欧州委員会委員職域分掌され、これに伴い行政機構としての欧州委員会総局間でセクショナリズムが目立つようになってきた。また将来の拡大向けた体制整備求められるようになったニース条約体制下では立法手続などの制度について加盟国数が27超えると対応できない仕組みとなっていた。このことから、ローマ条約マーストリヒト条約廃し新たな基本条約の下でヨーロッパの統合を進めるべく2004年10月28日欧州憲法条約調印された。従来ローマ条約マーストリヒト条約2つ基本条約とし、その後複数条約でこれらを修正してきた。条約一本化EU法根源複数文書条約本文および付帯議定書)に分かれていたために可読性が低いという批判もあって、1つ文書にまとめる目的もあった。 欧州憲法条約では欧州連合の旗欧州連合の歌定められるなど、ひとつの国家とするような規定含まれていた。ところがEU超国家主義的な性格を嫌う欧州懐疑論燻るなかで、各加盟国内における欧州憲法条約批准手続進められフランスオランダでの批准是非を問う国民投票反対票が賛成票を上回るという結果出された。加盟国内でヨーロッパ統合に対して反対する例はほかにもある。ノルウェーでは1973年1995年拡大にあたって加盟条約調印はしていたが、国民投票条約批准いずれも反対されている。デンマーク自治領であるグリーンランド住民投票の結果1985年EC離脱している。またマーストリヒト条約批准において、デンマーク1度国民投票反対されているほか、イギリスにおいても議会拒否されている。さらに従来基本条約修正するニース条約批准においても、新たなEU基本条約批准既存基本条約修正にあたって国民投票実施憲法義務付けられているアイルランド1度反対されている。ユーロ導入にあたってポンド危機経験からイギリスでは消極的な意見根強くデンマークスウェーデンでは国民投票反対意思示されことがある。 この事態はヨーロッパの統合を進めてきた指導者に動揺与え統合対する「熟慮期間」が設けられることになったローマ条約調印50周年となる2007年将来新規加盟国受け入れ態勢整備EU機構効率化特化した、「改革条約」と位置づける基本条約策定合意まとまり同年12月リスボン条約として調印された。合意され時点での名称は「改革条約」とされていた。この条約合意めぐって2007年6月21-22日の予定行われていたブリュッセル欧州理事会において協議されていたが、内政干渉されかねないという懸念持ったイギリスや、新条約の下でのEU政策決定の手続が大国有利であると批判するポーランドなどの一部加盟国首脳難色示したこのため予定されていた日程大幅に延長し夜を徹して協議続けられ合意まとまったのは6月23日午前5時のことだった。 リスボン条約2009年末までの発効目指し各国批准手続進められている。さらに将来の拡大についても、国土一部ヨーロッパ属すトルコや旧ユーゴスラヴィア連邦構成国ロシア距離を置くソヴィエト連邦構成国加盟について議論が行われている。旧ユーゴスラヴィア連邦構成国の中では2004年5月にはスロヴェニアがすでに加盟しているほか、クロアチアマケドニア共和国加盟候補国として実務的交渉進めている。旧ソ連邦構成国では独立した際に、ソ連邦内での有力者それぞれの国の最高指導者に就いていた例が多い。それらの指導者独裁ともいえる権力長期支配維持した末に、政権腐敗進み国民反発を招くようになった。この結果2003年グルジアバラ革命2004年ウクライナオレンジ革命など、色の革命呼ばれる政権交代起こり新たに成立した政権は親欧米路線掲げている事例が多い。 冷戦の終結以降唯一の超大国となったアメリカ新自由主義掲げて経済拡大図ってきたのに対してヨーロッパで1990年代以降社会民主主義のもとで第三の道模索されるようになり、医療保健育児介護学校教育職業訓練失業時給付、生活保護年金などの国民の生活に必要な福祉サービスを、全てまたは高い公費負担率提供し、そのための財源として国民所得50% -70%を税金社会保険料として負担する政策採用している。IMFの統計によると、2007年度世界GDPに対してEUは31.0%、ユーロ採用国は22.3%を占めるようになり、ユーロ基軸通貨としてUSドルに並ぶ存在となりつつある。またEU地球温暖化対策にも積極的に取り組み2005年にはEU域内での排出権取引制度開始し温室効果ガスの排出量削減向けてヨーロッパという連合体としての官民一体体制作り進めている。前記諸政策のように、EU世界において独自の統治モデル政策掲げ遂行する存在として、EU域内でもEU域外に対して大きな影響力持ち行使するようになった

※この「ヨーロッパの統合」の解説は、「現代の世界の一体化」の解説の一部です。
「ヨーロッパの統合」を含む「現代の世界の一体化」の記事については、「現代の世界の一体化」の概要を参照ください。

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