欧州憲法条約(おうしゅうけんぽうじょうやく)(EU constitutional treaty)
EUの基礎となるたローマ条約、マーストリヒト条約、アムステルダム条約、ニース条約などを統合したEUの憲法のこと。条約の形で、EUに加盟する25か国の批准を受けて発効する。
欧州憲法条約には、対外的にEUを代表する「大統領」のポストが新設された。現在は加盟各国の持ち回りでEU首脳会議の議長を出しているが、欧州憲法では常任議長に格上げされた形で大統領を持つことになる。
また、全会一致を原則とする意思決定方式について、二重多数決による方式に変更した。具体的には、EU加盟国の55%以上が賛成し、賛成する国の人口の合計がEU全体の65%以上となればよい。そのため、2004年5月から25か国に増えた拡大EUで、意思決定の迅速化につながると期待されている。
ブリュッセルで開かれていたEU首脳会議は18日、欧州憲法条約に合意した。この憲法条約が発効するためには、EUに加盟する25か国の批准を受ける必要があるので、批准の是非を国民投票で問うイギリスなどの動向が注目される。
(2004.06.21掲載)
欧州のための憲法を制定する条約
(欧州憲法条約 から転送)
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欧州のための憲法を制定する条約(おうしゅうのためのけんぽうをせいていするじょうやく、英語:Treaty establishing a Constitution for Europe(TCE)、通称:欧州憲法または憲法条約)は、欧州連合の統合憲法を制定することを目的とした未批准の国際条約である。この条約は、既存の欧州連合条約を単一の文書に置き換え、基本権憲章に法的効力を与え、従来は加盟国間の全会一致で決定されていた政策分野にも特定多数決を拡大するものであった。
注釈
- ^ 第IV-447条において、条約の発効のためにはイタリア政府に批准書が寄託されることが求められている。いずれの締結国も必要とされる機関(議会および国家元首)すべてにおける国内での批准過程が完了したのち、批准書を寄託することになる。ここにおける国の順番は批准書の寄託順とし、2以上の国が同日に寄託したときは国名のアルファベット順とする。
- ^ オーランド諸島はフィンランドの自治領である。欧州連合の領域に含まれているが一部分野で例外が規定されている。オーランド議会の承認は条約の当事者ではないが、第IV-440条第5項において条約は例外規定を有するものの欧州憲法条約が適用される。そのためラーグティングによる批准は条約発効に必要ではないが、同条の規定の適用のためにはラーグティングによる承認が必要となる。
出典
- ^ “From Confederacy to Federation: Thoughts on the Finality of European Integration” (English) (2000年5月12日). 2008年10月26日閲覧。
- ^ Riccardi, Ferdinando (2003-01). ““Penelope” project on constitution” (PDF). Acque&Terre (Venezia: Acque&Terre s.r.l.) 2008年10月26日閲覧。.
- ^ “Report on the Treaty establishing a Constitution for Europe” (English). Daily Notebook : 12-01-2005 (2005年1月12日). 2008年10月26日閲覧。
- ^ “Straw sees 'no point' in EU vote” (English). BBC NEWS. (2005年6月6日) 2008年10月26日閲覧。
- ^ “Luxembourg backs EU constitution” (English). BBC NEWS. (2005年7月10日) 2008年10月26日閲覧。
- ^ 寄託日については欧州連合理事会のデータベース(英語)による。
- ^ Speech on future of Europe
- ^ Carsten Berg; Georg Kristian Kampfer (Juli 2005) (Deutsch). Verfassung für Europa. Der Taschenkommentar für Bürgerinnen und Bürger. Bielefeld: W. Bertelsmann Verlag. ISBN 978-3763933716
- ^ Werner Weidenfeld (März 2006) (Deutsch). Die Europäische Verfassung verstehen. Gütersloh: Bertelsmann Stiftung. ISBN 978-3892048763
- ^ Weidenfeld, Werner (May 2007) (English). Understanding the European Constitution. Gütersloh: Bertelsmann Stiftung. ISBN 978-3892049326
- ^ Peter Schwarz (2003年10月14日). “Rome conference on EU constitution reveals intra-European conflicts” (English). World Socialist Web Site. 2008年11月1日閲覧。
- ^ Directive 2006/123/EC of the European Parliament and of the Council of 12 December 2006 on services in the internal market
- ^ “D: Kirchen erinnern an Gottesbezug in EU-Verfassung” (Deutsch). Radio Vatikan (2006年12月29日). 2008年11月3日閲覧。
欧州憲法条約
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欧州憲法条約は欧州原子力共同体設立条約以外のすべての基本条約を破棄して1つの文書にまとめることを企図していた条約であった。欧州憲法条約では票決制度、構造の簡素化、外交政策における強化された協力について変更が加えられることになっていた。条約は2004年10月29日にローマで署名され、すべての加盟国によって批准されていれば2006年11月1日に発効するはずであった。ところが2005年5月29日にフランスで、同年6月1日にオランダでそれぞれ実施された国民投票で欧州憲法条約は否決された。この事態を受けて「熟慮期間」が設けられ、「憲法」という形を解体してリスボン条約として再生された。
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欧州憲法条約
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「共通安全保障防衛政策」の記事における「欧州憲法条約」の解説
2004年の欧州憲法条約草案では欧州安全保障防衛政策を基本条約上の規定として盛り込むことが企図されていたが、同条約はフランスとオランダで批准が拒否され、また7か国で批准手続きが凍結されたために発効に至らなかった。同条約では以下のように規定されていた。 The common security and defence policy shall include the progressive framing of a common Union defence policy. This will lead to a common defence, when the European Council, acting unanimously, so decides. It shall in that case recommend to the member States the adoption of such a decision in accordance with their respective constitutional requirements.The policy of the Union in accordance with this article shall not prejudice the specific character of the security and defence policy of certain member states, which see their common defence realised in the North Atlantic Treaty Organisation, under the North Atlantic Treaty, and be compatible with the common security and defence policy established within that framework.(日本語仮訳)共通安全保障防衛政策は、共通連合防衛政策の漸進的な形成を含む。これは、欧州理事会が全会一致により行動し、共同防衛にいたるものと決定するときに実施するものとする。このとき、欧州理事会は加盟国に対してそれぞれの国内憲法の要件に従って当該決定を採択することを勧告する。 本状に従った連合の政策は、一部の加盟国の安全保障防衛政策の特質を妨げないものとし、また北大西洋条約機構において各国の共同防衛が実現されるものと考える一部の加盟国の北大西洋条約のもとでの義務を尊重しつつ、同機構が定める共通安全保障防衛政策に整合するものとする。 — 欧州憲法条約第I部第41条第2項、ウィキソース英語版
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