ジフテリアとは?

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ジフテリア [0] 【diphtheria】

ジフテリア菌飛沫伝染による感染症幼児学童多くかかる。発熱とともにのどが痛み顎下リンパが腫(は)れて呼吸困難起こす後遺症として神経麻痺心臓腎臓障害起こすことがある。 〔「実布垤里亜」とも書く〕

ジフテリア


ジフテリア(diphteria)はジフテリア菌Corynebacterium diphteriae )の感染によって生じる上気道粘膜疾患であるが、眼臉結膜中耳陰部皮膚などがおかされることもある。感染増殖したから産生された毒素により昏睡心筋炎などの全身症状が起こると死亡する危険が高くなるが、致命率平均5~10%とされている。現在我が国ではトキソイドワクチン接種により患者激減し、年間数例が散発的報告されるだけとなったが、1990 年代前半からの旧ソビエト連邦での大流行は、欧州各地巻き込んだ国際的問題となった。ジフテリアは国際的予防対策が必要かつ可能な疾患として扱われ、WHO ではExpanded Program on ImmunizationEPI )の対象疾患1 つとしてワクチン接種奨励している。

疫 学
我が国におけるジフテリア患者届け出数は、1945 年には約86 千人(その約10%が死亡)で あったが、最近10 年間(19912000 年)では21 人(死亡2人)と著しく減少した(図1)。ジフテリアを 含む三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳破傷風DPT )は世界各国実施されており、その普 及とともに各国においてジフテリアの発生数激減している。

旧ソ連圏では、かつてはDPT普及によってジフテリア患者数は極めて少数となっていたが、政 権崩壊のあおりを受けてワクチン供給不足、あるいは安定性低下によって住民免疫レベル低下し、その結果旧ソ連圏一帯でジフテリアが再び流行した。19901995 年125,000人の患 者発生し、4,000人以上の死亡確認された。国際協力によるワクチ ン接種強化により、旧ソ連でのジ フテリアは再び減少した。このように ワクチン接種率が低下すると、ジフ テリアは再び流行する危険性がある ことが示唆されている。欧米諸国発展途上国でも散発例が見られてお り、海外渡航者の感染発症事例もあ る。

ジフテリア

図1. ジフテリア届出患者数および死亡者数の推移19451997 年

病原体
ジフテリア菌Corynebacterium diphteriae )の感染により発症する。患者無症候性保菌者の咳などにより、飛沫を介して感染する。毒素産生、非産生とも重症化の可能性がある。また、ジフテリア菌3 種類のバイオタイプ(gravis型、mitis型、 intermedius型)に分類されているが、病原性との間に密接な関係はないと考えられている。
Corynebacterium ulcerans (コリネバクテリウム・ウルセランス)はジフテリア様の臨床像をきたす 人獣共通感染症起因であり、一般にウシヒツジとの接触、または生の乳製品などを摂取することにより感染することが知られている。我が国でも2001 年2 月に、ジフテリア様症状を呈した患者からジフテリア毒素産生能を持ったC. ulcerans が分離された(病原微生物検出情報vol.23 No.3 (2002.3.)7 (61 ))。C. ulcerans はウシ常在菌であるが、ジフテリア毒素遺伝子を持ったファージが溶原化して、ジフテリア毒素産生能を持つとなることがある。ジフテリアの類似疾患起こす病原体として注意が必要である。

臨床症状

2 ~5 日程度潜伏期経て発熱咽頭痛嚥下痛などで始まる。鼻ジフテリアでは血 液を帯びた鼻汁鼻孔上唇のびらんがみられる扁桃咽頭ジフテリアでは扁桃咽頭周 辺に白~灰白色偽膜形成される(図2)。

ジフテリア

ジフテリアの偽膜厚く、その境界鋭利剥れにくく、剥がすと出血しやすい頸部リンパ 節炎が特徴的であり、高度に腫張すると牛頚bull neck)状となる。喉頭ジフテリアは咽頭 ジフテリアから発展する場合多く嗄声犬吠咳嗽特徴的である(真性クループ)。気道にも偽膜形成されるため、呼吸困難が生 じる。膜形成声門気管支まで進展すると、気道閉塞をきたし死に至ることがある
合併症としては早期(1 ~2 病週)および回復 期(4 ~6 病週)にあらわれ心筋炎がもっとも予後不良で、この間突然死対する厳重な警戒 が必要である。したがって、主症状改善した後も慎重な観察が必要である。末梢神経炎によ る神経麻痺合併症頻度として高いが、予後比較良好である。

図2. ジフテリアにおける咽頭所見咽頭における発赤腫脹とともに扁桃には剥離しがたい偽膜付着している。(下徳雄先生提供、日本医師会 雑誌67巻7号)

病原診断  ジフテリアの確定診断には、患者病変部位からジフテリア菌分離することが重要である。患者抗菌薬抗毒素投与する前に病変部位材料偽膜咽頭変色部位潰瘍部位など)の グラム染色陽性桿菌)と異染小体染色を行うとともにPCR 法ジフテリア毒素遺伝子検査、 およびチンスダール培地亜テルル酸塩加血液寒天培地レフレル培地などで分離培養する。分 離されたについての毒素産生能については、寒天沈降反応法(Elek 法)や培養細胞法、ウサ ギ試験法、モルモット試験法などを行う。生化学性状試験については、市販品のアピコリネキット やRap ID CB Plus が便利である。PCR 法迅速性があり、スクリーニングに適しているが、確定 診断にはジフテリア菌検出必須であり、各試験結果総合して最終判定を行う。感染後の抗 体の上昇は著明ではないといわれており、抗体価による診断はむずかしい。


治療予防
治療開始の遅れは予後著し影響与えるので、臨床的に本症が疑わしければ確定診断 を待たずに治療を進める必要がある
治療には動物ウマ由来血清療法が行われるので、アナフィラキシーに対して十分な配慮をする必要がある治療により、予測不能ショック症状およびショック死可能性もあり得る。抗菌薬としてはペニシリンエリスロマイシンなどに感受性がある。しかし、予防に勝る治療法はない。
予防としては、世界各国ともEPI(Expanded program on Immunization拡大予防接種事業ワ クチン一つとしてDPTワクチン普及を強力に進めている。我が国では1948 年にジフテリア単 独ワクチン1958 年にジフテリア・破傷風混合ワクチン1968 年以降DPTワクチンとなり、さらに 1981 年から現行のDPT ワクチン百日咳ワクチンは無細胞ワクチン)となっている。予防接種普 及により、わが国では現在年間1 名程度発症報告されているにすぎないが、今後ワクチン接 種者が減少した場合や、海外からの持ち込みにより流行可能性懸念される
我が国行われているDPT 三種混合ワクチンは、1期初回として生後3~90カ月標準的には生後3~12カ月)に3回、その1218 カ月後に追加接種行い1112 歳にDT 二種混合ワクチンに より第2 期接種が行われている。第1 期の接種率は良好であるが、第2 期のDT ワクチン接種率 は70%前後である。本症の重大さを理解し、日頃からワクチンによる予防積極的になる必要が ある
培養細胞法で抗毒素価(中和抗体)が0.1 IU/ml 以下の場合には、ジフテリアトキソイドによる 予防接種が必要であるとされている。

感染症法における取り扱い
ジフテリアは2類感染症指定されており、ジフテリアもしくは病原体保有者であると診断した医師は、直ち最寄り保健所届け出る患者原則として第二感染症指定医療機関入院となるが、無症状者は入院対象とはならないまた、ジフテリアには疑似症の適用はない。報告のための基準以下の通りである。
診断した医師判断により、症状所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の方法によって病原体診断がなされたもの
材料病変感染部位からの採取材料
病原体検出
 ジフテリア菌分離同定ならびに分離におけるジフテリア毒素検出
病原体遺伝子検出
 例、PCR 法など

学校保健法での取り扱い
ジフテリアは学校において予防すべき伝染病第一種に定められており、治癒するまで出席停止となる。


国立感染症研究所細菌第二部 高橋元秀、小宮貴子岩城正昭)


ジフテリア

作者羽入田伸

収載図書利根河原少年の記
出版社碧天舎
刊行年月2004.8


ジフテリア[Diphtheria]

 ジフテリア菌Corynebacterium diphtheriae)の感染によって起こり咽頭喉頭、鼻、時に他の粘膜皮膚が侵される急性疾患である。炎症起こしている咽頭扁桃には、ジフテリア菌産生する外毒素ジフテリア毒素)による灰白色偽膜(pseudomembrane)が形成付着する事が多く乳幼児では呼吸困難から重症になることがある。このによる感染は,患者保菌者との直接接触感染で、稀に分泌物を介した感染見られる。ジフテリアは毒素性の疾患なので、予防にはトキソイドを予めワクチンとして投与して生体抗体作る能力付与する。
 現在日本では、ジフテリア菌毒素トキソイド破傷風菌毒素トキソイド百日咳由来活性物質混合したDPT三種混合ワクチン投与して、ジフテリアと破傷風感染対す抵抗力強めている。

ジフテリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/08/25 13:13 UTC 版)

ジフテリア (diphtheria) は、ジフテリア菌 ( Corynebacterium diphtheriae ) を病原体とするジフテリア毒素によって起こる上気道の粘膜感染症




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  1. ^ a b c 感染症情報センター (国立感染症研究所)
  2. ^ a b ジフテリアメルクマニュアル家庭版
  3. ^ 吉原賢二『私憤から公憤へ- 社会問題としてのワクチン禍』 p.79
  4. ^ 和気正芳『京都ジフテリア禍事件の原因論』社会医学研究23巻(2005)p23
  5. ^ Corynebacterium ulceransとジフテリア国立感染症研究所
  6. ^ 本邦で初めてイヌから分離されたジフテリア毒素産生性
  7. ^ ジフテリアに関係するキーワード国立感染症研究所
  8. ^ ジフテリアの基礎知識 国立感染症研究所


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