グラム‐せんしょく【グラム染色】
グラム染色
グラム染色 [Gram staining]
グラム染色法は複染色法とよばれる2種類の色素を用いて、グラム陽性菌とグラム陰性菌をはっきり色別でき、細菌の形も観察しやすい利点がある。一般にハッカー(Hucker)の変法が用いられている。実際の操作は細菌を塗抹した標本をまず、クリスタル・バイオレットまたはゲンチアナ・バイオレットのような塩基性色素(青藍色)で染色し、次にルゴール液(よう素-よう化カリウム)という媒染剤(色素を安定化させる作用)で処理したあと、エタノール(エチルアルコール)で脱色する。脱色したあとサフラニン液(赤桃色)で染色する。このときパイフェル液(フェノール-フクシン)で染色してもよい。 そこで、塩基性色素液の青藍色または青紫色に染まればグラム陽性菌、サフラニン液(またはパイフェル液)の赤色ないし赤桃色に染まればグラム陰性菌と判定する。
細菌によってグラム染色性が異なる原因として、グラム陽性菌の細胞壁はペプチドグリカン、タイコ酸などの多糖のみから成るので、これらの成分と結合した塩基性色素はルゴール液のよう素と化合してアルコール不溶性の物質に変わり、青藍色ないし青紫色に見える。これに対して、グラム陰性菌ではペプチドグリカン層の外側にタンパク質、リン脂質、リポ多糖から成る外膜をもっているので、よう素の浸透が妨げられ、アルコールに可溶な塩基性色素のまま脱色され、あとで染色されたサフラニンなどの色素の赤色ないし赤桃色にみえると考えられている。ただし、グラム陽性菌では古い菌株の場合、一見、グラム陰性菌のように染色されることがある。
グラム染色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/10 07:05 UTC 版)
グラム染色(グラムせんしょく、英語: Gram staining)とは、主として細菌類を色素によって染色する方法の一つで、細菌を分類する基準の一つ。デンマークの学者ハンス・グラムによって発明された。
- ^ Wilhelm, Michael J.; Sheffield, Joel B.; Sharifian Gh., Mohammad; Wu, Yajing; Spahr, Christian; Gonella, Grazia; Xu, Bolei; Dai, Hai-Lung (2015-07-17). “Gram’s Stain Does Not Cross the Bacterial Cytoplasmic Membrane” (英語). ACS Chemical Biology 10 (7): 1711–1717. doi:10.1021/acschembio.5b00042. ISSN 1554-8929 .
- 1 グラム染色とは
- 2 グラム染色の概要
- 3 染色原理
グラム染色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/14 15:25 UTC 版)
グラム染色は感染症学で最も基本となる検査である。喀痰などをグラム染色し、細菌が存在しないかを調べる検査である。グラム染色と顕微鏡でわかることは菌培養に比べて少ないが組み合わせることで非常に見通しがよくなる。まず第一にグラム染色は培養検査に比べて検査にかかる時間が短い。通常培養には2日から1週間がかかってしまう。多くの感染症の場合は培養結果を見る前に治療を開始しなければならない。グラム染色はその日のうちに結果がわかるのでリアルタイム性という点では培養に勝る。グラム染色でわかることはグラム陽性菌かグラム陰性菌か、あるいは球菌か桿菌かということである。すなわちおおまかに4つに分類ができるだけである(らせん菌などもわかるので厳密には正しくないが)。但しこれだけで大まかな抗菌薬選択の基準にはできる。また培養検査の欠点を補うこともできる。例えば培養検査では嫌気性菌は培養しにくいという欠点があるが、グラム染色では関係ない。また、培養で数を増やすという作業を行っていないのでコンタミネーションがすぐにわかる。多くのグラム陰性桿菌の中にグラム陽性球菌が数個見られたら、グラム陰性桿菌の感染と考えればよい。また白血球の様子などもわかり、病勢のフォローの指標となる。喀痰グラム染色で細菌を認め、抗菌薬を投与したあと、また喀痰グラム染色を行い菌が見えなくなり、呼吸数が安定し、痰の量が減ればそれは発熱、CRPの改善がなくても改善傾向ととらえてよい。
※この「グラム染色」の解説は、「化学療法 (細菌)」の解説の一部です。
「グラム染色」を含む「化学療法 (細菌)」の記事については、「化学療法 (細菌)」の概要を参照ください。
グラム染色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:31 UTC 版)
グラム染色(Gram staining)は細菌がグラム陽性か陰性かを決定するために使用される。クリスタルバイオレットやゲンチアナバイオレットで染色し、ヨウ素溶液で媒染した後、アルコールで脱色し、その後フクシンまたはサフラニンで対比染色を行う。 グラム陽性菌は暗い青や青紫に染まり、グラム陰性菌は対比染色によって赤やピンクに染まる。この分類は細菌の細胞壁の構成に基づいている。グラム陽性菌の細胞壁が単純で厚いペプチドグリカン層から形成されているのに対し、グラム陰性菌の細胞壁はペプチドグリカン層は薄く、リポ多糖などの脂質を多く含んだ外膜で覆われている。このためグラム陰性菌の細胞壁はアルコールによって破壊されやすく、最初に染色したクリスタルバイオレット-ヨウ素複合体が容易に溶出して脱色される。
※この「グラム染色」の解説は、「染色 (生物学)」の解説の一部です。
「グラム染色」を含む「染色 (生物学)」の記事については、「染色 (生物学)」の概要を参照ください。
「グラム染色」の例文・使い方・用例・文例
グラム染色と同じ種類の言葉
- グラム染色のページへのリンク