ハードディスクドライブ 構造

ハードディスクドライブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 12:05 UTC 版)

構造

ハードディスクドライブ外観
ハードディスクドライブ内部
磁気ヘッド部分。プラッタが鏡の様にヘッドの姿を写している
磁気ヘッドの拡大
トラックとセクタ
プラッタ

基本構造

ハードディスクドライブの基本構造は、音楽レコードプレーヤーに類似している。レコード盤に当たる円板がプラッタ(ディスク)、針に当たる物が磁気ヘッド、および磁気ヘッドを搭載するアームから成り立つ。アームは円板上を1秒間に最高100回程度の速度で往復でき、これによって円板上のどの位置に記録されたデータへも瞬時にヘッドを移動して読み取り、書き込みが可能である(ただし円板上の記録情報は、レコードでは螺旋状だが、HDDでは同心円である)。

磁気ヘッドを搭載するアームは、初期のディスクパック時代はリニアモーターが用いられていた。その後、密閉型ハードディスクに移行すると、ステッピングモーターによって駆動されるロータリー型へと進化する。さらに、半径方向の密度であるトラック密度を向上させるため、ボイスコイルモータによるサーボ制御が導入された。当初はプラッタの一面はサーボの位置情報によって占有されていた(サーボ面サーボ)が、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、データの合間にサーボの位置情報が織り交ぜられる現在の方式(データ面サーボ)になっている(光学ディスク装置と比較すると、光学ディスクではヘッドを円盤回転軸の中心へ直線に走査する点が異なる)。サーボ面サーボ方式とを比較すると、データの記憶面積によるメリットのみならず、熱変形などによる機械的な位置ずれ精度でデータ面サーボが勝る。

プラッタ

データを記録する円板部分を「プラッタ」と呼び、プラッタの各面のことを「サーフェス」と呼ぶ。プラッタは主にアルミニウム若しくはガラスで製造されているが、近年では平滑性の高さや強度の面からガラス製プラッタが採用されている。通常、ハードディスクドライブは1枚以上のプラッタで構成されていて、それぞれのプラッタの両面または片面にデータが記録される。プラッタの数は少ない方が軽量で、故障に対する信頼性が高いことから、1枚当たりの記録密度を高くすることは性能向上のひとつの手段である。ガラス製プラッタはHOYAによって発明され、ガラス製の3.5インチハードディスク・プラッタを使った世界初の製品は、2000年にIBMから発売されたIBM Deskstar DTLA-307020である。

広く普及しているCSS (Contact Start Stop) 方式を採用したものは、ディスク停止時には磁気ヘッドとプラッタは接触している。磁性体の層の上にはライナーと呼ばれる潤滑被膜が形成されていて、回転速度が低いうちはライナーの上をヘッドが滑る。回転速度が上がるにつれてプラッタ表面近傍の粘性空気が磁気ヘッドに対し気流となり、磁気ヘッドが揚力を発生して極わずかに浮き上がる(浮上開始原理を「地面効果に因るもの」とする誤記が書籍やウェブサイトに散見されるが、浮上後に大きく効果が生じるのであり、浮上開始、すなわちヘッドを持ち上げ始めることにはほとんど寄与していない)。一旦浮上した磁気ヘッドはディスクとの間に気流をはらむため地面効果が働きプラッタへの接触を抑制する。ライナーが劣化すると摩擦によりヘッドが損傷し、ヘッドクラッシュという現象を起こす。一般に、密閉式のハードディスクドライブは準消耗品的な扱いを受ける場合が多く、ライナーの寿命がハードディスクドライブそのものの寿命となる。

これに対し、Load/unload方式を採用したHDDでは停止時にプラッタの外側のランプと呼ばれる退避位置にヘッドを退避させていて、プラッタの回転速度が規定の速度に安定した段階でプラッタ上へ移動させる機構となっている[注釈 4]

Load/Unload方式、別名ランプロード方式と呼ばれる、この方法はディスクが動作していない時にヘッドがプラッタに接触しない状態になるため、比較的高い耐衝撃性を持つ。一般的にCSS方式を採用した古いSeagate(シーゲート)製のHDDなどはプラッタが回転することによって発生する上昇気流によってロック機構が外れるように設計されているが、ランプロード方式は、ヘッド根本を磁石やプラスチック製でできたロック機構で停止時にヘッドが脱出しないようにしているが、まれに強い衝撃を加えるとヘッドがプラッタの方に脱出し、プラッタを傷つけ物理障害となりうる。

古い時代(1980年代)のハードディスクドライブは、停止命令を送ると(NECPC-9800シリーズでは「STOP」キーを押すと)ヘッドをプラッタから引き上げ、退避位置に移動させるようになっていた。しかし、部品点数削減と停止命令を送らないOS(代表的にはMS-DOS)の普及などといった理由から、ヘッドがプラッタ上に置かれたままで停止するCSS方式が採用されるようになった。これに伴い、「はりつき」と呼ばれる現象が発生するようになった。これは、鏡のようになめらかな面を持つ2つの物体が接触した状態で時間が経過した場合などに発生する現象で、ハードディスクドライブが起動しなくなる深刻な障害として現れる。回復させるために、電源を入れながら(水が入ったバケツから水をこぼさずに振り回すが如く)筐体に遠心力を与えたり、クッションに包んでハードディスクドライブを床に落として衝撃を与えたり、筐体を分解してディスクを手で強制的に回転させたりというような、さまざまな民間療法が考案された。後にプラッターの一部に凹凸を付けた領域(シッピング・ゾーン)を設け、停止時にヘッドをそこへ移動させる方式が採用されて「はりつき」の問題は解消された。今日のOSはハードディスクドライブに停止命令を送るようになり、特に耐衝撃性能が要求される携帯機器向けのハードディスクドライブではヘッドを退避領域に戻す機構(ドロップ・センサー機能)が再び採用されている。

プラッタに埃などの異物が付着するとヘッドを損傷する原因となるため、プラッタとヘッドの周辺は密閉されている。開封するには特殊な工具を必要としたり、「開封後は保証対象外」と書かれた封印が貼られている場合が多い。ただし、完全密閉されているわけではなく、温度変化に伴う筐体内の気圧変化を開放するため、埃フィルタを備えた圧抜き開口部が設けられている。ヘッドに働く揚力の大小は空気密度(すなわち気圧)の影響を受けることから、ヘッドとプラッタサーフェスの距離を安定に保つためには筐体内の気圧が大きく変化してはならないためである。一方、高地などの気圧が低い環境下ではヘッドに発生する揚力が小さくなり、ヘッドがぶつかりやすくなる[9]ため、それぞれの製品には使用環境の気圧(高度)に関する仕様もある。但しヘリウムなどを充填した大容量HDDは、埃フィルタを備えた圧抜き開口部は設けられず、工業的に可能な範囲で密閉されている。

プラッタは様々な表面処理技術によって進化している[注釈 5][注釈 6]

モーター

ハードディスクドライブに使用されているモーターには2つあり、1つはプラッタを回転させるスピンドルモーター、もう1つはスイングアームを駆動するシークモーターである。

スピンドルモーターはダイレクトドライブ方式であり、逆起電力を検出してセンサレスで回転数が制御されている。4,200・5,400・7,200・10,000・15,000rpmが主な回転数である。

シークモーターにはボイスコイルモーターが用いられる。ボイスコイルモーターはリニアモーターの一種で、2枚の磁石(主にネオジム磁石を使う)の間に配置されたコイルにかかるローレンツ力を作動原理としている。コイルはスイングアームの端部に固定されていて、スイングアームの軸を中心とした扇形の周に沿って動く。ボイスコイルモーターを利用したアームの駆動方式は小型化や高速化に有利で、1980年代後半から普及しはじめ1993年頃に一般化した。それ以前のハードディスクドライブにはステッピングモーターとリンク機構が用いられていた。ステッピングモーターでは初期位置を設定すれば直接モーターの回転角度を制御できたが、ボイスコイルモーターの採用によりアームの現在位置をフィードバックするサーボ機構による制御が必要となった。初期の頃は、プラッターの1面に座標情報を記録した検出部としてサーボ制御を行っていた。記憶容量を増やす技術の一環として、サーボ面サーボ方式は廃れ、アドレス情報を記録データと混在させるデータ面サーボ方式に切り変わった。

ハードディスクドライブは起動時にサーボ情報を収集するキャリブレーションと、定期的にサーボ情報を補正するリキャリブレーションを行う。いずれもサーボ情報をメモリに保持し、ヘッドの動作速度を向上させるための動作である。時にこのリキャブレーションが問題となることがあった。Windowsなどで使われたコンシューマー用ハードディスクはサーボ情報収集中、ドライブへのアクセスを待機させても支障は無かった。しかし、FreeBSDなど一部のOSではこの待たされている間にタイムアウトが発生してドライブが切り離され、場合によってはOSがクラッシュするという事態が生じた。このため両者はそれぞれ改良を行い、サーボ情報収集中にアクセスがあった場合にはリキャリブレーション動作を中断してアクセスを受け入れ、またOSはリキャリブレーション動作の可能性を含めたタイムアウト時間を設定した。近年のハードディスクドライブは一度にサーボ情報を読むのではなく、定期的に通常のディスクI/Oに1トラック/1秒程度の間隔で割り込ませ、サーボ情報の補正を行っている製品が多い。アクセスの少ない深夜などに、ハードディスクドライブが「カリカリ」という音を立てることがあるのはこのためである。

軸受

ハードディスクドライブを構成する回転構造のうち、プラッタの回転軸には、玉軸受(ボールベアリング)や流体動圧軸受 (FDB[注釈 7])、流体軸受が用いられている。

玉軸受を使用する場合には、軸受から発生する磨耗粉などの侵入を防ぐためにシールが不可欠であり、シール性能の高い磁性流体シールが主流となった。

流体動圧軸受はモーターの軸と軸受の間がオイルで満たされている。停止しているときは軸と軸受が接しているが、回転することにより潤滑油に動圧が発生して軸と軸受が非接触状態となる。そのため回転抵抗が非常に低く、静音で長寿命であるため主流となっている。オイルシール部は撥油膜(オイルを撥ねる)で被われており、大きな衝撃を加えない限りは潤滑油は飛散しない。停止している状態や回転数が低いうちは接触による摩擦抵抗が大きいため、大きな起動トルクが必要となる。このため、流体軸受を採用したドライブの最大消費電力はボールベアリングを採用したドライブよりも高めになる。また、極端に環境温度が低下するとオイルの粘度が高くなり、十分な動圧を発生できるほどの流動性を失うことから、機器の使用環境温度の下限が軸受の特性によって支配される場合がある。

いずれの軸受の場合でも、長期にわたる使用により摩耗したり劣化して回転抵抗が増加する。これによりプラッタの回転速度が不安定となりデータの読み書きにエラーを発生するようになるのが、軸受の寿命によるハードディスクドライブの故障として多い例である。

ヘッド

プラッタ上の磁性体に磁気を与えたり、読み取ったりする部分をヘッドと呼ぶ。

基本構造は磁性体にコイルを巻いた電磁石で、アクセス領域の微小化に伴いコイルをエッチングによって磁性体の表面に生成した薄膜ヘッドが用いられている。また、読み取り用には磁気抵抗効果の利用により高い感度を持つMRヘッド[注釈 8]が採用され、記録密度の高密度化を可能にした。MRヘッドにはさらに高感度な巨大磁気抵抗効果を利用したGMRヘッド[注釈 9]や、GMRヘッドよりも高感度なトンネル磁気抵抗効果を利用したTMRヘッド[注釈 10]といった物が開発され、現在[いつ?]ではTMRヘッドが主流となっている[注釈 11]。一方、書き込み用のヘッドはコイルと磁性体の組み合わせによる原理に変わりがないが、記録する磁気の方向がプラッタ面に平行な水平磁気記録(LMR[注釈 12])から、プラッタ面に垂直な垂直磁気記録(PMR[注釈 13])へと移行して記録密度の高密度化を実現している。また、シングル磁気記録方式/瓦磁気記録方式(SMR[注釈 14])ではトラックを重ね書きする事で高密度化を実現している。

シングル磁気記録方式はその特質上ニアラインストレージ英語版用途に適しており、システム用途やデータベース用途などのランダムアクセス書き込みが多い用途には不向きである。パーティションに置かれるファイルシステムのインデックスも一般にはデータベースの一種であるため、ホスト(OS)側の対応も必要な場合がある。

インターフェース

ATA端子とケーブル

2015年現在使用されているハードディスクドライブの内蔵インターフェースには、大きく分けてシリアルATA(以下SATA)系とSAS系がある。 それ以前ではATA系とSCSI系が主に使われていた。

コンシューマー市場の主流は、1990年代のDOS/Vブーム以降シリアルATAに切り替わるまで一貫してATAインターフェースを採用した製品であった。ATAは低コストで急速に普及してデファクトスタンダードとなり、PC/AT互換機チップセットにATAコントローラーが内蔵されるようになった。その結果ATAハードディスクドライブは量産効果によって更に安価になった。これに対して、SCSIハードディスクは1990年代末頃まではコンシューマー市場にも存在したが、単体でもATAディスクより高価な上、SCSIインターフェースボード(SCSIホストバスアダプター)という追加コストを要した。SCSIハードディスクは制御コマンドがATAハードディスクより充実しており、転送速度やランダムアクセス性能に優れるため、2000年代以降はサーバワークステーションでの業務用途が主となった。

ATAとSCSIは共に度重なる転送速度の高速化によって、複数本の信号線に同時にデータを流すパラレル転送では限界が来ており(クロックスキュー)、2000年11月にはATAをシリアル転送とした発展型であるSATAが、2003年5月には同じくSCSIをシリアル転送としたSASが策定された。 コンシューマ向けであるSATAの規格策定後、対応製品が随時出荷され、以後ATAからSATAへと順次切り替わっていった。

外付けインタフェースとしては、古くから使われているSCSIの他にUSBIEEE 1394で接続するのが一般的となってきているが、ハードディスクドライブ本体のインターフェースはSATA(過去ではATA)であり、ハードディスクドライブ・ケースに内蔵された変換基板により相互変換されている。また一部の外付けHDDケースではeSATA接続対応の製品もあるが、コネクタ形状やケーブルの構造が違うだけで、eSATAの内部信号はSATAそのものである。外付けインターフェースの一種として、ネットワークからTCP/IP接続出来る様にしたネットワークアタッチトストレージ (NAS) も徐々に普及してきているが、これもハードディスクドライブ本体にはSATA(過去ではATA)のものが使われる。

なお、SASホストコントローラはSATA互換でも動作するよう設計されている為、SASホストコントローラにSATAのHDDを接続することが可能となっている。

コントローラ

ヘッドにケーブル、もしくはフィルム基板の形で直結されているピックアップアンプからインターフェースまでの間に、コントローラ基板を搭載している(メインフレームの時代には別体であった時代もあった)。一般的にこの基板は、それ自体が独立したマイコンで、モーターやヘッドのサーボ制御・位置決め・トラック位置に応じた書き込み電圧の制御・読み書きする際の変調・インターフェースとのデータの入出力・キャッシュメモリの制御等を行う。1990年頃から更にタグ付キューイングと遅延書き込みを担当し、OSの負荷を軽減した。1990年半ばからIDEハードディスクドライブでは、DMA転送モードに対応し始めたが、専用の増設インターフェースボードを使った外付け型以外ではUltra DMAの登場まで活用されなかった。

高機能なコントローラ(主にSCSIで)は、ハードディスクドライブ間の通信をサポートしている。例えば、ファイルを別のハードディスクドライブにコピーする時、コントローラがセクタを読み取って別のハードディスクドライブに転送して書き込むといったことができる(ホストCPUのメモリにはアクセスしない。言い換えればその操作中CPUは別の仕事ができる)。また、他のハードディスクドライブのサーボ情報と連携を取り、複数のハードディスクドライブのスピンドル・モーターの回転を同調することができる(スピンロック)。これはRAIDにおいてアクセス速度を向上させるのに役立ったが、データ読み書き速度の向上と、大容量のキャッシュメモリを備えること、バスマスター転送による非同期I/Oの普及により、この機能は廃れている。この機能の廃止に伴いハードディスクドライブ同士の共振による振動がアクセス速度や信頼性に影響を与えることになったが、ハードディスクドライブ・メーカーは振動を検知して共振を打ち消すようにモーターを制御する技術をスピンロックに代わり提供するようになった。

SASIインターフェースを備えたSASIハードディスクドライブが主流であった頃、コントローラは2種類のインターフェースを持っていた。一つはホストCPUとつながるためのSASIインターフェース、もう一つはスレーブコントローラ(ST-506仕様)を接続するための拡張インターフェースである。しかしベアドライブを除くスレーブとなる製品が市場にほとんど出回らなかったことから、SASIハードディスクドライブはホストCPUに一台しか繋がらなかった(PC-9800シリーズ用SASI外付けドライブは、コントローラ内蔵の1台目用と、ST-506だけの増設用が別々にあった)。SASIハードディスクドライブは時代の変遷と共にその座をSCSIハードディスクドライブに譲った。時代的誤認が散見され、SASIの後継がIDEと認識されている場合があるが、SASIはSCSIの直接の先祖であり、電気的特性も近く、ソフトウエアで工夫することでSASIインターフェースをSCSIインターフェースとして動作させられるほど、この2者の関係は近い。

特殊なコントローラとして、ESDIインターフェースとSCSI・SASI・IDEインターフェースを仲介する外付けコントローラが存在した。このコントローラは旧時代のESDIハードディスクドライブ・インターフェースと、近代的なハードディスクドライブ・インターフェースの橋渡し役として機能した(初期のSASI・SCSI・IDEハードディスクドライブはこのコントローラを内蔵していた)。SCSI/SASI/IDE→ESDIに変換するタイプのコントローラの中身は、現代のハードディスクドライブのコントローラそのものに近い。ESDIはそのベースとなったST-506を改良したインターフェースIDEが作られ、その座をIDEハードディスクドライブに譲った。

フレーム

フレームは構成部品を保持する部品で、今日ではアルミダイカスト製の箱形として気密構造を形成するケースと一体化した物が広く普及している。初期の大型の物はケースとは独立したフレームになっていたことからこの呼び方が残っている。スピンドルやスイングアームピボットの取り付け部は特に高い寸法精度を要求されるため、単一部品のフレームにすべての部品が保持されている。フレーム内部は空気の流れをコントロールする形状に作られていて、ダストトラップと呼ばれる部品に空気を誘導して、内部で発生した塵をトラップで永久に固定する。

コンピュータ本体へ固定するためのネジ穴は4点で1組の構成となっているが、複数ある規格に対応できるように複数組用意されていて、一般に3.5インチドライブのネジ穴は3組、それより小さいドライブは2組以下である。


注釈

  1. ^ fixed disk
  2. ^ HDDが21世紀現在、固定ディスクと呼ばれることがあるのは、概ね取り外しに手間がかかりほとんど固定されて使用されるためや、PC環境でのCD/DVD/BD-DVDとの対比が原因だと考えられる。HDD単体や外付けHDD装置では、SATAUSBによって容易に脱着できるようになると、同じHDDでも「固定ディスク」とは呼ばれなくなる。
  3. ^ : Winchester disk
  4. ^ 3.5インチ型ではHGSTWDが採用。2.5型ではすべてのHDDが採用している。
  5. ^ その多くは半導体プロセス技術の進歩の恩恵を受けている。その応用例の一つとして、IBMが発明したPixie Dust技術(反強磁性結合メディア、AFCメディア)がある。これはディスク表面の磁性体の上にルテニウム原子を3個コーティングして、さらに磁性体でコーティングしてサンドイッチにした物である。この技術は2001年、1平方インチあたりの記録密度を100Gbitに高める可能性を示し、同技術の改良版によって2002年100Gbitに達する製品を実際に発売した。その他に、2002年に富士通がディスク表面に微細な凸凹(テクスチャ)を施し磁性体の表面積を大きくし、記録密度を高める技術を発表した。東北大学岩崎俊一博士(現 東北工業大学学長)が1977年に発明した垂直磁気記録方式は、理論上では水平磁気記録方式よりも安定して高密度化できるが、いくつかの技術的困難があった。2005年東芝が実用化し、今日の超高密度記録を実現している。さらに東芝では、この垂直磁気記録方式のプラッタに溝を加えることにより磁気の相互干渉を抑えてさらなる記録密度向上を狙ったディスクリート・トラック・レコーディング (DTR) 技術、パターンド・メディア・レコーディング技術が開発された。現在実用化に向けて研究されている。
  6. ^ 関西大学システム理工学部では保護膜上の潤滑膜層の形成に「電圧印加ディップ法」を使い、現行の1.6 - 1.8nmから1.1nmへと薄膜化することで磁気ヘッドの浮上量を2nmから1.4nmへと小さくすることで面記録密度を現行品 (400GB/inch2) の2倍以上の1TB/inch2にまで向上させるとしている。(Nikkei Electronics 2009.6.15 p14 - 15)
  7. ^ : fluid dynamic bearing
  8. ^ : magneto resistive head
  9. ^ : giant magneto resistive head
  10. ^ : tunnel magneto resistive head
  11. ^ 日立製作所の技術開発により、クーロンブロッケード異方性磁気抵抗効果が発表された。これは1平方インチ当たりの記録密度を現在[いつ?]の5倍、1Tbitに引き上げるものとされる
  12. ^ : longitudinal magnetic recording
  13. ^ : perpendicular magnetic recording
  14. ^ : shingled magnetic recording
  15. ^ : primary defect list
  16. ^ : grown defect list
  17. ^ 論理的消去の直後であればファイル復元ソフトによってほとんど100%が復元されうる。

出典

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  21. ^ シーゲート製IronWolfとIronWolf Proなど、ウエスタンデジタル製WD Red/WD Red Pro/WD Goldなど、HGST製Ultrastarが該当。
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