岸和田藩 略史

岸和田藩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/11 15:39 UTC 版)

略史

小出家時代

岸和田藩は天正13年(1585年)、豊臣秀吉の母方の叔父・小出秀政が岸和田城主に封ぜられたことに始まる。(この時領域は岸和田・麻生郷のみ)入封当初、秀政は4千石を与えられていたにすぎなかったが、文禄3年(1594年)に1万石、翌文禄4年(1595年)には3万石を領するに至った。

慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いにおいて秀政と長男吉政は西軍方につき、敗軍の将となった。しかし、次男の秀家が東軍についていたため改易を逃れた。慶長18年(1613年)、3代吉英は5万石に加増されている。元和5年(1619年)、吉英は但馬国出石藩に転封となった。

松井松平家時代

代わって、丹波国篠山藩より松平康重松井松平家)が5万石で入封し、以後の岸和田は譜代大名の藩地となった。当地は肥沃で、また耕作法の進歩により実収が表高より多く、幕府に願い出て表高は寛永8年(1631年)に6万石に高直しされたが、新たな知行地を得たものではなく、表高のみの増高のため、大名としての格式は高くなったが、領民[1]にとっては実質的な増税となった。また、康重は城下町の整備を行った。

2代康映は寛永17年(1640年)に家督を継いだ際、甥の康明に5千石、弟の康命と康紀に3千石・2千石をそれぞれ分知した。しかし、康映は藩主となったその年に播磨国山崎藩に転出した。

岡部家時代

松平康映の妻の父である岡部宣勝摂津国高槻藩より6万石で入封し、以後は明治維新まで岡部氏の所領となった。宣勝の入封当初、松平氏の代に高直しとなったことに不満を持っていた南郡・日根郡の領民が強訴(寛永の強訴)を行った。これに対し、領民と対話して3千石を領民に分配し、一揆を未然に防いだ。また、岸和田城の改修、寺社の建立や復興を行い、名君と賞賛されている。

2代行隆寛文元年(1661年)、襲封と同時に弟の高成に5千石、豊明に2千石を分知し、以後の表高は5万3千石となった。

3代長泰元禄16年(1703年)、京都伏見稲荷大社を岸和田城三の丸に勧請し、五穀豊穣を祈願する稲荷祭を行った。これが全国的に有名な「岸和田だんじり祭」の起源と言われている。

4代長敬享保7年(1722年)に「享保備定」と呼ばれる藩の軍制の整備を行い、格式知行高に基づく陣法を制定した。以後、これが岸和田藩の軍制の基準となった。

サトウキビ栽培と製糖業や木綿の栽培と綿布生産などを特産とし、比較的余裕のあった藩財政は、延宝3年(1675年)の飢饉や、宝永4年(1707年)の地震等により18世紀半ばになると窮乏するに至った。その後、歴代藩主は財政再建のため様々な藩政改革を行ったが、目立った効果もなく幕末に至った。

天保8年(1837年)には大塩平八郎の乱が起こり、岸和田藩は大坂城の守備に当たった。

11代長発嘉永5年(1852年)に藩校「講習館」を開いた。次の藩主長寛慶応2年(1866年)に藩校を増築し「修武館」と改称した。また、幕末の動乱の中で藩論は勤王佐幕両派に分かれたが、慶応4年(1868年)に始まった戊辰戦争には新政府軍として参戦した。

明治元年(1868年)の藩領村数は南郡52・日根郡43。

明治4年(1871年)、廃藩置県により岸和田県となる。その後、堺県を経て大阪府に編入された。

明治11年(1878年)、元の藩主長職の依頼で新島襄キリスト教布教に訪れる。

なお、最後の藩主である長職は、廃藩置県以後は明治政府の要職に就き、外務次官東京府知事第2次桂内閣司法大臣などを歴任した。

岡部家は明治2年(1869年)に華族に列し、明治17年(1884年)に子爵となった。








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