名鉄広見線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 19:04 UTC 版)
歴史
広見線は新可児駅を境に成り立ちが異なっている。西側は名古屋鉄道(初代)によって開業したが、東側は東濃鉄道(初代。1944年設立の同名の会社とは別)によって軌間762mmの軽便鉄道として開業した。
新多治見駅 - 広見駅間を1918年に開業させていた東濃鉄道は、広見駅(現在の可児駅、ただし場所が異なる) - 御嵩駅(現在の御嵩口駅)間を1920年に延伸開業。のちに新多治見駅 - 広見駅間が国有化され太多線となり、広見駅 - 御嵩駅(当時)間は新会社の東美鉄道が承継した。名古屋鉄道の路線となったのは1943年のことである。
利用客の減少と駅集中管理システムの導入による経費削減のため、学校前駅が2005年1月29日に廃止された。
存続問題
2007年に名鉄が新可児 - 御嵩間を廃止する可能性を示し、沿線自治体の可児市や御嵩町に今後の方向性や考えを打診しており、動向が注目される[2]。また、この区間の駅にはSFカードシステムを導入しないことが2008年3月27日に正式に発表された。その後、2010年度から3年間、可児市・御嵩町・八百津町の3自治体が赤字を補填することに決まった。補填額は3年間で合計3億円である。2013年2月には、可児市と御嵩町が引き続き3年間赤字を補填することが決定している。以降、赤字補填を継続しつつ存続している。
2010年10月から11月にはこの区間の定期運賃を半額にする実験が期間限定で行われたが、マイカーから電車への転換客が少なく良い成績を挙げることができなかった[3]。
犬山 - 新可児も沿線の高齢化が進んでおり、日本ライン今渡駅と新可児駅を除いて利用客の減少が続いている。
年表
- 1920年(大正9年)8月21日:東濃鉄道が広見駅 - 御嵩駅(現在の御嵩口駅)間を開業。
- 1925年(大正14年)4月24日:名古屋鉄道が今渡線として犬山口駅 - 今渡駅(現在の日本ライン今渡駅)間を開業。
- 1926年(大正15年)9月23日:東濃鉄道が東美鉄道へ広見駅 - 御嵩駅(現在の御嵩口駅)間を譲渡。
- 1928年(昭和3年)
- 1929年(昭和4年)1月22日:名古屋鉄道が今渡駅 - 広見駅(現在の新可児駅)間を開業。今渡線を広見線と改称。
- 1930年(昭和5年)
- 1931年(昭和6年)4月29日:犬山口駅 - 富岡前駅間に東犬山駅開業。大曽根線(現在の小牧線)乗換駅。
- 1943年(昭和18年)
- 1944年(昭和19年):前波駅休止。
- 1946年(昭和21年)3月1日:広見線の犬山口駅 - 東犬山駅 - 富岡前駅間を廃止、犬山駅 - 富岡前駅間が開業。広見線の起点を犬山駅に変更。
- 1948年(昭和23年)5月16日:東美線の新広見駅 - 御嵩駅(現在の御嵩口駅)間を広見線に編入。伏見口駅 - 八百津駅間は八百津線となる。
- 1949年(昭和24年)12月1日:土田駅をライン遊園駅に改称。
- 1952年(昭和27年)
- 1953年(昭和28年)7月:丸山水力専用鉄道 錦織駅 - 丸山発電所駅間開業。
- 1954年(昭和29年)6月1日:丸山水力専用鉄道 八百津駅 - 丸山発電所駅間廃止。
- 1957年(昭和32年)3月1日:ライン遊園駅の名古屋パルプ専用側線開通[4]。
- 1965年(昭和40年)3月21日:広見線の新広見駅 - 御嵩駅間と八百津線の架線電圧を1500Vに昇圧。
- 1967年(昭和42年)8月17日:犬山駅 - 富岡前駅間複線化。
- 1968年(昭和43年)
- 3月8日:富岡前駅 - 善師野駅間複線化。
- 12月7日:今渡駅 - 古市場信号場間を複線化。今渡駅 - 新広見駅間に古市場信号場設置。
- 1969年(昭和44年)
- 1970年(昭和45年)3月6日:春里信号場 - 新広見駅間複線化[5]。春里信号場廃止。
- 1982年(昭和57年)
- 4月1日:可児市の市制施行に伴い、新広見駅を新可児駅に、伏見口駅を明智駅に改称。
- 11月16日:名古屋パルプ専用線(1.6 km)廃止[6]。
- 1984年(昭和59年)9月23日:八百津線の電気運転廃止。レールバス化。
- 1985年(昭和60年)3月14日:新可児駅 - 御嵩駅間の一部列車にもレールバス投入。
- 2001年(平成13年)10月1日:八百津線 明智駅 - 八百津駅間廃止。
- 2003年(平成15年)3月27日:平日昼間と休日の犬山線 - 御嵩直通を廃止。新可児で多くの列車が系統分割される。
- 2005年(平成17年)1月29日:新可児駅 - 明智駅間の学校前駅廃止。
- 2007年(平成19年)8月8日:富岡前駅 - 新可児駅間の各駅にトランパス導入。
- 2008年(平成20年)6月29日:新可児駅 - 御嵩駅間でワンマン運転開始。それに従ってすべての列車が新可児止まりになる。
- 2011年(平成23年)2月11日:富岡前駅 - 新可児駅間の各駅にICカード乗車券「manaca」導入。
- 2012年(平成24年)2月29日:トランパス供用終了。
- 2021年(令和3年)5月22日:夕方以降の広見線へのミュースカイ乗り入れを廃止し下り営業列車は全て普通になる。同時に最終の犬山発新可児行きの運行を取りやめ、下りの終電を約14分繰り上げ。
- 2023年(令和5年)
- 2024年(令和6年)3月16日:犬山駅 - 新可児駅間でワンマン運転を開始。これにより平日朝の一部を除いて犬山線名鉄名古屋方面への直通がなくなり、線内折り返しとなる。
注釈
出典
- ^ a b c d 徳田耕一『名古屋鉄道 今昔―不死鳥「パノラマカー」の功績』交通新聞社〈交通新聞社新書〉、2017年8月、172頁。ISBN 978-4330819174。
- ^ “広見線存廃で名鉄が打診”. 岐阜新聞. (2007年12月12日). オリジナルの2010年8月17日時点におけるアーカイブ。 2021年10月12日閲覧。
- ^ “新可児―御嵩、通勤は電車より車?定期代半額実験、苦戦”. 朝日新聞. オリジナルの2010年11月14日時点におけるアーカイブ。 2021年10月12日閲覧。
- ^ 名古屋鉄道広報宣伝部(編)『名古屋鉄道百年史』名古屋鉄道、1994年、996頁。
- ^ 「名古屋鉄道 広見線が全線複線化」『交通新聞』交通協力会、1970年3月6日、1面。
- ^ 清水武、田中義人、澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォト・パブリッシング、2021年、268頁。ISBN 978-4802132701。
- ^ “5月22日(土)にダイヤ改正を実施します” (pdf). 名古屋鉄道 (2021年3月16日). 2021年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月12日閲覧。
固有名詞の分類
- 名鉄広見線のページへのリンク