吉野源三郎 吉野源三郎の概要

吉野源三郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 05:30 UTC 版)

吉野 源三郎
(よしの げんざぶろう)
誕生 (1899-04-09) 1899年4月9日
東京府(現・東京都
死没 (1981-05-23) 1981年5月23日(82歳没)
職業 編集者児童文学者評論家翻訳家反戦運動家ジャーナリスト
最終学歴 東京帝国大学文学部哲学科卒業(1925年)
活動期間 1937年 - 1981年
文学活動 平和問題談話会
代表作君たちはどう生きるか』(1937年)
主な受賞歴 第06回産経児童出版文化賞(1959年)
デビュー作君たちはどう生きるか』(1937年)
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経歴

初代編集長を務めた『世界

1899年(明治32年)、東京府(現・東京都)出身。父は株式取引所仲買人であった。

1912年(明治45年)、東京高等師範学校附属小学校(現:筑波大学附属小学校)卒業。1917年(大正6年)、東京高等師範学校附属中学校(現:筑波大学附属中学校・高等学校)卒業。

1918年(大正7年)、旧制第一高等学校に入学。1922年(大正11年)、2留の末第一高等学校を卒業し[1]東京帝国大学経済学部に入学。思索の中で哲学への思いが高じて文学部哲学科に転部した。

1925年(大正14年)、26歳で東京帝国大学文学部哲学科を卒業。思い立って陸軍に入隊する。歩兵少尉で除隊後の1927年(昭和2年)、東京大学図書館に就職。このころから政治に関心を持ち、社会主義系の団体の事務所に出入りするようになる。1931年(昭和6年)に治安維持法事件で逮捕、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を受ける。これにより正八位返上を命じられる[2]。このとき抱いた軍国主義への不信感が、後年の反戦活動、理想主義的な思想体系を形作ったと考えられる。

1935年(昭和10年)、山本有三の「日本少国民文庫」編集主任に就任。1937年(昭和12年)には明治大学講師[3]に就任。この年、『君たちはどう生きるか』を刊行し、岩波書店に入社[4]1938年(昭和13年)、岩波新書を創刊[4]1939年(昭和14年)、明治大学教授に就任。戦時中も一貫して独自のヒューマニズム論を展開した。

1946年(昭和21年)、雑誌『世界』を創刊し、初代編集長に就任[4]。いわゆる「戦後民主主義」の立場から、反戦・平和の姿勢で論陣を張った。1950年(昭和25年)4月15日平和問題談話会を結成し、1951年(昭和26年)の対日講和条約に関しては、米国を含む52ヶ国との単独講和ではなく、ソ連中国も含めた全面講和論を主張した[4][5][6]1959年(昭和34年)、「安保批判の会」結成に参加し、1960年(昭和35年)の安保闘争で活躍。この間、1949年(昭和24年)に岩波書店取締役、翌年に岩波書店常務取締役、1965年(昭和40年)に岩波書店編集顧問に就任した。

1975年(昭和50年)に広島で開催された「被爆30年広島国際フォーラム」の世話人を務めた。

1981年(昭和56年)、肺気腫症のため、82歳で死去。

評価

反戦への思いを熱く秘めたその作風は多くの支持を集め、『君たちはどう生きるか』は、刊行から70年経過した2003年(平成15年)の「私が好きな岩波文庫100」で5位にランクされた。岩波少年文庫各冊の終わりによせた「岩波少年文庫発刊に際して」という一文は、今もって評価が高い。また、温厚な人徳者として知られ、各方面に知己が多かった。2017年(平成29年)には、羽賀翔一によるマンガ『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が人気を博し、原作の『君たちはどう生きるか』がブームとなった。




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