参議院議員団 参議院議員団の概要

参議院議員団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 14:21 UTC 版)

それぞれの政党所属の参議院議員によって構成される。

概要

ある程度以上の規模を持つ政党の場合、党首党三役など執行部の主要な役員は通常衆議院議員が占めるため、参議院議員団は独自に政策部会国会対策委員会を持つ。

その政治的影響力は長年、大きくないものとされてきた。ただ第一与党単独過半数割れの定着や度々発生するねじれ国会や政党内での衆参議員の拮抗から、政治的影響力を増している役職もある。

政党によって議員団及び役員の名称が多少異なるが、ここでは一括して扱う。

自由民主党

参議院議員総会

2024年1月26日現在

役職 会長 副会長 副会長 幹事長 政策審議会長 国会対策委員長
氏名 関口昌一 山本順三 松山政司 松山政司 福岡資麿 石井準一
所属派閥 茂木派 安倍派 岸田派 岸田派 茂木派 茂木派

自由民主党においては党則において参議院議員総会を置き、その執行機関として参議院議員総会長(参議院会長)、参議院幹事長、参議院政策審議会長、参議院国会対策委員長など必要な役員を置く旨の規定がある。参院会長は参議院議員の中から選挙で選ばれ、その他の役員は参議院議員会長によって指名され、総会の承認を受けて決定される。参議院会長は閣僚経験者が就任する慣例となっている(橋本聖子と関口昌一は例外)。これらの役員は参議院議員団内部の手続のみで選出されるため、自治組織の体を擁しているが、現実には派閥の領袖が事実上決定するようなことがままある。

内閣総理大臣になる可能性が政治慣例上では現実的にない参議院議員[注 1]にとって、以下の階梯が出世コースとして慣例化していた。

  1. 参議院枠国務大臣ないしは内閣官房副長官[注 2]
  2. 参議院幹事長
  3. 参議院会長
  4. 参議院議長

自民党においては、党総裁党三役をはじめとする党役員および閣僚の大半はいずれも衆議院議員で占められるということもあり、重宗雄三を除いて参議院議員団の影響力はあまり大きくなかった。しかし、組閣においては、参議院議員団の入閣要望者リストを尊重するのが慣例で、これが政権と議員団(特に参議院幹部)との関係を良好にする上で必須とされた。派閥の影響力が低下した2000年代にあっても、その意思は尊重された。また自民党総務会における党所属の参議院議員の公選による者の選出は、実質的には参議院執行部が選出している[1]

参議院議員団への閣僚割り当て枠は、参議院枠と呼ばれた。一時は1名のみ(第1次小泉内閣での片山虎之助)だったこともあるが、概ね2名が割り当てられた。また1974年以降、参議院議員団では入閣は一度であり、離任したら再入閣はないという不文律があった。但し例外もままある(森山真弓井上吉夫若林正俊中曽根弘文林芳正丸川珠代ら)。

しかし、小渕内閣の頃から、参議院において自民党が単独過半数割れしている状況で野党にパイプを持つ村上正邦参議院会長・青木幹雄参議院幹事長(青木は小渕第2次改造内閣から一時内閣官房長官を務めた)体制の下参議院幹部の発言力が強まり、小渕首相危篤に伴う後任の決定に村上と青木が五人組の一角として森喜朗の擁立に関与するまでになった。結果として参議院議員団では、大派閥を後ろ盾にした参議院会長を頂点とする強力なトップダウン体制が実現し、参議院会長は「天皇」と奉られた。

民主党政権下での野党時代の2010年に、無派閥・若手に支援される形で、派閥に属さない議員である中曽根弘文が参議院会長に選出され、参院幹部からいわゆる“ドン”が排除された。しかし、人事や政策審議会運営を見直した結果、議員団内の対立が深刻化し、ある程度の妥協を余儀なくされている。

自由民主党参議院議員会長

氏名 総裁 在任期間 所属派閥 総裁派閥
1 松野鶴平 鳩山一郎 1955年 - 1956年 旧自由党系 旧民主党系
2 野村吉三郎 石橋湛山岸信介 1956年 - 1957年 (無派閥) 石橋派岸派
3 吉野信次 岸信介 1957年 - 1959年 (無派閥) 岸派
4 重宗雄三 岸信介、池田勇人 1959年 - 1961年 佐藤派 岸派、池田派
5 林屋亀次郎 池田勇人、佐藤栄作 1961年 - 1965年 (無派閥) 池田派、佐藤派
6 青木一男 佐藤栄作 1965年 - 1966年 石井派 佐藤派
7 平井太郎 佐藤栄作 1966年 - 1968年 佐藤派 佐藤派
8 郡祐一 佐藤栄作、田中角栄 1968年 - 1973年 佐藤派→田中派 佐藤派、田中派
9 安井謙 田中角栄、三木武夫福田赳夫 1973年 - 1977年 石井派→無派閥 田中派、三木派福田派
10 徳永正利 福田赳夫、大平正芳 1977年 - 1980年 田中派 福田派、大平派
11 町村金五 鈴木善幸 1980年 - 1982年 福田派 鈴木派
12 木村睦男 中曽根康弘 1982年 - 1983年 田中派 中曽根派
13 藤田正明 中曽根康弘 1983年 - 1985年 鈴木派 中曽根派
14 土屋義彦 中曽根康弘、竹下登 1985年 - 1988年 福田派→安倍派 中曽根派、竹下派
15 山内一郎 竹下登、宇野宗佑 1988年 - 1989年 宮沢派 竹下派
16 長田裕二 海部俊樹 1989年 - 1991年 竹下派 中曽根派、河本派
17 原文兵衛 海部俊樹、宮沢喜一 1991年 - 1992年 三塚派 河本派、宮沢派
18 斎藤十朗 宮沢喜一、河野洋平 1992年 - 1995年 小渕派 宮沢派
19 遠藤要 河野洋平、橋本龍太郎 1995年 - 1996年 小渕派 宮沢派、小渕派
20 坂野重信 橋本龍太郎 1996年 - 1997年 小渕派 小渕派
21 井上吉夫 橋本龍太郎 1997年 - 1998年 小渕派 小渕派
22 井上裕 小渕恵三 1998年 - 1999年 旧三塚派 小渕派
23 村上正邦 小渕恵三、森喜朗 1999年 - 2001年 江藤・亀井派 小渕派、森派
24 竹山裕 森喜朗、小泉純一郎 2001年 - 2004年 橋本派 森派
25 青木幹雄 小泉純一郎、安倍晋三 2004年 - 2007年 旧橋本派→津島派 森派、町村派
26 尾辻秀久 安倍晋三、福田康夫麻生太郎谷垣禎一 2007年 - 2010年 津島派 町村派、麻生派古賀派
27 中曽根弘文 谷垣禎一、安倍晋三 2010年 - 2013年 伊吹派[注 3] 古賀派、町村派
28 溝手顕正 安倍晋三 2013年 - 2016年 岸田派 町村派
29 橋本聖子 安倍晋三 2016年 - 2019年 細田派 細田派
30 関口昌一 安倍晋三、菅義偉岸田文雄 2019年 - 竹下派→茂木派 細田派、無派閥、岸田派

公明党

参議院議員団

2023年9月26日現在

役職 会長 副会長 幹事長 国会対策委員長 政策審議会長
氏名 西田実仁 山本香苗 谷合正明 竹谷とし子 石川博崇

公明党には党規約において衆参に議員団を置き、参議院議員団に会長や参議院幹事長、参議院政策審議会長、参議院国会対策委員長などの役員を置く旨の規定がある。

なお、旧公明党(新進党結党の為分党する以前の公明党)時代は参議院議員団総会団長(参議院議員団長)と呼んでいた。

歴代の参議院議員団長・会長

参議院議員総会団長(公明党) 参議院議員会長(公明) 参議院議員会長(公明党)
氏名 在任時の党委員長 氏名 在任時の党代表 氏名 在任時の党代表
1 辻武寿 原島宏治 1 大久保直彦 藤井富雄 1 鶴岡洋 神崎武法
辻武寿(兼任) 浜四津敏子 2 草川昭三 神崎武法
2 渋谷邦彦 辻武寿 2 鶴岡洋 浜四津敏子 太田昭宏
3 二宮文造 竹入義勝   3 白浜一良 太田昭宏
4 多田省吾 竹入義勝 山口那津男
5 鈴木一弘 竹入義勝 4 魚住裕一郎 山口那津男
6 三木忠雄 矢野絢也 5 西田実仁 山口那津男
7 黒柳明 石田幸四郎
8 大久保直彦 石田幸四郎
9 鶴岡洋 石田幸四郎

  1. ^ 内閣総理大臣が事実上の権限を持っている衆議院解散において、自らの議員職を賭けない立場で衆議院解散を行うことについて否定的に捉えられていることや様々な法規定で衆議院の優越規定があることから、政治的慣例上として「衆議院議員が内閣総理大臣に就任することがふさわしい」という風潮が定着している。
  2. ^ 内閣官房副長官については1998年7月以降。
  3. ^ 立候補届提出前に派閥を脱会。
  1. ^ 西川伸一 (2016年5月1日). “自民党総務会とはなにか”. フラタニティ No.2(2016.5). ロゴス. 2018年10月16日閲覧。
  2. ^ https://cdp-japan.jp/about/officers
  3. ^ “水岡会長を正式承認 立民参院会派が議員総会”. 産経ニュース (産経デジタル). (2020年10月2日). https://www.sankei.com/article/20201002-6PVIRFTIBRKOPCM6BCEKEBVEGM/?outputType=amp 2024年3月14日閲覧。 
  4. ^ 国民民主党 役員一覧” (PDF). 国民民主党 (2023年9月8日). 2023年9月8日閲覧。
  5. ^ “国民、参院会長に小林氏 幹事長は足立氏”. 産経ニュース (産業経済新聞社). (2020年9月24日). https://www.sankei.com/article/20200924-TMTDTGAJCNM7BMF7UJUKE2ZWXM/?outputType=amp 2023年6月11日閲覧。 
  6. ^ “参院議員会長に舟山氏、国民民主会派”. 日本経済新聞電子版 (日本経済新聞社). (2022年8月3日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA037ND0T00C22A8000000/ 2023年5月28日閲覧。 


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