トヨタ・プリウス
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2代目 NHW20(2003年 - 2011年)
トヨタ・プリウス(2代目) NHW20型 | |
---|---|
2005年11月発売型 | |
2005年11月発売型リア | |
室内 | |
概要 | |
製造国 |
日本(愛知県豊田市) 中国(吉林省長春市) |
販売期間 | 2003年 - 2011年 |
設計統括 |
堀重之 井上雅央 小木曽聡 |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアファストバックセダン[注 4] |
駆動方式 | 前輪駆動 |
プラットフォーム | MCプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン | 1NZ-FXE型 1.5L 直4 DOHC |
モーター | 3CM型 交流同期電動機 |
最高出力 |
エンジン:57kw(77PS)/5,000rpm モーター:50kw(68PS) システム最高出力:82kw(111PS) |
最大トルク |
エンジン:115Nm(11.7kgm)/4,200rpm モーター:40.8kgm |
変速機 | 電気式無段変速機 |
サスペンション | |
前 | ストラット式 |
後 | トーションビーム式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,700mm |
全長 | 4,445mm |
全幅 | 1,725mm |
全高 | 1,490mm |
車両重量 | 1,250 - 1,290kg |
先代の4ドアセダンからワンモーションスタイルの5ドアファストバック(ハッチバック)へと、ボディ形状が変更される(ちなみに、自動車の同一のモデルのフルモデルチェンジのボディ形状が一気に変化するケースは少ない)。また2代目からは日本国外での市場を考慮してやや大型化され、ホイールベースも2,700mmとなり、車格は初代の小型乗用車からプレミオ/アリオン(旧コロナ/カリーナ)と同じミドルクラスとなった。車幅は1,725mmと拡大されたため、日本市場では3ナンバー登録となる。ホイールハブのスタッドボルト数は、初代の4本から5本に変更された(PCDは100のまま)。目標月間販売台数は3,000台。これは、先代の直近の販売実績の3倍であった。給油口が右側から左側に変更され、CピラーとDピラー間に窓が追加され、後部座席扉は一枚窓となった。
2代目から、トヨタのハイブリッド乗用車(ダイハツ工業へのOEM車種[注 5]も含む)にて「HYBRID SYNERGY DRIVE」(ハイブリッド・シナジー・ドライブ)のブランド展開を開始。当代が初の車種となり、車名エンブレムの下にそのエンブレムが装着された[注 6]。
2代目に搭載されているユニットはTHS-II(Toyota Hybrid System II)と呼称されるTHSの発展型で、エンジンは先代と同じく1NZ-FXE型を搭載するが最高回転数を5000rpmまで増加、新型モーター(3CM)の出力を従来型の33kWから50kWへと向上させるなどパワーアップを図りながら、10・15モード燃費はさらに向上して35.5km/Lとなり、4人乗り以上の市販ハイブリッドカーとしては当時、世界最高の省燃費を達成した。電池には引き続きニッケル・水素充電池が採用された。
なお、トヨタのハイブリッドシステムはこの他にもクラウン(JZS170系セダンほか)などに搭載されていた簡易ハイブリッドユニットである「THS-M」(Mild)、エスティマやアルファードに搭載された、E-Four(電気式四輪駆動システム)を搭載した「THS-C」(CVT) 、クルーガーハイブリッドやハリアーハイブリッドに搭載された、「THS-C」にも採用されているE-Fourを搭載し、本車に搭載されているTHS-IIを改良した「ハイパワー THS-II」などのバリエーションがある[注 7]。またパナソニックEVエナジー(現・プライムアースEVエナジー)のニッケル水素電池は小型トラック(日野・デュトロ)や大型路線バス(日野・ブルーリボンシティ)のハイブリッド車にも採用されている。後述の#ハイブリッドシステムの特性も参照。
後の3代目モデルやプリウスα(プリウス+)、アクア(プリウスC)にも継承された「トライアングル・シルエット」と呼ばれる三角形の「おむすび形」のスタイリングが特徴的で、2003年度のグッドデザイン大賞を受賞した。
その他、2代目モデルでは、モーターのみの走行が選択可能な「EVモード」、後方カメラの映像上で場所を指定するだけで駐車時のハンドル操作を自動化できる「インテリジェントパーキングアシスト」(世界初搭載)[4]、横滑り防止機構と電動パワーステアリングを統合制御する「S-VSC」(世界初搭載)、アイドリングストップ中もバッテリーを電源として動作可能な電動インバーターエアコン[注 8](車載用として世界初搭載)、キーをポケットに入れたままドアノブに手を掛けるだけでロック解除、そのままブレーキペダルを踏みながらパワースイッチを押すだけでハイブリッドシステムが始動する「スマートエントリー」、イモビライザーなどの最新技術が投入された。特に電動インバーターエアコンは、その後のトヨタのハイブリッド乗用車の主要装備となる。
グレード
初代の後期モデルより引き継いだ「S」と「G」の2グレードを基本として、上級オプションパッケージとなる「TOURING selection」が新設定された。なお、後期型からは、フロントフォグランプが全車標準装備となっている。
- S
- 最量販グレードとなる標準仕様車。一通りの装備が装着されている。タイヤサイズは185/65R15となるプリウス専用開発の低燃費エコタイヤ(グッドイヤー・GT3)を装備し、ハロゲン式ヘッドランプが標準装備される。また、装備を厳選した「スタンダードパッケージ」が後期モデルより新設定される。
- G
- 「S」に本革巻きステアリング、キーレスオープン(スマートエントリー)、CDチェンジャー、アルカンターラ張りのシート(後期モデル)などの豪華装備を追加した上級グレード。
- TOURING selection
- 先代後期モデルに初設定された「ユーロパッケージ」をさらに昇華させ、走行性能を向上させた上級のオプションパッケージで、車体底部にフロアアンダーカバーとリアバンパースポイラーを装着し、リアゲート部に大型リアスポイラーを装備して空気抵抗を低減。初採用の16インチアルミホイールと195/55R16サイズの高性能タイヤ(ミシュラン・Pilot Primacy)を組み合わせ、さらに専用サスペンションを装着することで、高速走行時の直進安定性を向上させた。他には、ディスチャージ・ヘッドランプ、フロント・フォグランプが標準装備されている。2005年以降の後期モデルでは、Gツーリングにはアルカンターラのシートを採用した他、モデル初の本革シートが追加され、大型コンソールボックスがソフトレザー張りとなり、SRSサイド・カーテンシールドエアバックが唯一標準装備された「G TOURING selection LEATHER package」も設定された。なお低燃費タイヤではないため他のグレードよりも燃費性能はやや劣る。
- S スタンダードパッケージ
- 2005年11月のマイナーチェンジと同時に新設定された、「S」をベースに装備を厳選した233万1千円の低価格グレード。このグレードをベースに、装備をさらに厳選した法人向けグレード「EX」を3代目発表と同時に新設定した。
- EX
- 3代目モデル発表と同時に設定された法人ユーザー向けの新グレードである。「S スタンダードパッケージ」をベースに、ボディカラーをスーパーホワイトII・シルバーメタリック・ブラックの3色とし、内装色をグレーのみに絞ってフロントグリルをボディ同色に変更するなどして、装備をさらに厳選した。また、フロントフォグランプやホイールキャップをオプション設定にして装備を厳選し189万円という低価格を実現した。なお、運転席・助手席デュアルステージSRSエアバッグ等の安全装備やCDオーディオや温度センサー付電動インバーターエアコンなどの快適装備は従来どおり装備された。1クラス下のセグメントにアクアが登場したため、2011年12月をもって生産が終了した。
年表
- 2003年9月1日
- モデル初のフルモデルチェンジを実施し、2代目へ進化。
- 2004年2月
- 仕様変更。車両型式を変更し「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」に対応。
- 2004年8月4日
- 「S」と「G」をベースに、「ツーリングセレクション」の装備とアルカンターラ専用シート表革・ディスチャージヘッドランプ・G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付EMV(エレクトロマルチビジョン)&インテリジェントパーキングアシスト(カラーバックガイドモニター機能付)を特別装備した特別仕様車「S ツーリングセレクション・プレミアム/G ツーリングセレクション・プレミアム」を発売。
- 2005年11月1日
- マイナーチェンジ。
- デザインの大幅な変更はないが、フロントグリルフィンのメッキ処理・リヤワイパーの標準装備(これまでは寒冷地仕様車のみオプションとして選択可能で装着車は数少なかった)・ヘッドライトエクステンションのブルー着色・リアコンビネーションランプLED部の色を黒からクリアに変更・メーカーオプションのナビをDVDからHDDに変更し、「HYBRID」の文字エンブレムがトヨタのハイブリッドカーとして初めてフロントフェンダー部にも装着された。またハロゲンヘッドランプ車にはマニュアルレベリング機能が装着された。
- また、ボディ剛性のさらなる向上や遮音性の向上、アルミホイールの剛性向上やサスペンションのセッティング変更等、走行性能に関する点が改良された。内装ではシート生地の変更(「G」と「G ツーリングセレクション」にはアルカンターラ素材のシートが採用された)とインパネ・ドアトリム部にソフトパッドが採用され内装の質感が向上した。さらに新グレードとして「S」の装備を簡略化した「S スタンダードパッケージ」と3代目でも最上級グレードとなった「G ツーリングセレクション・レザーパッケージ」が追加された。
- 2007年2月1日
- 一部改良。エンジン直下の触媒の性能向上と車両床下の触媒追加、エンジン制御のコンピューター(ECU)の改良により排出ガス浄化性能をさらに向上。パーキングブレーキの戻し忘れ警告ブザーも追加される。
- 2007年4月2日
- プリウス誕生10周年を記念して、SグレードにHDDナビ、スマートエントリー&スタートシステムなどの特別装備を追加した「S 10th Anniversary edition」を発売。
- 2007年9月3日
- 一部改良。新燃費基準の試験方法となる燃費表示「JC08モード(29.6km/L)」の認可を受ける。同時に「2015年度燃費基準」を達成した。
- 2008年9月1日
- 原材料の高騰に伴い、車両本体価格を値上げ。最低価格が233.1万円からとなる(従来は226.8万円から)。
- 2009年4月[5]
- 通常グレードの生産終了。在庫対応分のみの販売となる。
- 2009年5月18日
- 3代目モデルの発売と共に、ビジネスユーザー向けに特化した新グレード「EX」を発表(発売は6月8日からで、189万円から)。以後の2代目プリウスは、このグレードのみ販売されていた。
- 2012年3月[6]
- 「EX」生産・販売終了。名実共に2代目モデル販売終了。
プリウス・サーキットバージョン
2代目モデルをベースとしてトヨタ自動車が「サーキットバージョン」を製作。外装はトヨタF1をイメージしたカラーリングが施され、内装は遮音材などの快適装備を撤去して軽量化を図り、ボディ剛性と安全性の向上のためロールケージが組み込まれるなど、一般のレーシングカー(グループN準拠)と同じ方法で製作された。
そしてプリウスの特徴であるハイブリッドシステムにもチューニングが施され、エンジンは標準搭載のアトキンソンサイクル型からカローラ用の通常燃焼型(1NZ-FE)へ変更。インバーターシステムも昇圧性能を強化したものとなり、システム出力を大幅に向上させた。バッテリーも直接外気を導入して冷却できるようリアドアにエアインテークが設けられた。また、タイヤ・ホイールはツーリングセレクション用の16インチ(タイヤはブリヂストン・POTENZAのハイグリップのものに変更)を装備し、ブレーキも欧州仕様車と同じ物(リアをディスク化)が採用されストッピングパワーを強化している。
将来的なワンメイクレース開催を見込んで同様のサーキット仕様が数台制作されたが、市販化されることはなかった。
他社への技術提供
2代目チーフエンジニアの井上雅央はカタログで「THS-IIの技術を独り占めするつもりはない。地球環境のために、他社への技術提供もいとわない」と発言。
その発言通り、2代目発売から、3年後の2006年10月4日、北米日産のアルティマハイブリッドにハイブリッドシステムを供給したものの、日産製のエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせをトヨタが担当した際に手間が掛かりすぎてしまったため、自社で開発してくれる相手を探す方向に向かう。そして、THS-II登場の10年後の2013年11月にマツダのアクセラに「SKYACTIV-HYBRID」としてTHS-II(厳密にはリダクション機構付THS-II)が搭載された。トヨタから供給されたシステムを使い、マツダがハイブリッドシステムを開発。システムプログラムが分かりづらい箇所をトヨタ側に問い合わせる間、トヨタの技術者がバスでマツダまで出向き、見学に来るという事態も発生した。
注釈
- ^ 同月11日、第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)にて京都議定書が採択された。
- ^ 運転席と助手席の間に埋め込まれた液晶画面で、オーディオやカーナビゲーション、エアコンなどの機能を表示、制御できる。セルシオ、ソアラ、クラウンのエレクトロマルチビジョンで実用化済み。
- ^ その後のトヨタブランドのハイブリッド乗用車でも、「THS-M」搭載車以外でタコメーターが搭載された例はカローラフィールダーハイブリッド/カローラアクシオハイブリッドの発売まで無かった。ちなみにレクサスブランドのハイブリッドカーの一部(例・CT200h等)には以前から搭載されている。
- ^ a b c d トヨタ自動車のウェブサイトではセダンにカテゴライズ(ラインナップ)されている。
- ^ カムリOEMのアルティスとプリウスαOEMのメビウス。
- ^ トヨタグループ以外では、2代目アクシオをベースとしたパイクカー、光岡・リューギにこのエンブレムが装着された。
- ^ いずれも現在は搭載車種がなく、後者が搭載された車種に至ってはモデルチェンジで「THS-II」に変更されている。
- ^ 冷媒用圧縮機をインバーター制御された電動機で運転する。
- ^ どちらも2015年12月発売型。
- ^ 発電用モーターを駆動に用いる関係から駆動時のエンジンの逆転を防ぐためエンジンとプラネタリーキャリアの間にワンウェイクラッチが設けられている。
- ^ 「S」にもメーカーオプションで追加可能。また、オプションで普通充電のみにすることも可能。
- ^ 「S」のみ、メーカーオプションで非装着を選択可能。
- ^ 2023年7月現在、2代目C-HRは、主に欧州向けとしてトヨタ・モーター ・マニュファクチャリング・ターキー(TMMT)でのみ生産。
- ^ 当時ディカプリオはトヨタのいくつかのCMに出演していた。その後テスラ・ロードスターやフィスカー・カルマに乗り換えている。
- ^ 2代目と3代目では排気量が異なるため、P3クラスの2代目には(1.5L)、P4クラスの3代目には(1.8L)と表記し区別されている。
- ^ ただし言語により発音は異なることがある(例として、英語では[ˈpriːəs](プリアスもしくはプリーアスと発音するのが近いほか、頭のpriはプライと発音されることもある)である)。
- ^ ラテン語の文法では-usで終わる名詞の複数形は-iiであり、それに従えばPriiは「プリイイ」と読む。なお、英語では[ˈpriːaɪ](プリアイもしくはプリーアイ)と発音するため、間違いとも言い切れない。
- ^ 初代にも数少ないながら例がある。
- ^ 2代目を2代連続で採用し、更に次代も4代目を採用。
- ^ ドア4枚以上の車両としても、2020年以降は唯一となる。
- ^ ベース車両からエンジン搭載位置を変更することが禁止された。
出典
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