キュウリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 00:23 UTC 版)
栄養素
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 59 kJ (14 kcal) |
3.0 g | |
デンプン 正確性注意 | 2.0 g |
食物繊維 | 1.1 g |
0.1 g | |
飽和脂肪酸 | 0.01 g |
多価不飽和 | 0.01 g |
1.0 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(4%) 28 µg(3%) 330 µg |
チアミン (B1) |
(3%) 0.03 mg |
リボフラビン (B2) |
(3%) 0.03 mg |
ナイアシン (B3) |
(1%) 0.2 mg |
パントテン酸 (B5) |
(7%) 0.33 mg |
ビタミンB6 |
(4%) 0.05 mg |
葉酸 (B9) |
(6%) 25 µg |
ビタミンC |
(17%) 14 mg |
ビタミンE |
(2%) 0.3 mg |
ビタミンK |
(32%) 34 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 1 mg |
カリウム |
(4%) 200 mg |
カルシウム |
(3%) 26 mg |
マグネシウム |
(4%) 15 mg |
リン |
(5%) 36 mg |
鉄分 |
(2%) 0.3 mg |
亜鉛 |
(2%) 0.2 mg |
銅 |
(6%) 0.11 mg |
セレン |
(1%) 1 µg |
他の成分 | |
水分 | 95.4 g |
水溶性食物繊維 | 0.2 g |
不溶性食物繊維 | 0.9 g |
ビオチン(B7) | 1.4 µg |
有機酸 | 0.3 g |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[47]。廃棄部位: 両端 | |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
キュウリは全体の約95%が水分で構成されており[12]、100グラム (g) [注釈 2]あたりの熱量が14 kcal(59 kJ)と非常に低いため、ギネスブックにおいても「Least calorific fruit」の登録名で認定されている[49]。栄養素は比率で炭水化物3.0 gが最も多く、たんぱく質1.0 g、灰分0.5 g、脂質0.1 gと続く[40]。他方、ビタミン、各種ミネラルなどの栄養素においてもビタミンK(100gあたり34µg)や銅(100gあたり0.11mg)、モリブデン(100gあたり4µg)を除けば100gあたりの含有量は一食分の摂取目安量の1⁄3 - 1⁄10程度と、低い数値に収まっている[50]。
キュウリは先述した通り水分が質量の多くを占めるため、「栄養素がほとんどない野菜」と評価されがちであるが、もともと他の野菜も水分量は90%ほどあるため、キュウリだけが特別水分が多いわけではない[40]。淡色野菜の割には、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどのミネラル類、皮にはβカロテンを比較的豊富に含んでおり[42][12]、その他のビタミンやミネラル類も量的には多くないがバランスよく含んでいる[40]。一年中食べることができる野菜であるが、野菜としての旬は夏で、冬場のものよりカロテンやビタミンCなどは多く含有している[40]。
しばしば、キュウリを食べると酵素によってビタミンCが破壊されるという記述もみられるが、実際には酵素作用によって還元型ビタミンCから酸化型ビタミンCに変異されるだけである[40]。一方で、酸化型に変わったビタミンCでも体内で還元型に戻るという可逆的性質を持っているため、今日では生理作用も還元型と同等であるとされている。キュウリを食することでビタミンCが破壊されると言われた理由として、過去にはビタミンCは還元型だけに生理作用があると考えられており、酵素によって酸化型に変化したビタミンCには生理作用はないものと考えられていたことがあげられる。そのため酸化型ビタミンCはビタミンCとしてカウントされておらず、ビタミンC量が減少したように見えたという背景がある。酸化型ビタミンCであっても、ヒトの体内で還元型ビタミンCとほぼ同等の働きをするというのが学術的には正しい評価であり[40]、現在では還元型と酸化型を合わせた総ビタミンC量を記述することが一般的である。
かつて、キュウリはデザイナーフーズ計画のピラミッドで3群に属していた。3群の中でも、ハッカ、オレガノ、タイム、アサツキと共に3群の中位で、癌予防効果のある食材であると位置づけられていた[51]。
ダイエット向きな食材として、特に食事の最初に摂るよう推奨する本もある。水分が多く低カロリーな割には食べ応えがあるため早く満腹感が得やすいことや、キュウリに含まれる酵素ホスホリパーゼに脂肪分解作用があることが理由に挙げられている[52]。
注釈
出典
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- ^ 新潟県農林水産部食品・流通課「新潟県青果物出荷規格基準について」
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- ^ https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl[出典無効]
- ^ 大澤俊彦、「がん予防と食品」『日本食生活学会誌』 2009年 20巻 1号 p.11-16, doi:10.2740/jisdh.20.11
- ^ 野崎洋光・工藤孝文『きゅうり食べるだけダイエット』(KADOKAWA)など。
- ^ a b c d e f 田中孝治 1995, p. 175.
- ^ 田中孝治 1995, p. 195.
- ^ a b キュウリを育てては絶対ダメな町 風習受け継ぐ福井市網戸瀬町福井新聞、2015年9月9日
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