受動素子とは? わかりやすく解説

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じゅどう‐そし【受動素子】

読み方:じゅどうそし

電子回路において電圧電流発生しない素子総称。ふつう抵抗器コンデンサーインダクタンスなどを指す。→能動素子


受動素子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/20 01:07 UTC 版)

受動素子(じゅどうそし、Passive element、Passive component)は、供給された電力を消費・蓄積・放出する[注釈 1]素子で、増幅・整流などの能動動作を行わないものを言う。

一方、真空管継電器(リレー)やトランジスタ[1]など入力信号として小さな電力電圧または電流を入れて、大きな出力信号として電力、電圧または電流の変化を得られる素子は能動素子(のうどうそし、Active element、Active component)と呼ばれ、その入力と出力の比率を利得という。

受動素子と電源とで構成された電気回路を受動回路という。

受動素子の例

標準数

抵抗器・キャパシタなどの受動素子の製品に使用される値には以下のような標準数が使われる。以前は、抵抗であれば2Ωとか5Ωのような日常的な意味での切りのよい値もあったが、今日では(可変抵抗などを除き)まず見ない。このような標準数は一見扱いにくいように見えるかもしれないが、ほぼ[注釈 2]等比数列となっているために[注釈 3]実際にはムラ無く値が揃っているものになっている。標準として国際的にも(日本ではJISで)決められている。一般的にはE3、E6、E12、E24系列程度が頻用される。抵抗器ではE12、E24程度までが多く用いられ部品店の店頭にも常備されている。キャパシタではE3、E6程度である。

規格上はE192まであるが、キャパシタのE12以上や抵抗器のE48以上は、特別に精度が求められる場合以外には使われない(通常の構造のキャパシタなど、そもそもそんな精度の容量安定性が無かったり、抵抗などでも高精度で作るあるいは選別して製品とするコストが現実的ではない)。またこれら以外に、250Ω[注釈 4]や600Ω[注釈 5]など、よく必要になるために作られている値もある。

E3~E192系列表

E3E6E12E24E48E96E192
10 10 10 10 100105 100102105107100101102104105106107109
11 110115 110113115118110111113114115117118120
12 12 121127 121124127130121123124126127129130132
13 133140 133137140143133135137138140142143145
15 15 15 147154 147150154158147149150152154156158160
16 162169 162165169174162164165167169172174176
18 18 178187 178182187191178180182184187189191193
20 196205 196200205210196198200203205208210213
22 22 2222 215226 215221226232215218221223226229232234
24 237249 237243249255237240243246249252255258
27 27 261274 261267274280261264267271274277280284
30 287301 287294301309287291294298301305309312
33 33 33 316332 316324332340316320324328332336340344
36 348365 348357365374348352357361365370374379
39 39 383402 383392402412383388392397402407412417
43 422442 422432442453422427432437442448453459
47 47 47 47 464487 464475487499464470475481487493499505
51 511536 511523536549511517523530536542549556
56 56 562590 562576590604562569576583590597604612
62 619649 619634649665619626634642649657665673
68 68 68 681715 681698715732681690698706715723732741
75 750787 750768787806750759768777787796806816
82 82 825866 825845866887825835845856866876887898
91 909953 909931953976909920931942953965976988
E3E6E12E24E48E96E192

カラーコード

小さな抵抗器などはその表面に素子の特性(抵抗値、許容差等)を記述するのが難しい。そこで、その特性値を色で表示するようにしたものが、カラーコードである。以下のように、色と値とを結びつける。この表示方法は、国際電気標準会議(IEC) による国際規格 IEC 60062英語版 、およびそれに準拠した日本産業規格(JIS)JIS C 60062 で規定されている。

色記号[注釈 6] 色の例[注釈 7] 有効数字 10のべき乗 許容差(%) 抵抗温度係数(TCR)10−6/K 有効数字の覚え方(語呂合わせ[注釈 8]
なし - - - ±20 -
桃色 PK  - 10−3 - -
銀色 SR  - 10−2 ±10 -
金色 GD  - 10−1 ±5 -
BK  0 1 - ±250 黒いレイ服[2]
茶色 BN  1 101 ±1 ±100
RD  2 102 ±2 ±50 赤いニんじん[2]
だいだい(橙) OG  3 103 ±0.05 ±15
YE  4 104 ±0.02 ±25
GN  5 105 ±0.5 ±20
BU  6 106 ±0.25 ±10
  • ロクでなしの青二才(青二才のロクでなし[2]
  • 青ムし
  • 青緑青(あおろくしょう)
VT  7 107 ±0.1 ±5 むらさきシチぶ(紫式部[2]
灰色 GY  8 108 ±0.01 ±1 はいヤー[2]
WH  9 109 - -

カラーコードは金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗などの抵抗器のほか、キャパシタ、インダクタなど、おもにアキシャルリード型の受動素子の特性値の表示に多く用いられる。また、フラットケーブルなどの多心電線の心線の識別にも用いられる場合がある。なお、表面実装パッケージの受動素子では、一般にカラーコードは使用せず、特性値を数字やアルファベット(RKMコード英語版)で表記する。

FTTHにおける光受動素子

NTTが使用している光クロージャ
中央の白いトレイが光スプリッタ

光スプリッタ(光カプラ)とも呼ばれ、1本の光ファイバーを分岐させるための素子。FTTHPassive Optical Network (PON)において用いられる。

外部から電源を必要とするActive Optical Network (AON)にて用いられるものは能動素子と呼ばれる。(光収容の項を参照の事。)

脚注

注釈

  1. ^ キャパシタインダクタの理想的な動作では電力の消費はない。
  2. ^ 完全な等比数列と比較すると、2:3 の比を作るのに便利にするためとも言われているが、22と33は少し大きめであったり、人為的な調整が入っている。
  3. ^ ベンフォードの法則
  4. ^ プロセス制御で用いられてる、カレントループ英語版4–20 mA1–5 Vに変換するのに用いられる。
  5. ^ 電話平衡接続のインピーダンス。
  6. ^ IEC 60757英語版の規定による。
  7. ^ 理解を助ける為の例示であり、例示された色を忠実に再現しなければならないのではない事に注意。
  8. ^ 「有効数字の覚え方(語呂合わせ)」は規格には含まれない。

出典

  1. ^ 能動素子の変遷電子情報技術産業協会
  2. ^ a b c d e f g h i j 茨木, 悟、小林, 良夫、海老沢, 徹、斎藤, 正之『アマチュア用通信形受信機の製作(電波科学シリーズ)』日本放送出版協会、1962年12月10日、282頁。doi:10.11501/2497944NCID BA73299974 
  3. ^ 松田, 邦宏「抵抗の選び方と使い方の最新研究」『ラジオ技術 10月臨時増刊号 Audioアンプ部品活用マニュアル'81』第35巻第15号、ラジオ技術社、1981年10月、46-60頁。 

関連項目


受動素子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 17:03 UTC 版)

等価回路」の記事における「受動素子」の解説

抵抗器インダクタコンデンサなどの受動素子は、通常適用する回路周波数領域では理想的な電気抵抗素子リアクタンス素子見なされるが、より高い周波数領域では素子そのもの構造パッケージ)や配線状況由来するインピーダンス変化生じるので注意要する

※この「受動素子」の解説は、「等価回路」の解説の一部です。
「受動素子」を含む「等価回路」の記事については、「等価回路」の概要を参照ください。

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