二重分節とは? わかりやすく解説

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二重分節

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 09:49 UTC 版)

フェルディナン・ド・ソシュール」の記事における「二重分節」の解説

さらに、ソシュールは、音韻においても、概念においても、差異だけが意味を持ち、その言語独特の区切り方を行っていると主張する。 まず、音韻について言えば、たとえば日本語では、五十音で音を区切っている。そして、「ア」の音は、「ア」以外の音(イ、ウ、エ、オ、……)ではないものとして意味を持つ。そして、音の区別仕方は、言語によって異なる。たとえば、日本語の音韻体系においては、英語における「r」と「l」にあたる音の区別がない。つまり、本来ならば、無限に分類できるさまざまな音を、有限数の音に分類する。そして、各言語話者族は、それぞれ独自のやり方で(つまり、普遍的ではないやり方で)音を区分けしている。これは、"言語音声面での恣意性"と表現される一方音韻だけではなく概念言語によって区切られている。たとえば、「イヌ」という言葉の概念は、「イヌ以外のすべての概念ネコネズミ太陽工場、川、地球……)との差異存立している。このように人間は、「シーニュ」という「概念単位」によって、現実世界切り分けているのである。そして、その切り分け方は、普遍的ではない。たとえば、日本語では虹の色を「七色」に切り分けているが、それを「三色」に切り分ける言語もある。つまり、色を表す言葉の数によって、虹の色の区切り方が違うのであるまた、日本語では「マグロ」と「カツオ」を別の言葉表現するが、英語では両方とも"tuna"である。これは、それぞれの言語を話す人々は、どの差異区別し、どの差異無視するということ恣意的選択しているのである。そして、その選択がその言語固有の体系作るのであり、その語体系は、その言語話者族に、現実世界与える。ソシュールは、この語体系固有性作り出す側面を"価値"と呼んでいる。価値は、話者族の恣意よる。たとえば、英語のsheepフランス語moutonは、意義は同じであるが、価値異なる。ここにおいてソシュールは、「各民族語は、相互に異な固有の世界像を持つ」という言語相対論提唱したこのように線引き集まり恣意的作るという行為は、分節呼ばれる。そして、人間は、「現実世界認識体系」と「言葉構成する音の体系」という二つ体系を"分節"によって作りあげているのである。これを二重分節という。なお、線引き恣意的であることを、後に"差異体系"と呼んだ評論家がいるが、それでは力点の置き方が異なるため、ソシュール意図からは外れることになる。

※この「二重分節」の解説は、「フェルディナン・ド・ソシュール」の解説の一部です。
「二重分節」を含む「フェルディナン・ド・ソシュール」の記事については、「フェルディナン・ド・ソシュール」の概要を参照ください。

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