V1の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/25 04:21 UTC 版)
V1(ヴィーワン、ブイワン。英語: Decision Speed)は、エンジン故障認識速度、離陸決定速度、離陸決心速度と呼ばれ、特に多発飛行機において、エンジンが故障したりタイヤが破裂したりするなど、別の問題が発生したとしても離陸を続けなければならない速度のことである。 この速度は航空機の種類によって異なる。また、機体の重量、滑走路の長さ、フラップの設定、エンジン推力、滑走路の表面状況などによっても変化する為、離陸前にパイロットが設定しなければならない。V1を超えてから離陸を中止すると、滑走路内で停止することが出来ずに滑走路をオーバーランするため離陸中止(RTO; Rejected Take-Off)はできない、もしくは推奨されない。 言い換えれば、離陸決心速度を超えた場合は、必ず離陸しなければならない。V1到達後の離陸滑走中に臨界発動機(故障した場合に、飛行性能に最も悪影響を与えるエンジン)が不作動になるトラブルがあった場合は離陸操作を継続し、上空で引き返すかどうかを判断することになる。 おおよそジェット機での V1 は 140 - 160 KIAS(ノット指示対気速度)、小型プロペラ機では 40 - 60 KIAS 程度となっている。 2人乗務の場合には、片方の操縦士が速度計を見ながら呼びかけを行ない(「 V1(決心速度到達)」「VR(機首上げ)」「V2(上昇開始)」)、これに合わせて、操縦桿を握る操縦士が上昇操作を行なう。 V1は、管轄区域によって定義される内容が異なる。 アメリカ連邦航空局は、「飛行機を加速停止距離内で停止させるために、パイロットが最初の行動 (ブレーキを掛け、推力を減少させ、スポイラーを展開する)を取らなければならない離陸時の最高速度である。またパイロットが離陸を継続し、離陸後も十分に上昇できるなど、離陸における最低速度も意味する。」としている。 カナダ運輸省は、「V1は『重要なエンジン故障の認識速度』と定義し、この定義が航空機の安全性を危険にしない限り、運用者は航空情報マニュアルで概説されている他の定義も、採用することが出来る。」としている。 日本国運輸安全委員会は、「離陸滑走中、1発動機が不作動になった場合に離陸を継続するか中止するかを決定をするための速度であり、 離陸重量、フラップ角、滑走路状態及び推力により決定される。」としている。
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