V1(Fi-103)の派生型
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「V1飛行爆弾」の記事における「V1(Fi-103)の派生型」の解説
Fi-103R ライヒェンベルク(Reichenberg) 1944年3月から、連合国軍の大陸反攻上陸作戦に備え対抗するために開発された、対艦攻撃用の有人型Fi-103である。Fi-103RのRはReichenberg(ライヒェンベルク)の頭文字で、コードネーム。設計はDFS(ドイツ滑空機研究所)でわずか2週間で行われ、Fi-103に操縦席が付けられた。生産ラインはダンネンベルクに設けられた。テストパイロットにハンナ・ライチュが参加していたことは有名なエピソードである。 建前では、He111などの発射母機から空中発進した後、人間が誘導して着弾寸前に脱出することとしていた。しかし、操縦席後方にパルス・ジェット・エンジンがあることや、狭いコクピット等を勘案すると、実際には脱出は極めて困難であったと考えられている。こうした点は、日本軍の桜花と非常に酷似しており、いわゆる特攻兵器の一つに挙げることができるだろう。 しかし、結果として実戦で使用されることはなかった。計画としては、第200爆撃航空団(KG 200)第5飛行中隊、通称レオニダス飛行中隊(1944年4月創設)によって運用される予定だったものの、これを人命と資源の浪費と考える第200爆撃航空団司令ヴェルナー・バウムバッハ大佐などのサボタージュにより実戦投入されずに終わった。また、既に6月に連合軍がノルマンディーに上陸してしまったという戦況や、パイロットの養成・訓練にも大量のガソリンを消費するといったコスト面での懸念、さらにミステルが実用化されたことなどから、もはやライヒェンベルク計画を続行するメリットはなく、中止された。 Re(Reichenberg)-IからIVまでのバリエーションがある。1944年10月までに、約175機が完成。 Re-I: 単座訓練型。無動力。着陸スキッドを装備している。 Re-II: 機首に教官席を設けた複座訓練型。無動力。着陸スキッドを装備している。 Re-III: 単座訓練型。パルスジェットエンジン搭載。着陸スキッドを装備している。 Re-IV: 機首に炸薬を積んだ本命の実戦型。
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