SUPERBIRDの運用拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 00:00 UTC 版)
「海上自衛隊のC4Iシステム」の記事における「SUPERBIRDの運用拡大」の解説
上記の通り、衛星は2機体制となる計画であり、1990年2月に2機目 (SUPERBIRD B号機) の打ち上げが行われたものの、これは失敗し、衛星も失われた。また同年12月には運用中のSUPERBIRD A号機が制御不能の事態になり、サービスを受けられなくなったことで、既に衛星通信の恩恵を認識していた海自側に大きな衝撃を与えたが、1992年2月にSUPERBIRD B1号機が打ち上げられてサービスが再開され、衛星通信システムが使用できなかった期間は約1年数か月で済んだ。 これらの第1世代SUPERBIRD衛星の整備と並行して次世代衛星通信システムの検討が進められていたが、衛星の軌道位置確保の観点も踏まえて、これは海自のみならず陸・空自とも共同使用することになり、03中防より正式に参加した。08中防では衛星3機に搭載された中継機5本を運用していたのに対し、13中防ではSUPERBIRD Dが追加されて衛星4機となり、中継機10本(運用7本+予備3本)に増加するとともに、ペルシャ湾を覆域に収める可動スポットビームも追加された。またこのXバンドの覆域外では、民間のインマルサット衛星通信が用いられる。 また平成18年(2006年)度より、Kuバンド衛星通信の運用も開始された。このKuバンド衛星通信は、保全性の高いクローズ系と自由度のあるオープン系で構成されており、それぞれIP通信によってチャットやWeb、電子メールなどを利用できる。特に艦艇に装備されたオープン系のIP電話が防衛省の内線電話と接続できるようになったことで、利便性は大きく向上した。ただしKuバンドはXバンドよりも通信帯域を大容量化しやすい一方で、天候に左右されやすいという欠点があり、骨幹的通信回線としては信頼性に欠けるとも指摘されている。 そして平成29年(2017年)度からは、SUPERBIRD B2/D/C2衛星の設定運用寿命の到達に伴って、Xバンド防衛通信衛星の運用が開始された。Xバンド防衛通信衛星は防衛省がPFI方式で独自に保有・運用する衛星で、2017年に2号機(きらめき2号)が打ち上げられ、2018年に1号機が、2021年に3号機が打ち上げられる予定である。これにより従前より飛躍的に高速・大容量でのデータ伝送が可能となる。
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