NHK回答と原文の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/05 19:54 UTC 版)
「内閣より 在台湾文武諸官員外征従軍者として取扱の件」の記事における「NHK回答と原文の比較」の解説
樺山資紀台湾総督の稟申 原文日清両國間ノ平和 既ニ回復シ 台湾島ノ受授ハ完了セリト雖 《本島ノ形勢ハ 恰モ一敵国ノ如ク》 清国ノ将卒ハ淡水三貂湾ニ於テ我兵ヲ射撃シ 又金咬蒋基隆等ニ於テ 頑固ナル抗敵ヲ為セリ 而シテ南方安平打狗等ニ於テ 我軍艦ヲ屢砲撃シ又新竹以南ハ尚夥多ノ残留清兵充満スルヲ以テ 今後幾多ノ戦闘アルヲ免レス 故ニ名義上ヨリ言ヘハ台湾ハ既ニ帝国ノ新領土タリト雖 《実際ノ状況ハ外征》ニ於ルニ異ナルコトナシ 故ニ本島ニ於テ文武ノ職ヲ奉スルモノハ 其平定ニ至ルマテ 總テ外征従軍者トシテ 諸般ノ取扱相成度 NHK回答原文 要約台湾の状況はまるで一敵国のようで、(中略)実際の状況は外征 下関条約で日清間の戦闘が停止され(第十条)、台湾はすでに日本領になったのに、《台湾島の状態はまるで一敵国のように》清国の将兵が日本を攻撃してくる上に、まだ多くの残留清兵がいるので、今後も必ず戦闘が発生する。そのため法律上では台湾はすでに日本国内だが、《実際の状況は外征における状況と変わらない》ので、台湾勤務者は台湾が平定されて危険が無くなるまで外征従軍者扱いにしてほしい。 ■NHK回答の主な省略内容樺山総督が「実際の状況は外征における状況と変わらない」と判断した理由が、「まだ多くの残留清兵が充満しているので、今後多くの戦闘が起こるのを避けられないため」であること。 原文の「実際ノ状況ハ外征」の後に続いている「ニ於ルニ異ナルコトナシ」を後略しているため、NHKの回答では『実際の状況は外征だ』となり、原文の『実際の状況は外征における状況(=戦闘の発生している危険な状況)と変わらない』から、意味やニュアンスが変化している。 閣議決定 原文日清間ノ平和 既ニ回復シ 臺灣島ノ受渡完了シタル今日ニ於テハ 臺灣島ハ 固ヨリ既ニ帝國ノ版図ニ属スト雖 條約批准交換後二年間ハ 其ノ土民ハ未タ純然タル帝國ノ臣民ト云フコトヲ得サルノミナラス 数多ノ清國ノ残兵 除要ノ地ニ拠リ 土民ト相合シテ 頑固ナル抗敵ヲ為シ 形勢恰モ一敵國ノ如ク今後尚幾多ノ戦闘アルコトヲ免レサルヘシ 而シテ是皆日清戦争ニ伴ウノ結果ナルヲ以テ 《事実上之ヲ外征ト見做シ 其ノ従軍者ヲ外征従軍者トシテ取扱フ》モ 敢テ不都合ノ廉無 之ニ付 具申ノ通 閣議決定相成可然ト認ム NHK回答原文 要約事実上之を外征と見なし、その従軍者を外征従軍者として取り扱う 講和が成立して台湾島は既に日本領になったが、条約批准交換後2年間は住人を日本国民とは言えないだけでなく、まだ多くの清国の残兵が住民と一緒に頑固に抵抗していて、状況はまるで一敵国のようで、今後もまだ多くの戦闘を避けられない。これ(条約批准交換2年後の統治国確定までに発生すると見込まれる、清国の残兵と住民による戦闘の多発)は全て日清戦争に伴うものの結果なので、《事実上これを外征と見なし、その従軍者を外征従軍者として扱う》ことにするが、敢えて不都合だとする理由も無いので閣議決定する ■NHK回答の主な省略内容多数の清国の残兵が「除要の地」に立てこもって土地の住人とともに抵抗しているため、今後も戦闘が頻発するのを避けられないこと。 日本政府が台湾勤務者を外征従軍者扱いにする理由を「(台湾での戦闘は)すべて日清戦争に伴うものの結果であり、特に反対する理由が無いため」としたこと。
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