マクラーレン・MP4-24とは? わかりやすく解説

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マクラーレン・MP4-24

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/30 07:41 UTC 版)

マクラーレン MP4-24
ルイス・ハミルトンがドライブするMP4-24
カテゴリー F1
コンストラクター マクラーレン
先代 マクラーレン・MP4-23
後継 マクラーレン・MP4-25
主要諸元
エンジン メルセデスFO108S
主要成績
チーム ボーダフォン マクラーレン メルセデス
ドライバー 1. ルイス・ハミルトン
2. ヘイキ・コバライネン
出走時期 2009年
通算獲得ポイント 71
初戦 2009年オーストラリアGP
初勝利 2009年ハンガリーGP
最終戦 2009年アブダビGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
172540
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マクラーレンMP4-24 (McLaren MP4-24) は、マクラーレン2009年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー2009年シーズンの開幕戦から最終戦まで実戦投入された。マクラーレン・レーシング・デザインチームによって設計された。

MP4-24

MP4-24は新レギュレーションに適合するエアロダイナミクスデザインへの変更と、運動エネルギー回生システム (KERS) の搭載を前提として開発された。

MP4-23と比較してノーズは太く長くなり、ノーズ上面はフロントタイヤの上面よりも高い位置に来ている。そのため、フロントサスペンションの配置がモノコックからホイールに向かって急激に下がる形となった。2000年シーズンのマシンであるMP4-15以来アッパーアームカバー内にステアリングタイロッドが収められていたが、MP4-24では、アッパーアームとロアアームの中間に配置された。

シーズン途中から導入された新ウイング。アッパーエレメントが装備されている

フロントウイングは3枚エレメントを採用しているが、複雑な形状を描いている。第3戦中国GP以降、アッパーエレメントを備えた2段式のフロントウイングを使用した[1]

リヤウイングはさほど変化が見られないが、翼端板に入ったスリットが3本から4本に増やされている。テストではしばしばMP4-23のリヤウイングを装着している場面もあったが、マシンの速さに関してはテストの時期はそれほど良くなかった。

2月にヘレス・サーキットヘイキ・コバライネンがテスト走行をするMP4-24

エギゾーストパイプの排気口は車体後方のリヤサスペンション近くにある。他のチームが車体表面にあまりエギゾーストパイプを出さないようにしているが、発表会当初は、排気の抜けを良くし、リヤウイングへの悪影響を最小限にするためにボディワークが若干上方に持ち上がっていた。開幕までに何種類もの排気口がテストされた。

サイドポンツーンのアンダーカットはMP4-23よりも穏やかとなっている。ラジエーターインテークは2008年シーズン中も大きさが調整されていたが、MP4-24は最初から小型な物となっている。

インダクションポッドは形状が変更され、三角形型に近くなった。その下方の処理はMP4-23と同じくフィンを使ってエンジンカバーの規定面積を確保しているほか、ヘッドレストによる乱流の発生を最小限に抑える。

搭載するKERSについて、ノルベルト・ハウグはコンポーネントの重量は25kg以下とコメントした[2]。チームが2009年シーズン初優勝をあげた第10戦ハンガリーGP終了後にザイテック製であることが公表された[3]

ダブルディフューザーFIAが合法との裁定を下した後、第3戦中国GPから暫定版を投入し、以後も細かなアップデートを続けた。

2009年シーズン

第9戦ドイツGPでコバライネンがドライブするMP4-24

1月19日に、テストドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサが、アルガルヴェでシェイクダウンを行った。

テストでは2008年用のリヤウイングを用いたり、タイムがあまり良くなかったため、MP4-24は失敗作ではないか?とささやかれた。チーム首脳も開幕戦を上位で戦える状態ではないことを認めた[4]

開幕戦オーストラリアGPではルイス・ハミルトンが失格しノーポイント。以後も4戦連続ノーポイントなど低迷が続き、シーズン前半の時点でタイトル戦線から脱落した。第8戦イギリスGPではKERSを取り外して出走した。

第9戦ドイツGPでダブルディフューザーの改良が成功し、第10戦ハンガリーGPではルイス・ハミルトンが優勝をもぎ取った。これはKERS搭載車が記録した初勝利にもなった。

第11戦ヨーロッパGPでは、フロントサスペンションを改良して、75mmショートホイールベース化されたマシンがハミルトン用に投入された[5]。しかし、ホイールベースを変更することは、フロントサスペンション、フロア、ノーズ、フロントウイングを変更しなければならなくなる[6]。ヨーロッパGPのフリー走行2では、交換用のフロントウイングがなく、ハミルトンが走行できなくなる事態が発生してしまった[6]

ハミルトンは第14戦シンガポールGPでもポール・トゥ・ウィンを達成し、シーズン後半戦は2勝4ポールポジションを獲得した。チームの精力的な改修により、MP4-24は2009年シーズン中最も進化を遂げたマシンとなった[7]

スペック

シャーシ

エンジン

シャーシナンバー一覧

[8][9]

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
AUS
MAL
CHN
BHR
ESP
MON
TUR
GBR
GER
HUN
EUR
BEL
ITA
SIN
JPN
BRA
ABU
1 ルイス・ハミルトン 4 4 4 4 5 4 4 4 4 4 5 5 4 4,2* 4
2 ヘイキ・コバライネン 3 3 3 3 2 2 2 2 3 3 3 3 3 3 3
  • ハミルトンは、シンガポールGPではフリー走行3以降でシャーシナンバー2を使用。

結果

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 ポイント ランキング
AUS
MAL
CHN
BHR
ESP
MON
TUR
GBR
GER
HUN
EUR
BEL
ITA
SIN
JPN
BRA
ABU
2009 1 ルイス・ハミルトン DSQ 7 6 4 9 12 13 16 18 1 2 Ret 12 1 3 3 Ret 71 3位
2 ヘイキ・コバライネン Ret Ret 5 12 Ret Ret 14 Ret 8 5 4 6 6 7 11 12 11

脚注

  1. ^ “McLaren introduce stacked front wing”. f1technical.net. (2009年4月18日). http://www.f1technical.net/development/236 2009年8月8日閲覧。 
  2. ^ “Analysis: McLaren's 25kg KERS device” (英語). F1 Technical.net. http://www.f1technical.net/news/12299?sid=56738e3d790cdfe082034e0f877f08df 2011年11月9日閲覧。 
  3. ^ “Zytek revealed as McLaren's KERS supplier”. f1technical.net. (2009年8月7日). http://www.f1technical.net/news/13046 2009年8月8日閲覧。 
  4. ^ “マクラーレン 「開幕戦を上位で戦える状態ではない」”. F1-Gate.com. (2009年3月21日). http://f1-gate.com/mclaren/f1_3079.html 2009年3月22日閲覧。 
  5. ^ “McLaren MP4-24 - shortened wheelbase”. Formula1.com. (2009年8月23日). http://www.formula1.com/news/technical/2009/816/686.html 2009年8月24日閲覧。 
  6. ^ a b “McLaren experiments with new wheelbase”. Autosport.com. (2009年8月21日). http://www.autosport.com/news/report.php/id/77845 2009年8月27日閲覧。 
  7. ^ “マクラーレンが縮めた“2.5秒”と2010年F1勢力図”. F1-Gate.com. (2009年11月9日). http://f1-gate.com/mclaren/f1_5545.html 2011年11月9日閲覧。 
  8. ^ “season stats”. f1technical.net. (2009年7月2日). オリジナルの2009年7月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090707024649/http://www.f1technical.net/articles/12613 2009年7月3日閲覧。 
  9. ^ “F1日本GP シャシーナンバー”. F1速報. (2009年10月2日). http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/98/61/f1sokuho_editors/folder/576510/img_576510_7775774_0?1254479933 2009年10月2日閲覧。 




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