LE-8エンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 08:49 UTC 版)
詳細は「LE-8」を参照 LE-8エンジン LE-8エンジンは、推進剤の酸化剤に液体酸素(LOX)を、燃料に液化天然ガス(LNG)を使用する推力10t級液体ロケットエンジンで、GXロケットの第2段用に宇宙航空研究開発機構(JAXA)とIHIが設計開発したエンジンである。 燃料には、精製され割高な液体メタンではなく、価格の安いLNG(アラスカ産)を採用した。LNGの主成分であるメタンは水素に比べて軌道上での貯蔵性に優れ、密度が高いことによりタンクの小型化が図れるため、将来の軌道間輸送機や惑星探査機への採用が有望視されている。 エンジンはガス発生器サイクルを採用し、推力室はアブレーション冷却とし、燃料噴射器はLE-5Bなどに使われる同軸型の噴射器ではなく衝突型の噴射器を採用した。当初、圧送式サイクルで開発していたため、他のエンジンに比べ燃焼圧力が低い。その分の能力が低下するが、燃料タンクに複合材タンクを採用することと、エンジンからガス発生器やターボポンプを省略することで、2段目全体の質量を軽くし能力低下を補う予定だった。なお、LE-8エンジンには再着火機能、スロットリング機能は無い。 関連するエンジン GXロケットの第2段用エンジンにはブーストポンプ・アブレータ冷却式のLE-8と平行して、ターボポンプ・再生冷却式のエンジンの開発も進めていた。2011年においても、IHIは独自にガス発生器サイクルでターボポンプ・再生冷却型、推力100kN程度のLNGエンジンの開発を行っている。 JAXAはLE-8エンジンの開発終了後も、その技術を基にイプシロンロケットの最終段や海外のロケット等にも使える「汎用性のあるLNGエンジン」の研究を続け、2012年にNASAの研究中のLNGエンジンの性能を上回るLNGエンジンの基盤技術の確立に成功した。今後もLNG推進系の研究を続け外国の研究中のLNGエンジンに対する更なる優位性を獲得する。 LE-8実機型エンジン(推定値含む)エンジンサイクル ガスジェネレータサイクル 燃焼室冷却方式 アブレーション 推進剤 液化天然ガス(LNG)/ 液体酸素(LOX) 真空中推力 107kN 真空中比推力 314〜316秒 燃焼圧力 1.2MPa 推薬混合比 2.93 ノズル開口比 42 LOX側ターボポンプ回転数 16,700rpm LNG側ターボポンプ回転数 14,100rpm 重量 460kg
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