IRSを使った政治スキャンダル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/23 05:22 UTC 版)
「アメリカ合衆国内国歳入庁」の記事における「IRSを使った政治スキャンダル」の解説
1930年代にフランクリン・ルーズベルト大統領がIRSを使って政敵への攻撃をしていたと言われ、息子のエリオット・ルーズベルトもその事を証言しており、ルーズベルトがIRSを使った政治スキャンダルの先駆者だとされている。 1950年代から1960年代にはFBIがIRSを使い、公民権運動のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師とキング牧師を支持する南部キリスト教指導者会議(SCLC)を警戒し、何度も監査を行った。 1960年代にはジョン・F・ケネディ大統領と司法長官を務めた弟のロバート・ケネディの間で右翼団体、保守派団体(共産主義団体やキリスト教団体、ジョン・バーチ・ソサエティなど)などを標的に免税の状態を調査し脅迫を行う「イデオロギーの組織プロジェクト」(Ideological Organizations Project)と言う計画を行った。ケネディ大統領暗殺後、リンドン・ジョンソン大統領が後を引き継ぎ、「イデオロギーの組織プロジェクト」も引き継いで行われた。ケネディ政権からジョンソン政権まで、このIRSスキャンダルの計画は世間に知られずに隠されていた。 1974年にはリチャード・ニクソン大統領が特別な「サービス・スタッフ」(Special Services Staff)と呼ぶ、秘密のIRS プログラムを行い、自分の政敵を調査して厳しい監査を行い、相手を悩ませた。ウォーターゲート事件にも発展し、ニクソン大統領はそれで辞任に追い込まれた。 1990年代にはビル・クリントン大統領が大統領任期後半に保守派団体のヘリテージ財団やジュディシャルウオッチ、全米ライフル協会などを標的に厳しい監査を行った。 2004年にはジョージ・W・ブッシュ大統領が全米黒人地位向上協会(NAACP)の大会での演説招待をキャンセルした。NAACPは2000年の大統領選挙の時、ブッシュ候補を批判する広告募金を展開し、NAACPの議長だったジュリアン・ボンドが2001年にブッシュが大統領に就任した時からブッシュ政権批判を展開してた。2004年の大統領選の時にブッシュ政権がIRSを使い、NAACPの監査を行っていたとされ、NAACPと民主党がブッシュ批判していた。 2013年5月にはバラク・オバマ大統領に近いIRSの職員が医療保険制度改革に反対するティーパーティー運動など保守系の政治団体だけを対象に、税審査を厳格化していたIRSのスキャンダル問題が発覚した。IRSの職員が2012年アメリカ合衆国大統領選挙期間中、医療保険制度改革を推進しようとするオバマ大統領を再選させる為、保守系団体の影響力がある共和党側が不利になるように、この様な事が行われていたとされている。このスキャンダル事件が発覚した後、IRSの免税部門のディレクターであるロイス・ラーナーはティーパーティー運動ら保守派団体から批難され、辞任に追い込まれた。ティーパーティー運動ら共和党側はオバマ政権のホワイトハウスがIRSのスキャンダルに関与していると疑って批判している。
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