ギルバート (Gilbert, William)
ギルバートという人は
イギリス、コルチェスターで下級判事の長男に生まれ、ケンブリッジ大学のセントジョンズ・カレッジで数学、医学を学び、1573年、ロンドンで開業医になる。 1576年、王立医科大学で教え、同時に電気や磁気の研究を行う。1599年、大学の総長に就任し、女王エリザベス1世の侍医になる。 女王の評価は高く、ギルバートの研究のために特別な遺産をのこしたと言われている。 電気・磁気について科学的な実験をした最初の人であり、ヨーロッパ史上初の科学書を発刊する。
ギルバートの主な経歴
1600年、”磁石について”(De magnete)を発刊する。 当時磁力は不可解なものであった。 さまざまな空想的な考え方、例えば「にんにくは磁気を消失させる」「ダイヤモンドは磁気を発生させる」や、「磁石は婦女から災厄を払い悪魔を遠ざけることができる」などといった魔術的な考えまでが流布するなかで、 ギルバートは既に判明していた電気、磁気の理論に加え自らの実験結果を加え、史上初の科学書といわれる名著を書き上げる。
琥珀が羽毛を吸い寄せることは紀元前580年頃にギリシャのターレスが発見していたが、 ギルバートは実験によりダイヤモンド、サファイヤ、アメジスト、オパール、ルビー、ジェットでも琥珀と同じ現象を示すこと、 金属ではこの現象は発生しないことを確認した。前者を琥珀的物質、後者を非琥珀的物質と名づけ、当時の電気、磁気の問題を集大成し、近代電気磁気学の先駆的役割を果たす。
”磁石について”の中で磁針が北を向く理由を説明している。 磁石の同極が反発しあい、異極は吸収しあうことにより極性を判別する方法や、 磁石を半分に折っても1つの極だけの磁石を作ることはできないこと、 また、天然磁石製の地球の模型”テレラ”を作成し、その表面に磁針を置くと磁針は反対の極を示す実験をし、 地球は大きな磁石であることなどを説明している。
ウィリアム・ギルバート
当時、電気と磁気は同質のものとする論、異質とする論が争っていた。 天然磁石は何もしなくても吸引力・反発力を示したが、摩擦によって生じる力は擦らなければ吸引も反発もしない。 磁気による吸引力は紙を挟んでも効力を維持するが、摩擦によるそれは効力を失う、 などギルバートの実験によって二者は異質のものであると結論づけられた。 磁気とは異なる別の力、電気の認識がここではじめて確立され、以後の科学研究に方向を示すことになる。 electricやelectricityという言葉はギルバートが名づけた。 また、羅針盤もギルバートの発明であるらしい。(中国で発明されたという説もある)
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