ECUチューニング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 01:26 UTC 版)
「エンジンコントロールユニット」の記事における「ECUチューニング」の解説
エンジンコントロールユニットは点火時期と燃料供給量(燃料噴射タイミングと混合比)を制御している。したがってこの部分に介入すれば、その他のチューニングに合わせて特性を整えエンジンのパワーアップを計る事ができる。かつてのエンジンコントロールユニットは入力された情報(回転数やギアポジション、スロットル開度など)に対応する点火時期と混合比を決める表をもとに制御していた。この表を格納したROMを交換、あるいはEEPROMにアクセスして書き換えることでチューニングを施していた。なお、このような行為を特にROMチューンと呼ぶ。個人でやる場合にはメーカーの保証外となる。 現在のフラッシュロムを使うECUユニットは、ほとんどが自己診断機器接続ポートから書き換えが可能になっているため、車載状態のままの書き換えも可能ではある。しかしダウンロード/アップロード共に時間とリスクが掛かる上、書き換え機やソフトによって対象車種は限られている。 現代のエンジンコントロールユニットは入力される情報が多く、前述の入力パラメーターに加え気圧、気温、排気ガスの酸素濃度、ノッキングの検知等によって制御状態を変えていく。単純な表を参照する方式では入力情報が多すぎるので、ファジィ制御などを応用しリアルタイムで計算する方式が主流となった。 これにより現代一般的に行われるECUチューニングはエンジンコントロールユニットのコネクタとハーネスの間にカプラーを挟み込み、入力される情報や出力された制御信号に介入し、特性を変化させる方式が開発された。表を書き換える方式に比べて大胆なパラメータ変更は難しくなったが、本来の制御に加えて希望する特性だけを希望する時に変化させることができるため、チューニングとしての難易度は大幅に下がっている。なお、このような方式でデータをコントロールする装置をサブコンピュータと呼ぶ。しかし純正ECUの自己学習機能が高度化した結果、サブコンピュータで補正した数値を補正しなおす車体も存在するため、全てがサブコンピュータ制御できるわけではない。 この他、エンジンコントロールユニットそのものをアフターパーツメーカーがリリースする独自のユニットに交換し、それを用いてエンジンに関わる全ての制御を行うものもある。これは俗にフルコンピュータと呼ばれ、高度で緻密な調整/制御を要求する競技車両やハードチューン車両に使用されることが多く、車の付随機能(例えばABSなど)を正常に働かせることができなくなる場合もあり、また逆に本来搭載されていない機能(例えばABS、ローンチコントロール、ミスファイヤリングなど)を車両に付け加えることもできる。 また、近年のサブコンピュータおよびフルコンピュータは、パソコンと接続してデータを書き換える機能を搭載するものが数多くリリースされており、特別な設備がなくても手軽にECUチューンをすることができるようになった。しかし、エンジンに関する知識がない、または希薄な者でもデータ変更が可能になったことが災いし、データを極端に変更し過ぎてエンジンブローに陥ってしまう事例が増加傾向にある。 また、状況によっては車両に対するハッキング、場合によってはクラッキングに当たる。
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