D節:資産担保証券化プロセスの改善
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 09:00 UTC 版)
「ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法」の記事における「D節:資産担保証券化プロセスの改善」の解説
D節において、「資産担保証券」(Asset-Backed Security)の語は、自己清算的な金融資産(ローン、リース、抵当貸付など)を担保とする固定金利その他の証券であって、その保有者は(例えば)当 該ローンのキャッシュ・フローに従って支払を得ることができるものとして、定義されている。規制の観点から、資産担保証券には、以下のものが含まれる(た だしこれらに限られない)とされる。 抵当ローン担保証券(CMO) 債務担保証券(CDO) 債券担保証券(CBO) 資産担保証券の債務担保証券(CDO of ABS) 債務担保証券の債務担保証券(CDO of CDO) 規 制の観点から、資産担保証券には、金融子会社により親会社または親会社によって支配される会社に対して発効された証券は含まれない。この法律の制定後 270日以内に、「証券化実施者」(securitizer)が信用リスクのあるポーションに対する経済的利益を保持することを求めることに係る規則が制 定される。当該規則を制定する主体は、資産の種類ごとに以下のように定められている。 住宅:通貨監督庁(OCC)、連邦準備制度理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、SEC、住宅・都市開発長官および連邦住宅金融局の共同 その他:OCC、FRB、FDICおよびSECの共同 証券化実施者は、以下のような規制に服する。 当該資産に関して保持することが求められる信用リスクのヘッジまたは移転が禁止される。 適格住宅抵当貸付でない資産については、当該資産に対する信用リスクの5%以上を保持することが求められる。 商業用抵当貸付その他の種類の資産については、規則により、開示がある場合には信用リスクの5%未満の保持が許容され得る。 規 則により、証券化実施者のためにいくつかの資産の種類(住宅抵当貸付、商業用抵当貸付、商業用ローン、オートローンなど)ごとのルールが定められることと なる。OCC、FRB、FDICおよびSECは共同で、以下の制限の下で、このルールの免除、例外および調整を定めることができる 証券化された資産または証券化可能な資産についての証券化実施者およびオリジネーターによる高品質な審査基準の確保に資するものであること 証券化実施者およびオリジネーターによる資産の適切なリスク管理を推奨し、消費者および企業の合理的な条件での融資へのアクセスを改善し、または、その他の形で公益および投資者保護に適うこと さらに、以下のような免除も定められている。 農業信用制度機関:連邦農業住宅抵当公社を含む。 住宅施設、集合住宅施設または医療施設に係る抵当ローン資産、またはかかる資産を直接もしくは間接に基礎とする証券化であって、米国または米国政府関連機関(連邦住宅抵当公社、連邦住宅貸付抵当公社および連邦住宅貸付銀行を除く。)によって保険または保証されているもの。 適格住宅抵当貸付(Qualified Residential Mortgage):OCC、FRB、FDIC、SEC、住宅・都市開発長官および連邦住宅金融局長が共同で定める規則より定められる。 SECは、資産担保証券の発行者を分類し、その種類ごとに適切な規制を定めることができる。また、SECは、資産担保証券の各発行者に対して、当該証券のトランシェまたは種類ごとに、当該証券を担保する資産の特定に資することとなる情報の開示を求める規則を定めることができる。 さらに、この法律の制定から180日以内に、SECは、資産担保証券の市場における表明・保証の利用に関して以下のような規則を定める。 各NRSROは、信用格付に伴う報告において以下の内容を記載することを求められる。投資者に利用可能な表明、保証および執行の仕組み 類似の証券の発行における表明、保証および執行の仕組みとの違い 証券化実施者は、投資者が明らかに審査に不足のあるオリジネーターを特定できるよう、当該証券化実施者によって束にされた全ての信託について、買戻請求の成否を開示することが求められる。 SECはまた、この法律の制定が180日以内に、資産担保証券の発行開示における当該証券の裏付資産のデュー・ディリジェンス分析および当該分析の開示について規則を定める。
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