500日計画の内容
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1990年8月、作業班は400ページに及ぶ「市場経済への移行」と題する報告書を提出した。報告書は500日で近代的な市場経済の導入を進めることを提唱していた。それによれば、 最初の100日間で市場経済に必要な法律の採択、国有企業等の民営化・株式会社への転換、緊縮財政・金融政策の実施、ソ連軍・KGB関連予算の削減、土地改革、企業への補助金廃止、小売価格の段階的な自由化をそれぞれ開始する。 次の150日間で消費財価格に対する国家統制の廃止、国家予算における赤字の解消、独占の解体、不必要な行政機関の廃止、賃金の物価スライド制導入を実施する。 その次の150日間で市場の安定、民営化と価格自由化の一層の進展、ルーブル交換性の導入。 最後の100日間で経済の浮揚予想、大規模構造的再編成。 が実施されるとした。 ソ連政府案と内容を比較すると、両案の共通点として財政赤字の解消、市場経済への一貫した移行、ルーブル安定化、社会政策の実施などが上げられる。その一方で大きな相違点もいくつか存在した。 政府案は国家による市場への介入を重視しているのに対し、「500日計画」案は、自由主義的、マネタリズム的な経済観、市場観を重視している。 政府案は市場経済への移行に関して少なくとも5年をかけて、ダメージを避けようとしているのに対して、「500日計画」案はその名称の通り、極めて短期間での市場経済移行を主張している。 政府案では中央集権的単一経済圏としてのソ連を前提としているのに対して、「500日計画」案では、ソ連経済の世界経済への統合と、ソ連邦政府から各連邦構成共和国への権限委譲など共和国の主権を絶対視した。 このほか、民営化に対する視点にも相違が見られる。
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