2017年の衝突事故
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「ジョン・S・マケイン (ミサイル駆逐艦)」の記事における「2017年の衝突事故」の解説
2017年8月21日、マラッカ海峡シンガポール沖でリベリア船籍の石油タンカー Alnic MC と衝突した。乗組員10人が死亡し、5人が負傷した。左舷後部に被害を受けたジョン・S・マケインは自力航行でシンガポールのチャンギ海軍基地に到着した。米海軍の報道によると、このダメージによって乗組員寝所、機関室、通信室などの近くの区画が浸水しているとの事である。応急修理後、シンガポール沖合でオランダの重量運搬専門海運会社のドックワイズ所有半潜水型重量物運搬船トレジャーに載せられ、横須賀基地に帰港修繕予定であったが、運搬中に新たに船体中央部の右舷側に長さ約10センチの亀裂とへこみができ、「超大型」の台風が接近中であったため、急遽フィリピンのスービック海軍基地へ回航され、横須賀基地に到着後、横須賀海軍施設で修理を行う。 この事故により2017年、太平洋艦隊所属艦艇の衝突事故が相次いだ(1月のイージス巡洋艦アンティータムの人為的ミスによる座礁事故、6月のイージス駆逐艦フィッツジェラルドのコンテナ船衝突事故)事態を受けて米海軍は運用慣行の「包括的な見直し」を行うための「運用一時停止」を指示、同年8月21日の全艦艇の運用一時停止を命じたほか、海軍中将ジョセフ・P・アーコイン(英語版)を第7艦隊司令官から解任した。また、10月11日には艦長と副艦長を、軍幹部からの「信頼を失った」として解任した。2018年1月16日、職務怠慢、艦体を危険にさらした罪、過失致死の罪で元艦長が軍法会議にかけられることが発表された。11月1日に公表された事故報告書によると、衝突の原因は艦制御用コンソールに関する適切な知識を乗組員が欠いていたことにより、事故は回避可能であったと結論付けた。艦内に衝突警報が発令されていなかったことが明らかとなった。 これらの衝突事故の背景として、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は現場の過剰な負担があると指摘している。過去に会計検査院が報告書でまとめた報告によると、一週間の勤務時間が標準の80時間を超過した108時間に達しているほか、経験不足の水兵が配属されるため経験がある水兵が現場で訓練を施しており、管理・整備のための予算も削減気味であると報じている。 2019年10月28日、修理後初めて試験航海に出航。日本近海で訓練の後、11月3日に横須賀基地に帰港した。 左舷衝突損害部 メディアを再生する アメリカ海軍作戦部長の声明 メディアを再生する チャンギ海軍基地でタグボートに牽引されるジョン・S・マケイン
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