1980年代の言及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/24 07:39 UTC 版)
「オブジェクト指向」の記事における「1980年代の言及」の解説
1989年に発表された「User Interface A Personal View」という記事の中でアラン・ケイは、Smalltalkのオブジェクト指向性は大変示唆的であると前置きした上で、そのプログラミング言語でのOOPと、そのGUIフレームワークでのOOUIを照応させながらこう述べている。これは人とコンピュータの対話形式としてのオブジェクト指向に沿ったものになっている。1970年代から80年代にかけてのオブジェクト指向は、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)と半ば表裏一体で扱われていたという技術史背景がある。 object-oriented means that the object knows what it can do.(オブジェクト指向とは、オブジェクトが出来る「なにか」を知っていることを意味している) これは認知心理学のアフォーダンスにつながる考え方と解釈されている。その説明の中でケイは、Smalltalkプログラミングを抽象シンボル舞台と形容しており、GUIフレームワークを具象ユーザーインターフェース舞台と形容している。前者の抽象シンボル舞台では、我々は最初にオブジェクトの名前(識別子)をコーディングし、次にそのオブジェクトが実行する「なにか」を伝えるメッセージをコーディングすることになる。後者の具象ユーザーインターフェース舞台では、我々は最初に操作する対象(アイコン)を選択し、次にその対象が提供する「なにか」のメニュー欄を表示選択することになる。この双方を踏まえた上でケイはこう結論している。 In both case we have the object first and the desire second. this unifies the concrete with the abstract in highly satisfying way.(双方の事例において私達は、オブジェクト(対象)を第一とし、欲求を第二とする。これは高い満足度で具象と抽象を一体化する) 80年代前半までのオブジェクト指向はプログラミングとGUIの融合思想と言った方が適当であり、オペレータがプログラミングでカスタマイズした結果をGUIビュー環境でほぼ同時に確認できるという特性は、コマンドライン実行とキャラクタ文字環境が当然であった時代において革新的であった。プログラミングはコンピュータとの潜在的な対話であり、GUIは顕在的な対話であると形容されている。長じてアイコン選択とメニュー処理を適宜に連携させるGUIの考え方をプログラミングにも応用したものが、後述のオブジェクトとメッセージ式になっている。
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